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オリコンニュース
全盲青年と少女の恋は「愛情? 同情?」、描かれた視覚障害者の実情“無自覚な差別”が命取りになる
“売れ線”ではない「障害」扱う作品、取材で見えた実情「一生のほとんどを家で過ごす方も少なくない」
【LINEマンガ】『恋と薄情』(真昼てく 制作協力:日本盲人福祉委員会)(C)Teku Mahiru/LINE Digital Frontier
【LINEマンガ】『恋と薄情』(真昼てく 制作協力:日本盲人福祉委員会)(C)Teku Mahiru/LINE Digital Frontier
真昼てくさん 正直なところ、「障害」を扱った作品は、いわゆる“売れ線”のジャンルではないし、扱いも慎重になるので編集部に好まれない傾向にあります。そのため、常に「いつか描きたいもの」のひとつでしたが、なかなか描かせていただける機会がありませんでした。ですから、「今回『障害』をテーマに選んだ」というよりは、「ようやく描かせてもらえる場所に巡り合えた!」という感じです。
――満を持して、描く場所に出会えたわけですね。本作を描くにあたり、先生ご自身も視覚障害者の方に取材を行ったり、同行援護従業者の資格を取得するなど、作品に真正面から向き合っていると伺いました。実際に取材したり、資格を取得したことで見えた現実は、その前にイメージしていた世界と違いはありましたか?
真昼てくさん 想像以上に引きこもっていらっしゃる方が多かったですね。私がお話できる方はその時点で活発な方たちなので、障害があっても、何でもできるんだと思ってしまいがちなのですが、一生のうちのほとんどを、家で過ごされる方も少なくないのが実情です。
――なかなかそういった現実を知ることもないので、貴重な機会ですね。本作のタイトルの「薄情」は、視覚障害者の方が持つ「白杖」とかけられたのかなと推測するのですが、どのように付けられたのですか?
真昼てくさん 当事者の方が「私は白杖を持っているけど薄情者ではないんですよ」とジョークを言われていたことがキッカケです。ただ音が同じだからというだけではなく「この情は同情なのか愛情なのか」というテーマから付けています。
“障害者のイメージ像”では描かず、あえて障害者に見えないように描く
【LINEマンガ】『恋と薄情』(真昼てく 制作協力:日本盲人福祉委員会)(C)Teku Mahiru/LINE Digital Frontier
【LINEマンガ】『恋と薄情』(真昼てく 制作協力:日本盲人福祉委員会)(C)Teku Mahiru/LINE Digital Frontier
【LINEマンガ】『恋と薄情』(真昼てく 制作協力:日本盲人福祉委員会)(C)Teku Mahiru/LINE Digital Frontier
真昼てくさん 秋は外見を障害者に見えないようにしています。物語上分かりやすくするために「障害者のイメージ像」を描いている作品も多いのですが、あえてそれをしていません。内面だと秋がひねくれている分、素直な受け手が必要だったので、ちまは平凡かつ知識のない子にしました。
――第1話の最終盤〜第2話にかけて、秋のちょっとしたいたずらに、ちまは反応。ちまが、「障害者だから大丈夫だろうって思っていた」と回想するシーンはかなり衝撃的でした。でもすぐそのあとに、ちまは相手を憎むのではなく、勝手にそう「差別」していた自分を悔やみます。物語序盤にこのシーンを描かれようと思われたのは、どういった想いからだったのでしょうか?
真昼てくさん 「自分の無意識を意識した瞬間」が好きだから描きました。人はコミュニケーションを円滑にするために、あるいは自分が傷ついたり苦労しないために、先入観や思い込みで判断したり行動することがとても多いです。障害者への思い込みに限らず「無意識を意識する」瞬間は自分の浅ましさに気付く瞬間でもあり、人間らしい瞬間なのでとても好きです。描ける機会があればいつでも描きたい感情です。
――不器用ながらも近づいていく、ちまと秋ですが、この2人の恋模様はどのように進んでいくのしょうか?
真昼てくさん 普通に恋愛していきます。ただ、たまたま好きになった人が全盲だっただけの話なのですが、相手が障害を持っていたために、この気持ちは「愛情」なのか「同情」なのか、と疑ってしまう…かもしれません。
――なるほど、それは興味深いですね。実際「障害」というテーマを描くにあたって、先生ご自身が表現するうえで気を付けていることがありましたら、お教えください。
真昼てくさん 悩んだら当事者に聞くことと、特別にかわいそうにはしないことです。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
真昼てくさん なるべく長く読者の皆様に楽しんでもらえる娯楽を作り続けるのが目標なので、今作も難しく考えず楽しめる甘い恋愛マンガをお届けできるよう頑張ります。