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モー娘。「ザ☆ピ〜ス!」が今なぜ話題? “投票行って外食する”現象に見るエンタメの役割
チョコプラ松尾や、ハリセン春菜、渡辺直美に、ローランドも…“投票行って外食”現象
そんな“投票行って外食する”報告は、多くのフォロワーを持つタレントや著名人の間でもSNSに多数投稿された。チョコレートプラネットの松尾駿とハリセンボンの近藤春菜、渡辺直美が「私は投票行ったけど外食できず」、「私は投票行って出前とった」、「私は投票行ってピザ出前したんだがデリバリピザいつも悩むLかMか」といったやり取りを展開。モー娘。ファンで知られる指原莉乃も「投票うぃってお散歩してきた」と投稿。また、人気ホストのローランドは「投票行って外食する」、元モー娘。藤本美貴の夫・庄司智春も「今日は投票に行きましたが、外食はしてません。」と投稿している。ちなみにTwitterで選挙の投票と「ザ☆ピ〜ス!」の歌詞を絡めた最古の投稿を検索してみると、2007年4月22日に行なわれた第16回統一地方選挙当日、「投票行って外食してきた」とジャーナリストの津田大介氏が投稿している。その後、ユーザーの増加とともに定着していったのだろう。
モーニング娘。女性アイドルグループ一強時代に描かれた「ある休日」
女性アイドルグループ一強状態のモーニング娘。だったが、「ザ☆ピ〜ス!」のサビの「好きな人が優しかった」「うれしい出来事が増えました」「大事な人がわかってくれた」「感動的な出来事となりました」と歌うように、それまでのイケイケではなく、ごく普通の女性たちのささやかな日常の幸せを表現した親近感のある歌詞となっている。当時、中居正広や岡村隆史が番組の企画でキレキレのダンスを披露したことでも話題になったが、2010年から公式YouTubeで公開されているMVは現在860万回再生。コメント欄には「この歌の歌詞の素晴らしさに2020年になって気が付きました」、「今更だけどつんくってすごいわ」などといった共感の声が寄せられている。ミレニアム、21世紀の幕開けと浮足立つ日本に出現したホッと一息つくような歌詞は、時代に左右されることなくジワジワと染みわたっていたようである。
SNS時代、「ザ☆ピ〜ス!」が最もシンプルな投票の啓蒙に?
「この歌詞を思い出したから」、「Twitterにつぶやきたくて」等々それぞれに理由はあるだろうが、親近感や懐かしさを覚えるフレーズをユーザー同士で共有する連帯意識も作用し、今回、何となく投票会場に足が向かったという若者も多かったのではないだろうか。また、絶妙にユルい歌詞は、仰々しく支持政党の決定を促す方向ではなく、政治に参加することの意義を自然に考えるきっかけとなったようである。
2001年のリリースから約20年、古さも説教じみたこともなく、一つの楽曲が政治や社会のことを考えるきっかけとなる。この2020年にも巻き起こった「ザ☆ピ〜ス!」現象は、まさにコロナ禍で“不要不急”となりがちでもあるエンターテインメントの神髄を表わしているのかもしれない。