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「名古屋式モーニング」を浸透させたコメダ珈琲、地元の“当たり前”が全国に根付くまで

 セルフサービスのオシャレで気軽で手頃なカフェが増え、コンビニでもボタン一つで挽きたての美味しいコーヒーが安価で買える時代に、昭和から続くレトロな喫茶店の雰囲気と店員が注文を取り運んでくれるフルサービスを売りにしているコメダ珈琲店。この10年間で約400店舗増加、今や全都道府県で900店舗以上の展開と拡がりをみせているが、他地域へ進出当初は、名古屋では日常的な喫茶文化の光景をユーザーに理解してもらうのに苦戦したという。その名古屋の喫茶文化をいかにして浸透させていったのか。担当者に話を聞いた。

「名古屋の喫茶文化を広めたい」FC展開スタート直後に立ちはだかった課題

 コメダ珈琲店の始まりは、1968年1月、本格的なコーヒー専門店を目指して、名古屋の下町に1号店をオープンしたのが始まりだった。その後、“のれん分け”という形で名古屋市を中心に店舗を拡大。1993年には「名古屋の喫茶文化を広めたい」という思いからフランチャイズ展開を本格的に開始し、2003年に関東、2006年に関西と、全国に進出していった。

 しかし、全国に一歩を踏み出した当初は、苦労もあったという。

「関東に初進出した際は、名古屋で当たり前だったモーニングサービスの認知度が低く、『パンは頼んでいませんけど』と言われることも多かったそうです。また、名古屋ではアイスコーヒーは甘味があるのが当たり前なので、ご注文いただいた際には、甘味がありかなしかをうかがうのですが、それもなかなかお客様に理解していただけず、説明が大変だったと聞いています」(コーポレート コミュニケーション部 中島絵里子氏)
 モーニングタイム以外の時間には、コーヒーを頼むと豆菓子がおまけで付いてくるのだが、名古屋人にとっては常識のこのサービスも、他地域の人にとっては驚きだった。そんな各種サービスの根底にあるのは、“おもてなしの心”だという。

「もともと名古屋には、お客様がいらっしゃったときに自宅や仕事場ではなく、近くの喫茶店に行っておもてなしをするという風習があり、そこから名古屋流の喫茶文化は作られていきました。それとともに、お友達同士や家族など、あらゆる世代の方々にとって、喫茶店は日常的におしゃべりや団らんを楽しむ場所として定着していきました」(前出/中島氏)

コメダに飯物のメニューがない理由

 そんな競争が激しい喫茶王国・名古屋において、コメダは、“くつろぐ、いちばんいいところ”をコンセプトに、さらにその“おもてなしの心”を具現化していった。

 例えば、木とレンガを使ったぬくもりのある雰囲気に、座り心地の良いソファ、高さと幅にこだわったテーブル、プライベート空間を守るパーテーションなど、ゆったり団らんしてもらえる空間づくりがその一つ。さらに、モーニングや豆菓子だけでなく、今やコメダの看板商品ともなっているシロノワールや、手作りたまごペーストが美味しいと評判のサンドウィッチなど、オリジナリティあふれる多彩なフードの開発にも尽力。コメダのフードメニューはボリューム感があることでも話題となったが、それも「お一人でも満足できるし、何人かでいらっしゃったときもシェアして楽しんでいただけるように」という“おもてなしの心”から生まれたものだった。
 メニューでは、みそカツパンや、モーニングサービスで選べる特製おぐらあんなど、名古屋グルメを揃えているのもコメダの特徴。さらに、メニュー開発においては、コメダならではの“こだわり”を表すこんなエピソードもある。

 全国展開するほどの人気チェーン店になれば、カレーライスやピラフなどご飯もののメニューもあって当たり前。コメダの名前は創業者・加藤太郎の家業が米屋で「コメ屋の太郎」にちなんでつけられたと聞けば、なおさら、飯ものメニューに力を入れるだろうことが予想されるが、コメダには基本、飯物メニューがない。その理由がこれだ。

「創業当初から、“珈琲所”を掲げ、コーヒーを楽しみながらのくつろぎにこだわってきましたので、食事ではなくあくまでも軽食として、コーヒーに合うメニューであることを第一に考えております。そのため、ご飯ではなくパンに力を入れています。モーニングのパンもサービスだからこそ良いものをお出ししたいという思いから、高級小麦粉を使用し、ホテルパンにも負けない美味しさをご提供しています。また、カレーに関しては、匂いが強いとご注文いただいた方以外のお客様のくつろぎを邪魔してしまいかねません。そこで中村屋様と共同開発して、香りが広がりにくく、味でしっかりカレーを感じられるソースを使用したカツカリーパンをご提供させていただいています」(前出/中島氏)

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