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声優・鈴木達央、5年ぶりに音楽活動本格再開「はじめまして、SHINKIRO&Co.のボーカルTa_2と申します」【インタビュー】

これまでの楽曲を隠しテーマに「深みが一気に変わる感覚」

SHINKIRO&Co.「インビジブル」

SHINKIRO&Co.「インビジブル」

――それぞれの曲のコンセプトについて聞かせてください。

Ta_2 実は「インビジブルダンサー」と「僕のように」には、僕がこれまで関わった楽曲を隠しテーマに入れてほしいということを最初に伝えました。“歴史”が入ってくると、深みが一気に変わる感覚が個人的にあります。人間の歴史もそうだなと思っていて、曲の中に入れてあげたいなと。

 僕の音楽活動の始まりは、19歳のとき初めてのキャラクターソングとして歌わせてもらった『セイント・ビースト』シリーズの「Black or White?」を歌い終えた後、当時のランティスの社長でもあった井上(俊次)さんに声をかけられたことです。

 「インビジブルダンサー」には隠しテーマで「Black or White?」を入れてほしいと要望して、天使と悪魔というワードを入れてもらったりしています。それと並行して、「透明」を歌詞のテーマにしていただきたいとも伝えていました。

――なぜ、透明をテーマに希望したのでしょうか。

Ta_2 現状の自分に対する皮肉でもありますし、こと音楽だったりとかさまざまなメディアがあふれている現代の状況も同じだなと。僕自身が「SHINKIRO」という名前をつけたのも、実像ではなく、あるのかないのかわからないという意味も込めています。

 皆さんもあると思いますが、あまり知らなかったんだけど、このアーティストってこんなにすごいのかとか、初めて知ることってありますよね? 今の音楽はそういうものだなと感じている部分もあります。つまり、手につかんだ人たちにとっての実像になればいいだけで、それまでは無色透明でもいいのではと。

 ただ、透明だけど、僕も含めてアーティストたちは頭角を現そうと暴れている。何かやろう、何か自分のそこじゃないところを探しに行こうとしているところがあります。白黒つけられるものでもないし、その色って何だろうというものも含め、より歌詞の中にそういったものを入れていければというところで「インビジブルダンサー」という言葉になりました。

ライブデモ音源を収録した理由「一つの意地ですかね」

――スタジオレコーディングされた3曲(「インビジブルダンサー」「蝋燭」「僕のように」)に関して、ここからまた攻めていくぞみたいな宣言、迷いながらも前に進むぞといった印象を受けました。

Ta_2 結果そうなったところが実はあります。おそらくフェーズの中で変わっていくと思いますが、自分をちゃんとさらけ出し、魂の欠片を曲に入れることを大切にしたいと現在のフェーズの中では考えています。それは現在の音楽の立ち位置みたいなところもあって。世界観も含めて楽しんでもらっていたバンドのときと、そこも大きく違うところではあります。自分というものが何を考えているか、自分がどう考えてきたか、どういうことをしたいのか、そういうことをちゃんと言いたい。音楽ならそれが言えるという感じですね。

――確かにそういう思いを普段の会話で伝えるのは少し照れちゃいます。

Ta_2 そうなんですよね(笑)。そのあたりミュージシャンだから、クリエイターだから言葉にできる部分はあるなとは思っています。だからこそ恥ずかしいことも恥ずかしいことにならないとか、言ってしまうと、胸の中で染み出すような悲しみみたいなものも表現できることもあるのかなと。通してみると自分の“分身”のようなものがそこにあることを、自分で感じられてよかったです。

――“通してみると”ということは、曲順に何か狙いはあるのでしょうか。

Ta_2 曲順はシンプルに聴いていての気持ちよさです。いろいろ並べ替えてみたときにパッと出てきて、これしかないでしょうという。そこは動物的な感覚に近いかもしれません。僕は出自が普通のミュージシャンと違うところから入ってきているので、曲順とかセットリスト考えるときに映像的に考えることが多くて。つながりの気持ちよさを自分の中で絵コンテを描くようにしています。その絵コンテがきれいに並ぶと「できた!」となるので、曲間の秒数も決まるのは早いですよ。

――Ta_2さんが曲を作るのも聴くのも好きだからというものあるかもしれませんね。

Ta_2 そうなんですかね。気持ちのいいタイミングやタイム感はあるので、記憶するようにしています。引き出しの中にストックする感覚が日常的に癖づいているので、(声優と音楽)2つのいろいろ作ることを渡り歩いているところの一つの利点なのかなとは思います。

――「ケセラセラー」と「レグルス」をライブ音源にした理由があれば教えてください。

Ta_2 この2曲を披露した6月のファンミーティングのタイトル「空中楼閣のラボラトリ」は、空中楼閣=蜃気楼、ラボラトリ=実験室で、「SHINKIRO&Co.」の実験室という意味でした。ミステリー小説『すべてがFになる』などの作者・森博嗣さんが好きなので、そういうものを香らせたら面白いかなと思いました。

 なおかつ、ライブで自分たちが作っていきたい音を想像していくとなると、やっぱり自分たちが生きてきた場所ってここ(ライブ)だよなと。僕がアーティストとして生きてきた12年があり、これからもよろしくお願いしますといった、一つの意地ですかね。

――久しぶりにライブ音源を聞きましたけど気持ちがいいですね。

Ta_2 面白いのが、さまざまな音楽を聴かれている方たちほど刺さるんですよね。音源とかの原点にも立ち返りたい思いが個人的にもあって。オーケストラとかジャズが好きなのですが、ジャズはもともとその場所での一発録りじゃないですか。タイトルにテイク1やテイク2とか、場所の名前ついていたりしますよね。だからこそ「この時のアレンジすごい!」みたいなのを感じますし、そういうものをいろいろ聴いてきた中で、ライブ音源って面白いという感覚が自然と生まれました。ライブ音源にしたのは、こんなに楽しい音の世界はまだあるぜ、という提示でもあります。

 それに音楽の楽しみはライブにもあると、やっぱり思います。そういったところも知ってもらえたらうれしいなというダブルミーニング的な意味もありますね。俺らはそれできるぜみたいな感じも含めて。それこそ、「空中楼閣のラボラトリ」は当初、アコースティックライブの予定でしたが、バンマスを務めてくれた(中村)泰造とやりとりするうちに、ライブアレンジにしかならないという結論に至りました(笑)。なので、オープニングは「アコースティックじゃなくなっちゃった」という謝罪から始まっています。そんなノリと勢いでやってるみたいなの感じはありますが、意味とかはちゃんとまとまっているはずです(笑)。

――初めてバンドを始めたときの高揚感のようなものがあっていいですね!

Ta_2 そうなんですよ!みんなその気持ちがあって。まさにみんなでやろうって言ったときのテーマの一つとして、「もう一回青春するか!」という話はしていました。この人たちほんとバカだなって思われるような、ただただ楽しいだけなんじゃんみたいなところの場所を僕が用意したい。それが「SHINKIRO&Co.」であればいいなって。

さまざまな形でのファンとの“一期一会”を意識

――ファンミーティングの映像を収録したBlu-rayには、これまであまり収録されてこなかった楽屋風景やリハーサルシーンを収められています。現状のご自身を収めておきたい思いもあるのでしょうか。

Ta_2 そうですね。それもありだなって。これまでの逆張りというか、やっていないならやってみようかとか、それ面白いよねみたいなことは考えています。むしろやっていなかったのなら今やる方が楽しいみたいな感じはありますね。実際にファンの方と触れ合ったとき「以前そういうのはなかったですよね」みたいなことを言われたこともありますが、気持ちがなかったわけじゃありません。

 以前はバンドとしてのカラーリングとか方向性を重視していた部分も確かにありました。ただ、今はそういうものが全部パージされている状態なので、一個一個探しながら、向いていないと思ったら削っていけばいいという感覚でやっています。

――まずは一旦トライしてみると。

Ta_2 そうですね。なんせ新人アーティストですから。全てゼロからなので、おこがましいことは言っていられません。そこはもう殊勝に、殊勝にという思いですね。

――ところでBlu-rayのみに収録されている「またね」は、今後の演奏予定がないそうですが……?

Ta_2 ラボラトリ用に作った曲なんです。簡単に言ってしまうとラボラトリは“試験運転”。例えば「東京ゲームショウ」でデモ機プレイに対し、お礼としてステッカーを配るようなことがあると思いますが、その感覚です。プレリリースの段階の、まだ形作られてもいなかったSHINKIRO&Co.を見に来てくれた人たちに向けての自分からのプレゼントなんです。「ありがとう」という気持ちを込めて、「またね」はそこでしかやらないし、その日のためだけに作りました。

――心の底からグッときました。

Ta_2 来てくださった方々には「またね」の歌詞が書かれたポストカードを配りました。ちなみにBlu-rayに歌詞表記はありません。来てくれたた人たちしか、そのポストカードは持つことができないし、歌詞も持つことができないんです。今は調べたら何でもわかったり、欲しいと思ったらすぐに手に入ったり、みんな平等にもらえることも多いですが、現地の一番の大切さはここなのではと思っていることを形にしました。

 誰かに会うことはそんなに簡単か?そうじゃないと思っているので、それに対しての意味を作ってあげたい。僕はよく言うのですが“えこひいき”をちゃんとします。チケットを買って時間を割いて現地に来てくれているので。もちろん事情があって来られない方たちいるのはすごくわかります。僕自身も行きたいライブがあっても、仕事を休んでいいかとはマネージャーには言えません。怒られますから(笑)。でも僕はそういう場合は「残念だったな。次、何か機会を考えるから別なことで楽しいことやろう」と呼びかけます。

 ただ、来られなかった人たちのために一つの救済措置にもなるし、形に残したい思いもあってBlu-ray化の話をさせてもらいました。音源もBlu-rayのためにミックスし直しています。それでも歌詞カードは来てくれた人たちだけへの感謝を形にしたものです。それを書き起こしていただいたり、話題にしていただくのは、僕的には問題ありません。

――ファンの方の事情に合わせた、違う形の一期一会があるということですね。

Ta_2 そうなんです。それがCDやBlu-rayを手に取ってもらえる理由の一つにもになると思います。小さな一つのきっかけでもいいから、出す側としての理由や価値を僕はつけたいんです。

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