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(更新: ORICON NEWS

劇的な変化遂げた携帯市場、“真の民主化”の道のりはどこまで? 楽天モバイル河野CMOに聞く

 1ヵ月の携帯料金といえば、ほんの数年前まで1万円以上払っていた利用者が多く、その金額に疑問を抱くユーザーも少なかった。「適正価格」が曖昧なまま進んできたモバイル業界に地殻変動が起きたのが2017年、楽天が「携帯市場の民主化」を掲げ、モバイル事業への参入を表明。20年より本格サービスを開始してからわずか3年。課題は山積みだが、少なくとも同社の参入が、モバイル事業に正常な“市場原理”をもたらすきっかけとなったことは間違いない。果たして“真の民主化”への道のりはどこまで進んだのか? 楽天モバイル常務執行役員兼CMO、楽天グループ株式会社副社長執行役員兼CMOの河野奈保氏に話を聞いた。

“第4のキャリア”として参入し、ようやく市場競争が生まれる「“常識を崩す”ことを使命に」

――河野さんへの過去インタビュー記事などを拝読すると、「顧客満足度をいかに最大化するか?」についての熱量が非常に伝わってきます。12月1日に発表された2023年「オリコン顧客満足度」携帯キャリア部門にて、楽天モバイルが2年ぶり2度目の総合1位を獲得されました。まずは、その結果を受けての想いをお聞かせください。
【河野CMO】このような名誉ある賞をいただけたことを、楽天モバイル一同大変嬉しく思っております。2021年にも1位を取らせて頂きましが、その際は価格が大きな要因だったと思います。私たちとしても価格は重要なポイントだと思いますが、この度サービス開始から3年半経過し、料金プランのシンプルさ、加入手続きのしやすさ、サポートサービスの充実など、さまざまな点で評価され総合的1位を受賞できましたので、前回の満足度1位とは異なる喜びがあります。

――確かに「低価格」だけが独り歩きするのではなく、さらなる総合的な顧客満足度をユーザーから獲得したという点は、2年前の1位とは異なる“重み”があります。

【河野CMO】そうですね。私たちが“第4のキャリア”として携帯市場に参入し、まずやらなければならなかったことは、今まで常識と言われていたものを崩すことでした。私達の強みというのは、楽天グループの力や、テクノロジー(技術)にあります。それまで実現しえなかった完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワークを世界で初めて実現させて、現在のサービスに還元する仕組みを形成しています。お客様にとっては、少しわかりづらいかもしれないですが、このネットワークによって設備投資など様々な費用を削減することができ、削減できた分を料金プランの安さへ反映することでお客様のメリットとして還元しています。

――世界に誇る技術力がサービス還元にも結び付いているんですね。「低価格」以外にも取り組まれた課題などはあったのでしょうか?
【河野CMO】最も重要だったことは、ネットワークにおけるカバレッジ(網羅率)の向上でした。カバレッジ=「繋がりやすさ」はもちろん重要視していましたが、その他にも、携帯キャリアの契約手続きにおける「プランのわかりづらさ」や、キャリア乗り換えにためらってしまう「手続きの面倒さ」などに対する声もしっかり分析していました。価格帯だけでなく、繋がりやすさだけでなく、網羅的にこれまでの“携帯キャリアの常識”を崩すことが重要でした。

――それが、現在の1プランのみ「Rakuten最強プラン」に繋がっている。データ無制限で税抜き2980円は確かに破格です。
【河野CMO】そうですね。迷わずに1つのプランでメリットを提供しているという自信はあります。また、価格だけでなく、お申し込みフローの短縮、サイトの再構築を行うなど、なるべく手間を省く改善を行ったことで、ユーザー様からの評価を頂いたのではと考えています。

――先ほど河野さんは、今までの常識を崩すことが、“第4のキャリア”としての使命と仰られていました。ほんの数年前まで、我々ユーザーは携帯代に1万、2万を普通に払っていた。そして、それが当たり前だとすら思っていた。近年の状況を見ると、携帯市場に関しては市場原理が全く働いていなかったということの裏付けになります。そこに御社が“第4のキャリア”として参入表明されたことで、市場競争という当たり前のことがようやくスタートしました。
【河野CMO】私も昔は1万円近く払っていましたし、料金プランの価格と実際の請求額に差が生じた際も、各種オプションでしたり、いろいろな縛りがあっての差額なのだろうと解釈していました。でも、やはり海外と比較すると明らかに料金が高い。当たり前だと感じていたユーザー様にも、携帯電話という生活に必要不可欠なインフラが世界に比べて高い状況をより知って欲しい。「日本のスマホ代は高すぎる!」とテレビCMで銘打ったのも、そのような理由からでした。

――コロナ禍を経て、実感できるほどの物価高騰に直面する我々にとって、携帯代に1万円以上も払っていた状況が今も続いていたら? と考えると、正直ゾっとします。
【河野CMO】今の日本の状況を考えると、物価高によって生活が圧迫されています。ただスマホというのは、自分が情報を取得する一番のツールであり、それだけではなくて、家族・友人・仕事など、繋がりにおける最大の手段にもなっています。毎月支払う電気代や水道代も値上がりする中、唯一下がったのは電話料金のみ。そこに関しては一定の役割を果たせたのではと感じています。

“楽天人”として、人の心を豊かにする時間を創出したい…20年前から変わらぬ初期衝動

――河野さんと言えば、2017年に楽天グループ史上最年少かつ、初の女性常務執行役員就任ということで、当時も非常に話題となりました。そして現在は、楽天グループ初の女性副社長執行役員としてご活躍されています。改めて楽天におけるキャリアの軌跡をお聞かせください。
【河野CMO】私が入社したのは2003年8月なので、今年でちょうど20年になります。当時の楽天は、「楽天市場」を中心として、そこからが段階的にフィンテックビジネスやアドビジネスなど、さまざまな分野において事業拡大していくのを実体験してきました。

――“楽天経済圏”が構築されていく工程を当事者の1人として携わってきた、まさに生き証人ですね。
【河野CMO】正直あっという間でしたね(笑)。前職でも様々なデータ解析やマーケティングに携わってきましたが、「誰にとってのマーケティングをしているんだろう?」という疑問があったんです。リアルでもネットでも毎日誰でもお買い物をする。生活に欠かせないお買い物を、より便利に、より快適にするネットショッピングに興味があり、楽天に中途入社しました。

――20年前といえば、いまや当たり前となったECが一般にも普及する過渡期でしたね。
【河野CMO】5万円や10万円する高級商材から、1000円台の可愛い雑貨まで同じ棚に並ぶことに新しい可能性を感じたんです。楽天は当時から「Shopping is Entertainment!」というコピーを使っていたんです。それを見て、私達の世代が今やるべきことは、やっぱりネットや新しい技術を活用して、日本の経済を動かしていくことなのだと感じたんです。

――入社後も様々な部門をご経験されたと思いますが、横展開されていく各種事業が“楽天経済圏”として、全てが繋がっていくことをどのように実感されましたか?
【河野CMO】最初は楽天市場からスタートして、楽天市場以外のコマースも担当していたこともありますし、現在は楽天グループ全体のマーケティングも統括させて頂いています。その上で思うのは、私としてはこの20年間ずっと、”楽天人”として働いているということなんです。生活を豊かにしたい、エンパワーメントしたい、社会を良くしたいというコンセプトだけで仕事をしてきたといいますか(笑)。ですから、ECであろうとも、通信業界であろうとも、ゴールは常に一緒なんだと思うんです。

――さまざまな部署を経験されてきましたが、見据えているゴールという点においては、20年前と全く変わらないということですね。
【河野CMO】人の心を豊かにする、そのような時間を創出したい。そんなサービスを常に起こしていきたいと思っているので、そういう意味では私の中では一貫していますね。

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