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「連邦軍から京都府警に払い下げ?」ガンダムとパトレイバーの意外な共通点、モデラ―がガンプラを“警察仕様”にしたワケ

(写真左)ディランザ 警察仕様 制作・画像提供/うせだ氏 (写真右)ジム・スナイパーII 警察仕様 制作・画像提供/Dan_D氏 (C)創通・サンライズ

(写真左)ディランザ 警察仕様 制作・画像提供/うせだ氏 (写真右)ジム・スナイパーII 警察仕様 制作・画像提供/Dan_D氏 (C)創通・サンライズ

 ガンプラモデラーのカスタムの方向性はさまざま。そのなかで、現実世界にあるものの仕様にモビルスーツ(MS)を仕立てるモデラーもいる。今回紹介する2人のモデラーはそれぞれ、主役機ではないがいい味を出している“脇役機”をベースに、“警察仕様”のカスタムを施工。SNSで注目を集めた。白と黒を基調にした、シンプルゆえに配色センスが問われる“警察仕様”を見事に作り上げた2人に話を聞いた。

連邦軍から京都府警に払い下げ「日本の警察は独自で開発する予算がない(笑)」

 連邦軍のMS『ジム・スナイパーII』を警察仕様にカスタムしたのは、Dan_Dさん(@Dan_D_zeon)。制作のきっかけは、ガンダムではないあるアニメの存在だった。

「もともと『機動警察パトレイバー』というアニメが大好きで、そこに出てくる『イングラム』という機体のプラモデルをずっと作りたいと思っていたのですが、なかなか見つからず、ガンプラで近いものをつくれないかと思ったのがきっかけです」

 『イングラム』の機体のデザインと似ていたということから『ジム・スナイパーII』をベースに選択。するとガンプラ購入後、あることに気付いたという。

「買った後に気付いたのですが、メカニックデザインがどちらも出渕裕さんでした。出渕さんがデザインされた機体は、角張っておらずスタイリッシュで大好きです。あとは、装備のスナイパーライフルがなんとも警察っぽいなと思った点ですかね」

 「ガンプラ制作の際は、自分なりの設定を考える」という同氏が、本作でイメージしたのは、「ガンダムの“世界線”における日本の警察」。

「MSが一般的な世界なら、それを利用した犯罪も発生しており、軍だけではなく警察にもMSが導入されるだろうなと…。これ、『パトレイバー』の設定とかなり似ていますね(笑)。でも、本作は投稿の際に添えた『“連邦軍から払い下げられた”この機体は、京都府警にて試験運用されている』というところがポイントです。きっと日本の警察は独自で開発する予算がないでしょうから(笑)」

 払い下げ先が京都府警なのは「京都は歴史的建造物と近代的建造物が点在しており、全体的に建物が低いためそんな町でMSが動いていたら面白いだろうなって思いました。過去、現代、未来が混在しているみたいな感じで」という理由。設定だけでなく、作りも細かく丁寧に仕上げられている。

「カラーリングは、『機動警察パトレイバー』の『イングラム』と現代のパトカーをイメージして製作しました。「POLICE」の文字は、白か黒が一般的なのですが、ゴールドにすることで違和感なくオリジナリティを出してみました。こだわったのは、コトブキヤさんのバリスティックシールドを使用した両肩のパトライトです。パトライトがあることでぐっと警察のイメージに近づきました。あと純正とAOSHIMAさんのパトカーのものを使用したデカールですね」

 見事な想像力と、それを具現化する表現力で作品を完成させた同氏。最後にガンプラを制作する際に一番大切にしていることを聞いた。

「ガンプラを楽しむことです。ガンプラは、想像する楽しさ、作る楽しさ、飾る楽しさがあると思います。そのすべてを大切にしています」

『水星の魔女』の“やられメカ”を警察仕様に「敗戦続きでも間違いなく優れた機体」

 『ジム・スナイパーII』をカスタムしたのはDan_Dさんに対し、最新作『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の登場機で重量級の量産機『ディランザ』を警察仕様にしたのは、うせださん(@soboro2302)。なぜ主役機ではなく、『ディランザ』をベースに選んだのだろうか?

「ツイッターで、いろんな人のオリジナルディランザを見て作りたいと思いました。大人気の『水星の魔女』のガンプラシリーズの中でも、ディランザは買いやすいのもありますし、量産機という設定上、ガンダム以上に弄りやすく、さまざまなカスタムが見られるのは楽しいです。特に、重量級の機体なのでキャノンやミサイルなどで重武装している作品に目を惹かれました」

 “警察仕様”のアイデアは、「顔が『パトレイバー』のイングラムっぽいかな?、と思ったのがきっかけでした」とのこと。実際に塗装してみると、それっぽく見えるようになり「うれしい誤算だった」と話す。

「(配色は)コントラストが強くなるように、白黒はなるべく真っ白と真っ黒に近いものを選びました。関節はグレーですので、鮮やかさを足す意味で差し色に黄色を使いました。膝の黒いところを脛と同色にしたり、手甲と指で2色になっていたハンドパーツを単色にしたり、配色パターンは変えてはいますが、パネルラインや角の形状に沿ってマスキングし、もともとのディランザのイメージを崩さないように意識しております。また、ディランザのディテールを生かしつつ、イングラムの配色を再現できるようマスキングし、塗分けたところは、こだわりました」

 一方で、モチーフにされたディランザは、『水星の魔女』第1話でガンダムに撃破され、第2話ではバラバラに破壊された“やられ機”の印象もある機体だが…。

「劇中では敗戦続きで、“やられメカ”の印象がある機体ですが、重装甲ながらホバー走行による高機動を実現するなど、汎用性も高く総合的に見て優れた機体であることに間違いないと思います。
 第1話ではエアリアルのビットに数発耐える耐久力を見せていましたし、6話では距離に応じて武器を切り替え応戦しつつ、初見の相手のオールレンジ攻撃を斧やシールドで防いでいくという活躍を見せてくれました。スレッタがくるまではグエルがホルダーの座をキープしていたことからも(もちろん、本人のモビルスーツ(MS)操縦の技量やチューンナップによる影響もありますが)、ディランザの性能は高いと思われます」

 そんな同機の役割を聞くと「地球圏の東の小さな島国に、暴動鎮圧目的で配備されていたらという設定です。今作の警察仕様では、治安維持や対MS犯罪用に配備されたバリエーションの一種にすぎず、他にも地区の混戦状況や規模によってさまざまな装備が用意されているというイメージを持ちながら作りました」とのこと。そう言われると、“やられメカ”の印象もなくなるが、本作を見たフォロワーからの反応もうれしいものだったという。

「これほどたくさんの人に見てもらえるとは思ってもみなかったので、驚いています。そして、改めてガンダムとパトレイバーというコンテンツの大きさ、人気の高さを実感しました。他作品のオマージュを取り入れ、怒られるのではないかという思いもありましたが、予想に反して多くの人に楽しんで頂けて、作ってよかったと思っています」

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