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KFC、『サンド』名称変更した真意を聞く 否定的な意見も『バーガー』売上が大幅増になったワケ
名称変更の背景はオンラインオーダーのデジタル化「お客様がバーガーを検索した時、KFCが表示されにくい」
「名称変更に関して、様々な声が出るであろうことは想定済みでした。ですが、そもそもKFCの『サンド』を『バーガー』と認識されていた方も混在しており、さらには『KFCにバーガーがあったということを知らなかった』という声も。ポジティブな意見、ネガティブな意見両方が多く挙がり、それによりKFCの『バーガー』を知らない方にもアプローチができたことや、話題になること自体が販売数増加にもつながっておりますので、これらを含めて、今回の反響はよい方向へと転がったと考えています」
ポジティブネガティブ合わせて、多くの人に「バーガー」への名称変更への試行が届いた。もともとKFCといえば、オリジナルチキンの印象が強く、その認知度の低さを大きく改善できたことが今回の成功につながった。さらには、今の時代ならではの“悩み”の解消にもなったという。
「例えば宅配などで、お客さまがハンバーガーを頼みたいと思った際、『ハンバーガー』『バーガー』という検索では、KFCの『サンド』が表示されにくくなっていました。これを『バーガー』と名称変更することで、KFC商品も表示されやすくなった。『バーガー』を食べたい時の選択肢としてKFCも選ばれやすい環境を作りたかった。名称変更の狙いの1つはデジタル社会、また宅配業が確立された現代への対応でもあったのです」
クリスマスなどイベントごとの“ハレ”の食事から普段使いへ…ケンタッキーが“日常の選択肢”となるための課題
「店頭オペレーションの問題はありました。KFCの『バーガー』は手間をかけて調理しています。チキンフィレバーガーは成型肉ではなく鶏むねの一枚肉を用い、店舗で1枚1枚粉をつけて、揚げている。チキンに関してKFCはプライドを持っていますので、『バーガー』に使用するチキンも店舗でつくっています。ゆえに闇雲に種類を増やすと、相当な手間がかかってしまう。そうした店舗オペレーション面の調整、試行錯誤を繰り返し、発売40周年の節目に新商品の販売に踏み切りました」
そうなると課題となるのは価格帯だ。他社では200円ぐらいからバーガーが食べられるのに対して、KFCのバーガーは390円〜の価格帯になっている。店舗で1枚1枚粉をつけて揚げている、国内産鶏へのこだわり、など、「チキンのおいしさへのこだわりと、KFCならではの“価値”」を追求しているがゆえに、少なからずそれは値段に反映される。「今後も価格と“価値”のバランスを上手く取って、普段使いの選択肢としていただきたい」と話す。
そもそも、なぜKFCはこれまで「バーガー」ではなく「サンド」だったのか。「アメリカでは、あくまでもビーフをバンズで挟んでいるものが『ハンバーガー』であり、それ以外は『サンドイッチ』と呼称されていた。そのアメリカの流れが日本にそのまま入ってきたのが始まりです」と明かしてくれた。