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ムロツヨシの“奇妙な”バイト時代 レアな虫探し、クレーム対応…「楽なバイトは危険」な理由

この記事は、LINE初の総合エンタメメディア「Fanthology!」とオリコンNewSの共同企画です。
⇒この記事をオリジナルページで読む(9月22日掲載)

ムロツヨシ

日本の映像業界になくてはならない俳優・ムロツヨシさんですが、下積み時代には、多種多様なアルバイトを経験した“バイトマスター”でもあります。溢れ出る人間性の奥には、果たしてどんなバイト経験が? 非常にユニークなバイト経験を持つムロさんに、そこから得た人生経験や、心掛けていたバイト選びのコツ、さらにはバイトから培った人間観や仕事観などをお聞きしました。

撮影:上野留加 取材/文:磯部正和

レアな虫探しに“ガラ出し”、進んでやったクレーム対応…驚きのバイト遍歴

――ムロさんは数々のバイト経験があるとお聞きしましたが、実際はどのようなアルバイトをされてきたのでしょうか?
数えられないほどやりましたね。引っ越しや解体の仕事、廃材を捨てるガラ出しという肉体労働的な仕事から、眼鏡屋、お好み焼き屋、居酒屋などの接客業、あとは虫探しみたいなバイトもありました。

――虫探しですか?
横浜市に鶴見川というのがありまして、そこにしかいないゴミムシ(編注:ヨコハマナガゴミムシ)が発見されて、トラップを仕掛けて何匹引っかかったかを報告するようなアルバイトでした。ほかにも、バイト先が3日目でお金が払えなくなって、急に仕事がガラッと変わったりしたこともありました。
――そんななかでも、やって良かったと思うアルバイトを3つ教えてください。 
いろいろあるので3つに絞るのは難しいなぁ(笑)。そんななかでも、まず思い浮かぶのは、魚市場のマグロ運びですかね。なによりも朝早く起きるという生活スタイルが特殊なので、お酒を飲む時間が早くなります(笑)。生活に慣れない間は、ほんのりと後頭部が痛いのですが、朝の魚市場って、ものすごく活気があるので、そこで働く人たちもみんな活き活きとしているんです。そのなかに混じって仕事をすると、自然と自分自身にもいい影響を受けていると感じられるんですよね。すごく職人気質で、プライドも高い人が多いので、あちこちで喧嘩になるのですが、そういった熱さも刺激を受けるんですよね。
――2つ目はいかがですか?
東京ドームや、さいたまスーパーアリーナをコンサート会場にする設営の仕事も、自分にとっては大きかったですね。皆さんはすでに会場として出来上がっているところを見ることが多いのですが、東京ドームなどは、元々が野球場なので、芝生を養生するシートを敷いて、そこの上にステージをゼロから作るんです。

マリンスタジアムで行われたサマーソニックのときなども、芝生を傷めないために、道板(みちいた)というすごく細い板を全面に敷くのですが、真夏にやるので、みんな腰をぶっ壊して、どんどんいなくなるんです。本当につらい仕事なのですが、そういう人たちが一生懸命作ったからこそ、演者が思い切りパフォーマンスできるんですよね。そういう人たちの安全面を含めたプロの仕事を知ることができたというのは、自分も舞台に立つ側の人間をやらせてもらうようになったとき、すごく大きな経験だったなと思いますね。

――もうひとつ、印象に残っているアルバイトはありますか?
どの仕事というより、眼鏡屋とかお好み焼き屋などの接客業全般ですかね。どれも1年ぐらいやっていたのですが、僕はそこでクレーマーみたいな人の接客を好んでやっていたんです。どんなに無理難題を言われても、そこで負の感情を持たず、フラットな状態で対応するという訓練をしていました。そういう経験って、芝居をする上で絶対役に立つと思っていたんです。

「楽なアルバイトはやらない」「楽しいと思うのは危険」

――すべては俳優業のために……という思いでやっていたんですね。
そうですね。もちろん経済的な部分はありますが、「絶対に芝居に活かせる」というモチベーションでアルバイトをしていたと思います。
――逆にやらなくても良かったなというアルバイトはありますか?
業種ではないのですが、皆さんが言う“楽な仕事”というのは自分のなかでは無理でしたね。例えば受付に座っているだけとか、よく演劇人がやっていたのですが、薬の検体検査の仕事で、2日間ずっとのんびり過ごすとか……。基本的に楽で暇なアルバイトって、時間が全然進まないんですよ。そういうのが本当に苦手で。普通は建築現場とかでも、楽な仕事は取り合いなんですが、僕はあえて体感時間が短くなるような、きついアルバイトをするようにしていました。

――ムロさんにとってのアルバイト選びは、楽なものよりも、きつい仕事の方が良かったんですね。
そうですね。あとは、“楽しいアルバイト”もしないというのはありましたね。俳優という仕事が目標にあったなかでのアルバイトなので、楽しいと思うことって危ないんですよ。もしアルバイトが楽しかったら、俳優なんて辞めてそっちに流れちゃうじゃないですか。だって、芝居の稽古なんて決して楽しいものじゃないから。だから「あれ、なんか面白いな」と感じたら離れるようにしていました。

先ほど印象に残るアルバイトで話したコンサート会場の設営撤去の仕事は、どんどん経験を積んで、いろいろなことを任されるようになったので、だんだんと自分の居場所ができたという喜びが湧いてきたんです。やっぱり頼られるというのはうれしいですからね。だからこそ、あえて30歳の誕生日の前日に年齢のせいにして離れたんです。
――どこまでも俳優業という軸がブレることなくアルバイトに臨んでいたんですね。
そうですね。楽しむことよりも、俳優業にどこまで活かせるか。あとはやっぱり生活費を稼ぐという目的でしたね。ご飯は食べていかないといけないので。

仕事ができるパチンコ狂いの同僚…バイト先の忘れられない人たち

――いろいろなアルバイトをしていると、衝撃的な人との出会いもあったのではないですか?
登録制のアルバイトをしていたとき、すごく仕事ができる人がいたんです。その人は、本当に効率よく仕事をして、頭も切れる感じだったのですが、日払いでもらったお金を、すべてパチンコに使ってしまうんです。翌日出社すると「全部すっちゃったよ」と愚痴をこぼして、また効率よく仕事をするというループの人でした。家族に逃げられた話とかもしてくれるのですが、逃げられたというよりは、そのループに付き合いきれなかったのかなと(笑)。僕も「パチンコやめて、他の趣味を見つけたらいいじゃないですか」って言ったこともあったのですが「それが見つかったら苦労しないよ」と言って、また同じことを繰り返すんです。

でも、何度も言いますが、すごく仕事ができるんです。彼にとって、パチンコに負けることが、仕事のモチベーションなんでしょうね。人生をまったく悲観していないし……。その人のことは、いまでもずっと忘れられないですね。
――独特のアルバイト観をお持ちですが、若い子たちにアルバイト探しのアドバイスを送るとしたら?
なんでしょうね。僕はあえて楽で楽しい仕事は選びませんでしたが、俳優を目指しているとかそういう人以外は、楽しくやれるアルバイトを見つけることが一番なのではないですかね。僕は19歳から俳優の世界を志して、途中で大学を辞めましたが、同級生たちは、冬休みとかスキー場のリゾートバイトとかやって楽しんでいましたからね。

その季節限定の仲間意識を楽しめますし、他の大学の異性と知り合ったり、夜は飲んで騒いだり……という友達の話を聞くたびに「この野郎!」って思っていましたが、そういう奴らは絶対恋をして帰ってきますからね。楽しいに決まっているじゃないですか(笑)。多くの人には、リゾートバイトをオススメします!

アルバイトとは、1時間をお金に変える尊い経験

――ムロさんにとってアルバイトの経験とはどんなことをもたらしてくれたのでしょうか?
とてつもない社会経験でした。人間関係を含め、いろいろな考え方や社会の仕組みも学ぶことができましたし、自分の1時間をお金に変えるという経験は、掛け替えのないものでした。
――俳優業で“生活”をするようになっても、1時間をお金に変えるという感覚は続きましたか?
それはないですね。お金を稼ぐというのが俳優の最終的な目的ではないですからね。ただ、皆さんに認知していただく前と後では、給与形態や生活は変わってきましたから、そこに対応するのは難しかったです。浮かれないようにする自分もいるし、浮かれちゃった自分もいるだろうし。

ただ、浮かれたときは、しくじればいいし、どこかで鼻をへし折られればいい。折れた痛みを知ることも人生には大事だと思うので。そこからまたもう一度調子に乗ってみることも必要かもしれないし、すべてが経験なんだと思います。
プロフィール
ムロツヨシ

1976年1月23日生まれ、神奈川県出身。俳優の下積みを続けながら、2008年に脚本・演出・出演する舞台「muro式.」をスタート。2018年に「エランドール賞」新人賞を42歳にして受賞。プロジェクト『MIRRORLIAR FILMS』で初映画監督。また、本作が映画初主演となる。ほか、『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』の公開を控えている。
作品情報
映画『マイ・ダディ』

監督・共同脚本:金井純一
出演:ムロツヨシ、奈緒、毎熊克哉、中田乃愛、臼田あさ美、徳井健太(平成ノブシコブシ)、永野宗典、光石研

『嘘を愛する女』、『哀愁しんでれら』などの作品を排出した映像クリエイター支援プログラム「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM(TCP)」 の2016年準グランプリ受賞作品。ムロさんが演じるのは、最愛の妻・江津子(奈緒)に先立たれ、中学生の娘・ひかり(中田乃愛)と2人暮らしをする小さな教会の牧師・御堂一男。穏やかな日々を過ごしていた中、ある日、突然ひかりが倒れてしまう。病院で下された診断は“白血病”。混乱し事実が受け入れられない一男だったが、担当医師から、愛する娘は自分の実の子ではなかったことを告げられる。ひかりに適合するドナーは数百万人に一人という残酷な現実が一男をうちのめすが、「血縁者は適合率が上がる」という事実に気付いた一男は、ある思い切った行動に出る……。
この記事について
この記事は、LINE初の総合エンタメメディア「Fanthology!」とオリコンNewSの共同企画です。
俳優・歌手・芸人・タレントらの趣味嗜好を深堀りしつつ、ファンの「好き」を応援。今後、さらに気になる人の「これまで」と「これから」をお届けしていきます。
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