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「ダバダ」CMなぜ“封印”していた?「イメージを全部捨てても…」インスタントコーヒーからの脱却図ったネスレの気概

『ネスカフェ ゴールドブレンド』の新CMに出演しているTOKIO

『ネスカフェ ゴールドブレンド』の新CMに出演しているTOKIO

 「ダバダ〜」、といえばコーヒー。とくに年配層にはお馴染みの『ネスカフェ ゴールドブレンド』のCMが、装いも新たに放送中だ。同作は、1970年にスタートした歴史あるCM。だが、この10年の間、“封印”されていたことをご存じだろうか。幅広く認知された「ダバダ」CMの消滅…その裏側には、日本のコーヒー文化の変化も影響している。強力なCMを封印してまで成し遂げたかったことは? ネスレ日本に聞いた。

そうそうたる著名人が出演した「ダバダ」CM、実は社会情勢によって変化

 同CMがスタートしたのは、1970年。これまで、遠藤周作(作家)、山本寛斎(ファッションデザイナー)、高倉健(俳優)、宮本亜門(演出家)など、そうそうたる著名人が出演しており、各年代のCMを覚えている人も多いだろう。そんな同CMの新作が、10月からTOKIOを迎えて放送中。「ダバダ」に懐かしさを感じた視聴者は多いようで、「非常に好意的な反応が多く、『ダバダ、久しぶりに聞いた』『ダバダを聞くとコーヒーが飲みたくなる』といった声をいただいています」と、ネスレ日本株式会社 飲料事業本部の上林亮陽(かんばやしよしはる)さんは語る。

 「50-60代の方はもちろんのこと、20代-30代の方にも広く認知していただいております。SNSなどを見ると、若年層の方々にも受け入れられているようで、感慨深いものがあります」。

 そもそも、この「ダバダ」CMは日本の社会情勢を汲み、スローガンも時代に合わせて変化してきた。1970年代、日本が右肩上がりの高度経済成長期だった頃は「違いがわかる男の」。他よりも一歩リードした憧れられる人として、松山善三(映画監督)、中村吉右衛門(歌舞伎役者)などが登場した。1980〜1990年代、バブル経済が崩壊してライフスタイルや価値観が激変すると、物事の本質的な価値を重視するという意味で「上質を知る人の」に変化(バレエダンサー・熊川哲也、狂言師・和泉元彌らが登場)。2000年代になると、グローバル市場経済の進展、価値観の多様化を表す「違いを楽しむ人の」と、変わってきた(俳優・松たか子、アーティスト・DREAMS COME TRUEが登場)。

 そして2021年、10年ぶりの新作は「違いをつくる人の」。TOKIOを起用したのは、「自分の活動を楽しみながら、社会や周囲にポジティブな影響を与える活動をしている人として、真っ先に名前が挙がった」という理由からだ。

封印されたCMと「脱インスタントコーヒー宣言」、長年親しまれたからこそのジレンマ

 だがこのCM、実は放送されるのは10年ぶり。2012年を最後に、一度“封印”されているのだ。ここまで幅広く認知され、確立されたCMは、企業にとっても大きな武器となるはずだが、なぜそれを捨てたのか。その裏側には、長年親しまれてきたからこそのジレンマがあった。

 「親しみを持っていただいたのは大変ありがたかったのですが、だからこそ浸透しきった“インスタントコーヒーのイメージ”が問題でした。当社では、2013年に従来の製法を変えて、本格コーヒーの味を楽しめるレギュラーソリュブルコーヒー(微粉砕した焙煎コーヒー豆を独自のコーヒー抽出液と混ぜ乾燥させたもの)に転換しています。レギュラーソリュブルコーヒーとインスタントコーヒーとの明確な違いを示す必要があるなか、『ダバダ』イコール“インスタントコーヒー”というイメージが強くあると感じたため、社内からも反対意見はあったのですが、それでも変えなければ伝わらないと判断したのです」。

 これまでとは違うことを伝えるために、さらに同社は2013年に「脱インスタントコーヒー宣言」を行い、挽き豆包み製法”という新製法を使用したレギュラーソリュブルコーヒーという新概念を打ち出した。

 「これまでのイメージを全部捨てても、お客様には本気度を伝えたい。そんな想いでした。もちろん、“インスタントコーヒー”という代名詞と決別することで、ビジネス面では調整に苦労することもありました。でも、それはお客様に、家庭で本格的で美味しいコーヒーを楽しんでもらいたいという想いからでしたし、実現できる自信もありました」。

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