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動画『イチロー先生』話題、引退から1年…子どもも聞き入る“言葉の重み”と“親しみ”の作用
“侍”イチロー、華麗な活躍とメディアの前で語られた数々の言葉
世界的に愛されるスター選手となったイチローは、その“言葉”も注目されてきた。いわく「壁というのは、越えられる可能性がある人にしかやって来ない。だから、壁がある時はチャンスだと思っている」。いわく「成績は出ているから今の自分でいいんだ、という評価を自分でしてしまっていたら、今の自分はない」。これらの“言葉”は、多くのメディアが事あるごとにまとめるほどで、ウィットにも満ちた彼の“言葉”たちは、「金言」とも「格言」とも評される。
だがメディアの前でのイチローは寡黙だった。若い頃はバラエティ番組にも出演し、明るくよく喋る印象だったが、次第にメディアと距離を取るように。その結果、野球に対するストイックな“侍”の印象が強く、「どこかとっつきにくい」「気難しい」と感じていたユーザーも少なくないのではないだろうか。
だからこそ、WBCで優勝した時のシャンパンファイトで、後輩たちに次から次へとシャンパンを浴びせられ「お前ら先輩を敬え!」とはしゃいでいた姿は意外に感じられただろう。しかし今、思い返すと2006年、『古畑任三郎ファイナル』(フジテレビ系)の第2話で、わざわざ本人役で、イチローのイメージそのままの犯人役を演じるなど、彼の柔軟さや人間味、そして茶目っ気は、メディアの裏に隠されていたことが見て取れる。
引退会見で見せた“人間味”、徐々に解禁される市井に降りたイチロー
この会見から半年以上過ぎて公開されたのが、20年近くブランドパートナーを務めるSMBC日興証券のWEB動画。イチローの“人間性”にスポットライトをあてた『人生100年イチロー人生すごろく』は大好評。そして今回の第2弾『おしえて!イチロー先生』では野球に限らない話を聞くことができる。
SMBC日興証券の広報部広告宣伝課・今井龍作さんは「第2弾の企画は、第1弾『人生100年イチロー人生すごろく』のなかで、イチローさんがやってみたい職業として“学校の先生”とおっしゃっていたことがきっかけです」と話す。
「イチローさんが2019年3月にプロ野球選手としての現役引退を発表した後、2001年のブランドパートナー就任以降、イチローさんと共に歩んできた当社は、引退されたタイミングでこそ『人間としてのイチローさん』に『生き方』のことを聞いてみたい、という想いがありました。第2弾では、イチローさんに『学校の先生』になっていただき、こどもからおとなまで様々な生徒の質問・悩みに対する答えを通して、イチローさんの魅力を更に深掘りできるのではないかと考えました。真剣に、率直に答えてくださるイチローさんの言葉には、重みや深み、感動や意外性など多くの要素があり、動画を観る人々の心にイチローさんの生き方や想いが届いたのはないかと思います」(今井さん/以下同)
実際、本編公開以降、YouTube、Twitterへのアクセスが急増する。「イチローさんが、どんな質問に対しても、一生懸命考えて、真剣に答えてくださっている点を多くの方々がSNS等で言及されていましたね。イチローさんが、CMを通して、当社のメッセージを発信していただくだけでなく、今回のような、ご本人のキャラクターにまで触れた動画企画にご出演いただいたことで、『企業の顔・イメージを担ってきたタレントの役割が変わりつつある。』とのコメントがあり、印象深く感じます。ネガティブなコメントをほとんど見かけなかったことは、イチローさんの人間性ゆえだと考えております」
「自らの仕事に対する真摯な姿勢」「弛まない自己研鑚」に変化なし
さらに待機中には、生徒の中に積極的に入っていき雑談をするなどの“人間味”も見られたと言う。「イチローさんが、イチローさんとして、真剣に、また真正面から悩みや質問に答えたいという姿勢が垣間見られ、プロフェッショナルさを感じました。そもそも当社がイチローさんをブランドパートナーとして起用させていただいたのは、ベースボールを心から愛する野球人として、明確な信念とビジョンを持ち、その活動を通じて国境を越えて大きな感動を呼び起こしていたから。イチローさんのもつ実績の礎となっている、『自らの仕事に対する真摯な姿勢』や、『弛まない自己研鑚』といった行動のすべてが、当社の目指す方向性と合致するものだったからです」
このイチローの変わらぬ「プロフェッショナル」な姿が視聴者の心にも刺さったのであろう。SNSでは「やっぱイチローはすげーわ」などと絶賛の声が寄せられ、続編を待ち望む声も挙がっている。今井さんも「単なるCMキャラクターではなく、価値観や夢を共有するパートナーとしてともに歩んできたことは、当社にとって大きな誇りです」と胸を張る。
動画撮影の現場で、撮影中にもカメラが回ってない待機中にも発露されたイチローの“人間味”。 数々の名言がメディアと選手の関係性から産まれたものであったことを考えると、引退後の発言は人間イチローが世間に向けて話す“親しみ”が追加されているようにも感じられる。感情論だけではない職人のようなストイックさと実績があるからこその説得力は相変わらず。さらに我々と同じ目線で話すイチローの、“新たなスター”としての姿がこれからも楽しみだ。
(文/衣輪晋一)
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