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マンガ発! 世界に広まるSenpai(先輩)・Isekai(異世界)…北米マンガ市場でいま熱いのは「Reijo(令嬢)」と「ボディポジティブ」マンガ

(左から)「拝啓見知らぬ旦那様、離婚していただきます」(C)Iroto Tsumugi (C)Kori Hisakawa (C)Airumu/「デブとラブと過ちと!」(C) ままかり/シーモアコミックス

(左から)「拝啓見知らぬ旦那様、離婚していただきます」(C)Iroto Tsumugi (C)Kori Hisakawa (C)Airumu/「デブとラブと過ちと!」(C) ままかり/シーモアコミックス

 『Anime Expo 2025』が史上最高の来場者数を記録し、北米での日本のポップカルチャー人気が止まらない。牽引役となっているのはグローバルヒットが相次ぐアニメで、マンガも長らく“ジャンプ一強”時代が続いていた。ところがここへ来て、北米のマンガ市場でとある意外なジャンルが急激に拡大しているのだという。北米向けのデジタルマンガストアとしてローンチから3年、今や全米最大規模に成長した『MangaPlaza』は、どのように新規のマンガファンを掘り起こしてきたのか。現状と成長を見据えた課題を聞いた。
北米で注目!『デブとラブと過ちと!』をもっと読む!(外部サイト)

ロス開催『Anime Expo』は過去最多41万人来場、アニメ人気に留まらない変化も

『Anime Expo 2025』MangaPlazaブースの様子

『Anime Expo 2025』MangaPlazaブースの様子

 日本のポップカルチャーに特化した北米最大級のイベント『Anime Expo 2025』が7月3日〜6日に米・ロサンゼルスで開催され、31回目となる今年は過去最多の41万人が来場した。

 かねてより「日本のアニメが人気」と喧伝されてきた北米市場だが、『Anime Expo』の来場者が10万人を突破したのは2016年。日本のコンテンツに興味を持つ人が爆発的に増えたのは、この10年未満のことなのだ。

 人気を牽引しているのはやはりアニメで、デジタル動画配信サービスから続々と生まれているグローバルヒットアニメが、『Anime Expo』の来場者数に拍車をかけているのは想像に難くない。

 2022年より『Anime Expo』にブース出展している北米向けデジタルマンガストア『MangaPlaza』の丹羽良太さんは、「近年はIPに対する熱気が高まっている」と証言する。

 「日本では原作マンガから火がついて、アニメやゲームなどIP展開されるケースが多いですが、北米ではアニメで作品を知り、原作マンガが読まれるケースが主流。なかでも、日本でヒットしたメジャータイトルは非常に人気です。ただ、今年度の『Anime Expo』などでは、ヒットアニメにとどまることなく、ゲームやグッズ、そして原作マンガを含めてコンテンツを楽しむ方が増えたように思います。メジャータイトルはもちろん、メジャーでない作品についてもファン自らが見つけてくれるような“熱”を感じましたね」(丹羽さん)

北米で未開拓だった女性向けマンガ、いま熱いのは「Reijo(令嬢)」モノ

“Reijo”盛り上がりのきっかけ!『拝啓見知らぬ旦那様、離婚していただきます』をもっと読む!(外部サイト)
  • 「拝啓見知らぬ旦那様、離婚していただきます」(C)Iroto Tsumugi ?Kori Hisakawa (C)Airumu

    「拝啓見知らぬ旦那様、離婚していただきます」(C)Iroto Tsumugi ?Kori Hisakawa (C)Airumu

 『MangaPlaza』は14万点以上のマンガを配信している全米最大級のデジタルマンガストアであり、アニメ化されていない作品も数多く取り扱っている。そうした作品の受容実態はどうなのだろうか。

 「アニメの影響力が大きい北米では、これまで女性向けマンガの翻訳点数が極めて少なかったのが実情です。しかし様々なアンケートからも、女性向けマンガに対する潜在需要は確実にあることはわかっていました。MangaPlazaは女性向けマンガが充実したコミックシーモアが母体である強みを生かし、取扱点数からプロモーションまで女性を意識して展開。その成果として、ローンチから3年経った今、かつて米国市場になかった女性向けマンガの“某ジャンル”の熱いファンダムが形成されつつある手応えを感じています」(『MangaPlaza』香月大地さん)

 バトル系少年マンガが盤石な人気を博す北米マンガ市場で、最近、急速に盛り上がりを見せている女性向けのあるジャンル。それが「Reijo(令嬢)」だ。

 「日本では数年前からすでに定番人気の令嬢/悪役令嬢モノですが、英語圏では配信作品数が多くはありませんでした。きっかけは昨年配信を開始した『拝啓見知らぬ旦那様、離婚していただきます』の爆発的なヒットです。これを機に私たちも配信作品数を拡大し、現在は約250タイトルを配信しています」(香月さん)

「Senpai」「Isekai」「Reijo」そして「Manga」…あえて英訳しない理由

 今や“#Reijo”は『MangaPlaza』のタグ別売上で毎月、ランキング上位を誇るという。

 「今年のAnime Expoには令嬢のコスプレをしたファンもブースに来訪するなど、Reijoジャンルの盛り上がりを肌で感じることができましたね。もともと日本では“なろう系”から派生し、男性読者から火がついた令嬢ジャンルですが、MangaPlazaでは女性向けにPRしてきたこともあって、Reijoジャンル読者の90%以上が女性です」(香月さん)

 令嬢(=高貴な若い女性)を意味する単語を英訳せず、そのまま「Reijo」として普及を試みていることにも注目したい。

 「例えばIsekai(異世界)はすでに日本語のまま海外でもジャンル名として定着しています。他にもSenpai(先輩)など、マンガきっかけで世界に広まったワードは増えています。そもそもマンガもComicではなく、Mangaとして定着したことに意味があったのではないでしょうか。令嬢も安易に英訳して意味を狭めるよりも、Reijoというコンテキストを含めて読者に解釈してもらえるジャンルに育てていきたいと考えています」(香月さん)

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