アニメ&ゲーム カテゴリ
オリコンニュース

マンガ発! 世界に広まるSenpai(先輩)・Isekai(異世界)…北米マンガ市場でいま熱いのは「Reijo(令嬢)」と「ボディポジティブ」マンガ

「デブとラブと過ちと!」(C) ままかり/シーモアコミックス

「デブとラブと過ちと!」(C) ままかり/シーモアコミックス

ぽっちゃり女性が主人公のマンガ、北米では「ボディポジティブ」として高評価

北米で注目!『デブとラブと過ちと!』をもっと読む!(外部サイト)
     女性向けマンガのトピックスとしては、『デブとラブと過ちと!』(シーモアコミックス)が日米でアニメ化が決定したことも挙げておきたい。日本ではコミックシーモアのオリジナル作品として人気を博し、ドラマ化もされた同作だが、『MangaPlaza』でもローンチ当初から大人気作品の1つだという。

     「今年のAnime Expoのブースにも熱烈なファンの方がいらっしゃって、どれだけこの作品が好きかを語ってくださいました。またブース内で壁面いっぱいにマンガのコマを掲示し、作品の中身の一部を読めるような展示をしたところ、じっくりと見入っている方もたくさんいましたね」(丹羽さん)

     同作は、ぽっちゃり体型にコンプレックスを抱いていた主人公の女性が、事故で記憶喪失となったことをきっかけに、超ポジティブな性格に生まれ変わるストーリー。北米では、「ボディポジティブ」のメッセージとして高く評価されている側面もあるそうだ。

     「この反応は意外でした。日本では、主人公の自己肯定感の高さが自分も周囲も幸せにしていく姿に『勇気をもらった』という声が多く、体型にフォーカスされることは少なかった印象です。着目ポイントは違えど、日米の読者どちらからも『こういう作品を待っていた!』という声は多く寄せられており、作品としてのポテンシャルは十分。アニメ化以降の更なる人気拡大も期待できそうです」(香月さん)

    電子コミックが普及した現在も、「9:1」で圧倒的に紙のマンガが読まれる北米

     新たな読者が掘り起こされつつある北米マンガ市場だが、アニメと比べたら規模はまだまだ小さい。そんな中でも熱を帯びる北米のマンガファンとは、一体どういう人たちなのだろうか。

     「ある程度、可処分所得がある人たちと言えるかもしれません。というのも、北米では現在も9:1で圧倒的に紙のマンガが多く読まれていて。紙の単行本は15〜20ドルが平均と、高価にもかかわらずです。電子コミックは比較的安価に提供されていますが、『電子も読むけど紙で持っておきたい』という方も多くいらっしゃるようです」(香月さん)

     こうした市場背景から、『MangaPlaza』でも今後はオリジナル作品の紙展開を視野に入れているという。とはいえ、アニメ化作品が盤石人気の北米市場で、新規IPやアニメ化されていないマンガ作品を成長させるには、何が必要なのか。

     「日本のように『ヒットしたマンガがアニメ化される』という、現在の北米市場とは逆の流れを生み出したいですね。ユーザーのタッチポイントを大きく広げられるデジタルファーストの特性を生かして、マンガがIPのファンダムを生み出す中心的存在になることを目指しています。そのためにも、電子コミックのさらなる普及に務める必要があると考えています」(香月さん)

    海賊版問題により慎重だった日本の出版社、だが北米市場は「伸びしろしかない!」

     『MangaPlaza』の配信作品数は14万点以上と北米最大級だが、「まだまだ少ない」と自己評価する。

     「市場の活性化には、ラインナップの充実が欠かせません。日本の出版社は長らく、海賊版の問題から海外での電子コミック販売に慎重な姿勢をとられていました。ですが、MangaPlazaの売上も2年連続で300%成長しており、正規版の電子コミックがしっかりと売れることを実感してくださるようになりました。作品の供給も爆発的に伸びており、それと足並みを揃えるようにリーチできるユーザーも確実に広がっています」(香月さん)

     北米のマンガファンを高可処分所得層だけでなく、ライト層にまでを広げていくためにも、電子コミックの普及は欠かせない。もちろん課題はある。中でも大きな壁は翻訳のスピード感だ。

     「日本と時差のない同時配信は、海賊版対策においてとても重要です。すでに大手出版社では実現していますが、翻訳の労力やコストは決して小さくありません。それだけに日本のマンガ業界が、競合ではなく、オールジャパンで北米市場を開拓するという意思を共有することが大事だと思います。当社はデジタルマンガストアですが、同様に日本のマンガ文化を世界に届けるプレイヤーがもっと増えてほしいと期待しています。北米のマンガ市場は伸びしろしかありません!」(香月さん)

     北米市場は日本のマンガコンテンツにおいて、今なお開拓の余地が大いにあるフロンティア。『MangaPlaza』をはじめとするデジタルプラットフォームの挑戦が、日本のマンガの新たな未来を切り開くことに期待したい。

    (文:児玉澄子)
    ■MangaPlaza(外部サイト) 

    ■『デブとラブと過ちと!』(外部サイト) 
    『Plus-sized Misadventures in Love!』(外部サイト) 
    ■『拝啓見知らぬ旦那様、離婚していただきます』(外部サイト) 
    『To Sir, Without Love: I'm Divorcing You』(外部サイト) 
    “Reijo”盛り上がりのきっかけ!『拝啓見知らぬ旦那様、離婚していただきます』をもっと読む!(外部サイト)
    北米で注目!『デブとラブと過ちと!』をもっと読む!(外部サイト)

    求人特集

    求人検索

     を検索