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「品行方正が求められすぎるとお笑いは死んでしまう」コロチキ・ナダル、“クズ芸人”としての矜持と葛藤

 『アメトーーク!!』(テレビ朝日系)で「ひんしゅく体験!ナダル・アンビリバボー」としてそのクズっぷりを取り上げられて以来、「クズ芸人」の代名詞的存在になっているコロコロチキチキペッパーズ・ナダル。そんななか2020年、ナダルが自身のYouTubeチャンネルで、過去のいじめ体験を語ったことが話題に。いじめの結果、「めっちゃ人の機微は見えるようになったと思います」と語るがそれは、性格の悪い“クズ芸人”カテゴリの代表格である彼の言葉としては相反する印象。その真意は? いじめ体験や芸人としてブレイクしたからこその悩みについても話を聞いた。

中学時代の壮絶ないじめ、笑い話に昇華できたと思っても「やっぱり軽くトラウマになってるんやろな」

 『アメトーーク!!』や『ロンドンハーツ』(共にテレビ朝日系)などで、そのクズっぷりが度々明かされているナダル。そんなナダルがいじめにあっていたのは中学1年から。始まりは学年のリーダー格の女子生徒に注意したこと。テストが始まる直前になってもその女子が廊下で勉強をやめなかったことを「いい加減にしろ」とキツめに注意したところ、女子全体から無視され、「見たら目が腐る」の陰口のほか、放課後に黒板に悪口が箇条書きでびっしり書かれるなど、ここで紹介しきれないほどの壮絶ないじめを受けることになった。

 「僕の言い方も悪かった。ルール的には正しいのは僕ですが、“こっちが正義や”みたいな、それこそ圧をかけるような言い方をしたと思いますし、それぞれ人は物差しがあるのに、すべてを自分の尺度で計っていたような気がします。相手からしたらそれは苛立ちますよね」(ナダル/以下同)

 実はナダルは非常に躾に厳しい家庭で育ち、人一倍正義感が強かった。真面目な性格ゆえに、ついつい注意してしまい反感を買う結果に。「当時は相当しんどかった。芸人になってからは笑い話にしていましたけど」と言うが、2015年、地元に凱旋ライブした際に、主犯格の女子と再会。ビンゴ大会で「ビンゴ!」と壇上に上がってきたのがその女子だった。「その時に顔がひきつって何もできなくなった。相方の西野(創人)も、“どうした?”みたいに気づいたみたいですね。自分の中では克服したと思っても、本人を前にするとビクッとなるというか。やっぱり軽くトラウマになってるんやろなって思います」

 こうしたいじめ体験を、芸人になったナダルは、周囲へ面白おかしく話す道を選んだ。武勇伝は人を辟易とさせるが、不幸なことは笑いになりやすい。先輩たちの技術を真似しながら昇華していき、反応が良かったことでYouTubeでもネタにしていった。

「僕がクズで笑いをとっていることが、どこかで“いじめ”に繋がっているかもしれない」

 ところで、ナダルと言えば“クズ芸人”の筆頭に名前が挙がる存在。売れる前の見取り図が漫才で爆笑をとった後「面白いのになんでなんですかね?」と声がけ、先輩のジャルジャルに「まだまだ伸びるな」、サバンナ高橋に対して「昔ほどオーラがないですね」etc。無礼極まりないが、実は「人間が誰しも持つ意地の悪さや狡猾さを寄せ集めてクズ芸人“ナダル”が出来ているんです」と語る。

 「そもそも相方の西野が『アメトーーク!』で僕のエピソードを面白おかしく紹介し、それを番組が面白がってフィーチャーしてくれたのがきっかけ。そこから“クズ芸人”とカテゴライズされていますが、本質で見ると面白いことを追求しているだけなんです。『なんでやねん』とツッコまれるのは、ちゃんとしてないから。人とずれてるから笑えるわけで、その際どいところを攻めた結果、僕の場合は“クズ”が面白いとなった。そもそも本当のクズはヤバすぎて、テレビに出ても皆引くし笑えない。僕はたまたま根が真面目すぎたので、その基準があるからズレたことをやれると思っています。真面目の軸をちょうどいいクズの軸にずらす。でもだからといってクズにこだわりすぎるのも良くない」

 面白さを追求したことでクズにたどり着いただけであり、クズに囚われると、本来の“面白さ”を失ってしまう。実際、彼のなかにも「やってはいけない」クズの線引きがある。「分かりやすいのは女性遊びですね。昔は女の子が大好きで、ほっといたら大トラブルを起こしていたかもしれません。テレビでも匂いを嗅いだり、髪の毛を頭に載せたり…。ですが結婚した今となっては、それをすると妻を傷つけてしまう。家族が大事な僕にとってそれは耐えられない。そもそも昔と違って今は、下手な女性遊びは命取りになる時代です。仕事も家族も失うでしょう」

 確かに今は芸人にも“品行方正”が求められる時代だ。あまり“品行方正”が過ぎると、お笑いの幅が狭まってしまう。さらに彼には悩みも。「僕がクズと呼ばれて笑いをとっていることが、どこかで“いじめ”に繋がっているかもしれない」という危惧だ。

「いじりといじめの違いは、いじりは笑いにつながって、いじられる方もうれしいこと。一方でいじめはとにかく相手が嫌な思いをする。大人なら理解できるかもしれませんが、子どもにその違いを分かれというのも、いじられたら笑いで返せというのも難しい。芸人のギャグを真似したくなる気持ちも分かります。でも、芸人仲間から “品行方正、誰も傷つけない笑いばかりのこの世の中ではお笑いが終わる”と危惧する声も聞こえます。すごく難しい問題ですよね…」

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