ORICON NEWS
『ドラ泣き』コピーに賛否、ドラえもん50周年記念作品を“泣ける”映画にした理由とは
前作の大ヒットに加え、“思い出補正”に勝る作品作りのプレッシャーで一時制作休止も
「前作を見ていただいたお客さんの中で、前作が美化されている可能性があります。いいものとして“思い出補正”された前作に負けない作品を作らなければならない。そのプレッシャーからか、いろいろなアイデアはあったんですが、『一度みんな頭を冷やそう』となって一時制作休止。それからしばらくして、再度会議を。その“間”があったことで50周年のタイミングで公開できそうになり、“50周年記念映画”となった経緯があります」(八木監督/以下同)
「スタッフの一人が『大人のび太が結婚式から逃げ出したりして(笑)』と発言したのです。これに私と共同で監督を務め、脚本も担当している山崎貴が『はっ!』と。改めて山崎が原作を読み直したところ、最後の方でおばあちゃんがのび太に『あんたのお嫁さんをひと目見たいねぇ』と言ってたんです。ここからですね。本格的に物語が作られていったのは」
映画の使命は「ドラえもんをリアルに表現すること」アニメでは省略できる描写も3Dでは時代設定から
「そこで、作品に登場するアイテムを初版が出版された当時のものに合わせました。のび太のファッションや靴、蛍光灯のデザイン、自動販売機、自動車など。具体的に言えば前作は1974年、今作は1975年頃のデザインにしてあります。実は、裏設定的には今作は前作の1年後の世界を描こうとしています。要は、今作ののび太は、ドラえもんと出会って1年が経っているということです」
(C)Fujiko Pro/2020 STAND BY ME Doraemon 2 Film Partners
(C)Fujiko Pro/2020 STAND BY ME Doraemon 2 Film Partners
「また、感動の要素については、前作も今作も“人を思いやる気持ち”を大切にしています。前作では、のび太とドラえもんの友情。今作は、おばあちゃんの願いや、それを叶えたいというのび太の想い。のび太は、人を思いやりすぎて逆にネガティブモードに入ってしまう面もありますが、それも含めてしっかりと描くことで、観てくださる方々のそれぞれのご両親やご祖父母への想いに、本作が直結してくれるのではないかと願っています」
「『ドラえもん』のコミックスが発売された当時、子ども向け雑誌などに載っていた未来予想図は非常に明るくポジティブなものばかりでした。『STAND BY ME ドラえもん』シリーズでは、これを踏襲。そもそもドラえもんは“明るい未来”の22世紀から来た存在ですし、そのユートピアへ向かう過程として、大人のび太の住む未来も明るいものにしています。“未来は暗い”、“昔はよかった”という風潮がある中、ドラえもんがいる世界では、未来は明るくあって欲しいんです」