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“おにぎり具抜き機”に“登れない切子脚立”… 世界に誇る日本の町工場技術を駆使した『くだらないものグランプリ』開催の理由

 日本の発展を支えてきた町工場の技術を駆使した“くだらないもの日本一”を決めるコンテスト『くだらないものグランプリ』。昨年に引き続き、第2回がオンラインにて開催されると、愛知県小牧市の・千成工業が開発した優勝作品“おにぎりの具を抜く機械”が大きな話題に。ほかにも、『捨てづらいゴミ箱』『ホイール腹筋ローラ―』『つかめない女心』など、くだらなくて笑える作品が勢ぞろいした当グランプリ。主催した愛知の町工場・ダイワ化工に、開催のきっかけや“くだらないものづくり”に込められた思いを聞いた。

きっかけはコロナ禍の業界の変化、単価の叩き合い、メールだけの淡々としたやり取りに…

――『くだらないものグランプリ』開催のきっかけを教えてください。

昨年の春、コロナの影響で出展する予定だった展示会が中止となり、そのまま何もできないのが悔しくて、町工場の社長数名に声を掛け、オンラインで町工場発信のミニ展示会を開催しました。その後、反省会をオンラインで行った際、コロナ禍が落ち着いて仕事が戻ってきたとしても、“単価の叩き合いで仕事を取っていく”、“図面が送られてきて、メールだけの淡々としたやり取り”…。

そんな状況に「これってものづくりと言えるのか。つまらんよな〜」という話になりました。すると、そのうちの社長2名が自分が作ったモノを自慢し始めました。そのモノが相当くだらなくて、他のメンバーは失笑。一向に自慢話が止まらないので、「そんなにやりたいんだったらそれを大会にして、思いっきりやったら?」という話になり、開催することが決まりました。

――どのような企業が参加しているのでしょうか。

日本中のものづくりをしている町工場です。2回目の今年は、愛知、岐阜、大阪、東京、富山の5府県が参加しました。
――話題となった優勝作品『グナッシ〜』の特長や工夫点などを教えてください。

コンビニのオニギリの具を取るキッチン用品で、各コンビニに対応しています。8割方の具を抜き取ります。2割くらい残るのは愛嬌で。具無しオニギリが食べたい方やどうしても嫌いな具が食べたくない方にうってつけです。

工夫した点は、海苔を切るために、刃の形状や上型と下型との噛み合わせの隙間の調整。 ファイバーレーザー溶接で、できるだけ歪みを少なく作られています。苦労した点は、おにぎりを沢山食べる事。海苔がなかなか切れなくて、どうしたら海苔を切れるか。具が残らないように、型の大きさなどの微調整を重ねたとのことです。

――ほかにも個性的な作品が勢ぞろいしていました。

そうですね。(株)指只の「木ゃ建つ」は、日本伝統技術である切子の技術をふんだんに使用した、すべてが切子の脚立です。その名の通り、脚立ではありますが、切子技術に気合入れ過ぎてしまったため登れません。釘やビスを一切使わず建具の技術をふんだんに使っています。面積の狭い中で、組子細工を施した点、脚立の可動部分の精密な手加工部分が苦労されたようです。

「こうあるべき」を取っ払う勇気、「カッコ悪い」って「カッコイイ」… “くだらない”に込められた思い

――当グランプリの反響はいかがでしたか。

モノづくりに関わりがない一般の方々にも、「おもしろい!」「くだらない!」「こういうのなんか好き」などたくさんの声を頂きました。普段なかなか世の中に知ってもらう機会がない町工場の技術や、ものづくりの真の面白さを少しでも知ってもらえたと思っています。このイベントを通して、コロナ禍で「どうしていいのか分からない」と落ち込んでいる方々が、クスッと笑って少しだけ元気になってくれたらうれしいです。

――出展作品は、今後それぞれどのように活用されるのでしょうか。

基本的にそれぞれの会社で保管されますが、リアルな場で一般の方たちに触れてもらう機会を設ける場合があります。当グランプリ1回目開催後には、愛知と大阪で “くだグラツアー” を開催しました。今年度は、来年1月16日にイオンモール扶桑(愛知県丹羽郡扶桑町)にて、参加企業が集まる催しものを開催予定です。参加企業が作品を持ち寄り、来ていただくみなさんに楽しんでもらえる企画を考えています。
――当グランプリを通して、どのようなことを期待されていますか。

参加企業だけでなく、全国の町工場に興味を持ってもらえるきっかけづくりとなり、毎日モノと向き合い働いている人たちの魅力を伝える一助となっていればうれしいです。このグランプリ自体を大きく発展させようとは、今のところ考えていません。必ず長く続けようとも思っていません。“くだらないものづくりに本気で取り組む”、“自分と周りの人を笑顔にする”、“「こうあるべき」を取っ払う勇気”、“「カッコ悪い」って「カッコイイ」”、“参加企業みんなを思い合える愛”がグランプリの理念です。これらを貫ける範囲で、純粋に、くだらなく楽しみたいと思っています。大変なご時世ではありますが、これからも大人の文化祭のノリで、ワクワク楽しくやっていきたいです!

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