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モーニング娘。がデビュー20周年、シーンにもたらした功績とその変遷

  • 昨年9月14日に開催された『結成20周年記念イベント』にはOG道重・田中も駆けつけた (C)ORICON NewS inc.

    昨年9月14日に開催された『結成20周年記念イベント』にはOG道重・田中も駆けつけた (C)ORICON NewS inc.

 本日28日に、メジャーデビュー20周年を迎えたモーニング娘。’18(以降、モーニング娘。)。現在のメンバーは13名で、生まれた時にはすでにグループが存在していたというメンバーが9名もいるというから、時代の流れは早いものだ。オーディション番組『ASAYAN』(テレビ東京系)でデビューした後、大ヒット曲の誕生や、メンバーの卒業・脱退、そしてハイクオリティなパフォーマンス力への再評価など、様々の変革を遂げてきた。そのモーニング娘。20年の軌跡を追いながら、彼女たちが音楽界そして日本に与えた“功績”を振りかえっていこう。

喜び、悲しみ、嫉妬…おニャン子以降の新たな“裏側を見せるアイドル”として台頭

 モーニング娘。のデビューは1997年、オーディション番組『ASAYAN』(テレビ東京ほか)の「シャ乱Q女性ロックヴォーカリストオーディション」に落選した5人で結成されたのがきっかけ。メジャーデビューの条件、「インディーズシングル『愛の種』を5日間で5万枚売り切ること」を見事クリアした5人は、翌1998年1月28日、「モーニングコーヒー」でメジャーデビューを果たす。結成メンバーである中澤裕子・石黒彩・飯田圭織・安倍なつみ・福田明日香の5人は、グループアイドルの先駆者・おニャン子クラブのように、プロパーアイドルではない“素人”っぽさを前面に出していく。

 しかし、番組のカメラはメジャーデビューに至る過程およびそれ以降を密着する。親しみやすさのみならず、“生身”のメンバーたちの裏の苦悩や努力、そして時には憎しみや嫉妬さえも赤裸々に見せる“ドキュメンタリー性”が付加されることで、視聴者が“感情移入”できるアイドルグループとして新しいポジションを確立した。一躍、人気グループとなるのである。

 また、プロデューサー・つんく♂の手腕も光り、1998年5月には保田圭・矢口真里・市井紗耶香の3人が加入、中澤の演歌歌手デビュー、初の主演映画公開、グループ内ユニットの誕生等々、話題性にもこと欠かず、ついに初期の大ヒット曲「抱いてHOLD ON ME!」で初のオリコン週間ランキング1位を獲得、「(当時、絶大な人気を誇る)小室(哲哉)系の歌は難しいけど、これなら歌いやすい」と特に女性にカラオケで歌われたのである。

「LOVEマシーン」以降の全盛期と低迷、そして “確かなクオリティ”の積み上げ

 ところが、翌1999年には福田明日香が脱退し、安倍なつみをメインに据えた6thシングル「ふるさと」もスマッシュヒットに終わると、グループの勢いに陰りが見えはじめる。だが、ここでとんでもない“爆弾”が投下される。後藤真希の加入だ。加入当時はまだ13歳という年齢で、ちょっとヤンキーよりの美少女系のルックスは男性にもウケがよく、素人っぽさをウリにした集団に突然、正統派アイドルが降臨したくらいのインパクトがあった。

 モーニング娘。やAKB48の振付師としても有名な夏まゆみ氏も、インタビューで「一番才能を感じた人は?」と問われると「後藤真希です(キッパリ)。モーニング娘。やAKB48の中で言うと、圧倒的な才能という意味では彼女がNo.1でしたね」(『ORICON STYLE』2014年6月27日』)と絶賛するほどだった。後藤加入直後の7thシングル「LOVEマシーン」は累計164万枚というグループ最大のヒットを記録し、当時のカラオケ店内で同曲が聞こえない部屋はない…というほどの社会現象を巻き起こしたのである。

 その後、シャッフルユニットの結成、石川梨華・吉澤ひとみ・辻希美・加護亜依の加入、矢口・辻・加護・ミカ(ココナッツ娘。)によるミニモニ。のブレイク、後藤真希のソロデビュー等々の実績を残しながら、まさにモーニング娘。全盛期を迎える。

 しかし、2000年代中盤を過ぎると、メンバーのスキャンダルによる“脱退劇”や“卒業”が相次き、再びグループに陰りが見えはじめる。だが、それらを見てきた残りのメンバーたちのプロ意識は最たるものだったはずだ。もともと、音楽家のつんくこだわりのパフォーマンス力は広く認知されていたが、その時期にモーニング娘。は生歌で勝負できる“実力派アイドル”としてのポジションを確実なものにする。

“最長在籍期間”道重さゆみによる起死回生 新たな武器で再評価へ

 折しも、その頃から“会いに行けるアイドル”を標榜するAKB48が台頭していく。グループアイドルはさらに身近になり、ファンたちが実際に自分たちでアイドルを応援、AKBで言えば“センターに押し出す”ことが主流となる時代に突入していった。この変革期では、“実力派アイドル”はなかなか受け入れられなかっただろう。

 そんな“冬の時代”を支えたのが6期メンバーの道重さゆみだ。モーニング娘。の全盛期を知る彼女は、“全盛期は、一度だけとは限らない”と掲げ、「自分を平気でかわいいという」ウザキャラで積極的にバラエティ番組に出演していく。

 もともと彼女は目立つメンバーではなかったが、高橋愛、新垣里沙、田中れいなといった実力派メンバーとともに、強烈なグループ愛によってモーニング娘。を再びアイドルシーンの最前線へと引っ張り上げたのだ。また、加入後まもなくエースとして活躍する9期の鞘師里保の存在もあり、「フォーメーションダンス」という武器を手に入れると、モーニング娘。の実力は“再評価”されていくのである。

 フォーメーションダンスは、メンバー内の数人のグループが異なるダンスを繰り広げ、それぞれがバラバラに見えながら、やがて融合して全体的なダンスを見せるという、非常に高度かつ複雑なもの。一度そのダンスを見ると誰もが、「これこそプロのグループアイドルだ」と驚嘆し、納得する。そして現在も、歌唱力のリーダー・譜久村聖や小田さくら、高度なダンススキルを見せる石田亜佑美、グラビアでも活躍する牧野真莉愛や森戸知沙希などの個性的なメンバーで、マルチなアイドルグループとしてクオリティを進化させている。

進化を続ける絶対的なクオリティ 芸能人からも憧れの存在に

 実際、そんなモーニング娘。に憧れ、ファンからも“同志”と認められている芸能人も多い。例えば、HKT48の指原莉乃はモーニング娘。を尊敬していることを公言しているが、バラエティ番組で活躍する指原の姿は、なるほどかつての矢口真里の姿を彷彿とさせるものがある。また、自身のグループのプロデュース力の高さについても、ファンとしてずっと見てきた追体験が生きているのだろう。他にも、若手実力派女優の松岡茉優もモーニング娘。の熱狂的なファンであり、このふたりは念願叶ってそれぞれステージでモーニング娘。と共演を果たしている。

 「俺たちのアイドル」から「アイドル中のアイドル」、「アイドルが憧れるアイドル」、そして「プロのアイドルグループ」へと、モーニング娘。20年の歩みが日本の芸能界に与えた功績ははかり知れず、まさに“全盛期”だけでは語れない。今後もその絶対的なブランド力とクオリティで女性アイドル業界に“革新”を起こし続けていくことを切に願いたい。

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