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2015-11-27

オトナの社会科見学 ―芋焼酎工場編― Vol.1霧島酒造

オトナの社会科見学  ―芋焼酎工場編―

Factory <工場の中> 芋焼酎の芋は“じゃがいもみたい”という事実

 思わず「なんの工場!?」と言ってしまうほどの量の芋・芋・芋・・・。 しかも、なんとなく色がじゃがいもっぽい。けど、これ、芋焼酎用のサツマイモ。 なかなか見る機会のない芋焼酎製造現場を、ちょっと真面目に紹介!

工程@:まずは、原料のサツマイモを掘る

 同社の主力商品、創業時から続いている『白霧島』と人気の高い『黒霧島』には、 黄金千貫(こがねせんがん)という品種のサツマイモが使われている。 九州生まれのこの品種は、焼酎にした時の芳醇な香りが特徴で、多くの芋焼酎に使われている。サツマイモなのに、色が白い!  まるでジャガイモのよう。

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工程A:焼酎の要、米麹をつくる

 蒸した米を巨大な円盤のなかに入れて、“製麹(せいきく)”と言われる麹作りを行う。 蒸米に種麹を散布し、2日間かけて生育させる工程だ。焼酎づくりは、一麹(いちこうじ=製麹)、 二元(にもと=一次仕込み)、三造り(さんつくり=二次仕込み)が大切と言われていて、 そのなかでも製麹は最初に挙がるぐらい、焼酎の品質に影響するそう。同社では独自の麹と独自の製麹の手法を生み出し、 創業当時から受け継がれている。

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工程B:一次仕込みというやつ

 麹と霧島の名水「霧島裂罅水(きりしまれっかすい)」と酵母菌を混ぜ合わせる。 厳しい温度管理のもと5日間で、酒の母と書いて「酒母(しゅぼ)」ともいわれる“一次もろみ”が出来上がる。 焼酎づくりに大切な材料のひとつが、やっぱり水。 この「霧島裂罅水」とは、昭和30年に同社が掘り当てた、都城盆地の地下岩盤の割れ目から吹き出す天然水。 霧島山脈に降った雨が土壌に浸透し、長い年月の過程でろ過されて地下深くの天然の水瓶に溜められている。その量なんと40億トン。

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工程C:じゃがいもみたいなサツマイモを蒸す

 九州各地から集まった、すごい量の「黄金千貫」がベルトコンベアで流れる。 ここに流れているのは、すでに蒸された芋。 ゆっくりとベルトコンベアで運ぶことで、芋の温度を冷ましている。

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工程D:二次仕込みというやつ

 工程Bでできた酒母とサツマイモ、またまた登場の霧島裂罅水を合わせる二次仕込み。 酒母がアルコールをつくり出し、それによって生まれた二酸化炭素が表面に出てきて、もろみの表面に泡が立つ。 8日間ほどすると、“二次もろみ”が完成。アルコールと芋のほのかな香りが充満する。これだけで酔ってしまいそう。

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工程E:蒸留酒だけに蒸留する

 焼酎は蒸留酒。 焼酎づくりに欠かすことのできない蒸留技術は、メソポタミアの紀元前3000年の遺跡から、壷状の土器として発見されたことから始まるそう。(※諸説あり) 発酵が終了した“二次もろみ”を蒸留機に入れ、蒸気を吹き込みながらかき混ぜていくと、アルコールと水が蒸発。 これを冷やして集めると、アルコール度数約37度の原酒が完成する。

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工程F:ココで寝かせて旨くする

 原酒は、ガス抜きと冷却濾過をした後、1基あたり300キロリットルもの、とてつもない大きさのタンクに貯蔵され、熟成される。 ゆっくりと時間をかけて、“あまみ”“うまみ”“まるみ”が生み出される。

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工程G:熟練ブレンダーの神業

 原酒を絶妙な割合でブレンドする、繊細な作業。ここで、“霧島酒造の焼酎の味”が決まる。 「焼酎Aが入ったグラスに、タイプの違う焼酎Bから一滴を入れたとして、 1/1000の味の違いがわからなければ失格だよ」というのが先代社長の口癖だったとか。 この作業を行うのは、社内に4人しかいないという熟練ブレンダー。毎日50サンプル以上を試飲。香水や柔軟剤は使わず、無臭でいることを徹底しているそう。 ブレンドの作業では熟成の時間を管理し、原種の香りや味を分析してブレンドする割合を決定している。 同社の最高の味がずっと守られているのは、彼らのおかげ。

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工程H:完成! この量は見ごたえあり?

 これで日本一の芋焼酎の出来上がり。続々と全国へ!