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ORICON NEWS
モーニング娘。がデビュー20周年、シーンにもたらした功績とその変遷
喜び、悲しみ、嫉妬…おニャン子以降の新たな“裏側を見せるアイドル”として台頭
しかし、番組のカメラはメジャーデビューに至る過程およびそれ以降を密着する。親しみやすさのみならず、“生身”のメンバーたちの裏の苦悩や努力、そして時には憎しみや嫉妬さえも赤裸々に見せる“ドキュメンタリー性”が付加されることで、視聴者が“感情移入”できるアイドルグループとして新しいポジションを確立した。一躍、人気グループとなるのである。
また、プロデューサー・つんく♂の手腕も光り、1998年5月には保田圭・矢口真里・市井紗耶香の3人が加入、中澤の演歌歌手デビュー、初の主演映画公開、グループ内ユニットの誕生等々、話題性にもこと欠かず、ついに初期の大ヒット曲「抱いてHOLD ON ME!」で初のオリコン週間ランキング1位を獲得、「(当時、絶大な人気を誇る)小室(哲哉)系の歌は難しいけど、これなら歌いやすい」と特に女性にカラオケで歌われたのである。
「LOVEマシーン」以降の全盛期と低迷、そして “確かなクオリティ”の積み上げ
モーニング娘。やAKB48の振付師としても有名な夏まゆみ氏も、インタビューで「一番才能を感じた人は?」と問われると「後藤真希です(キッパリ)。モーニング娘。やAKB48の中で言うと、圧倒的な才能という意味では彼女がNo.1でしたね」(『ORICON STYLE』2014年6月27日』)と絶賛するほどだった。後藤加入直後の7thシングル「LOVEマシーン」は累計164万枚というグループ最大のヒットを記録し、当時のカラオケ店内で同曲が聞こえない部屋はない…というほどの社会現象を巻き起こしたのである。
その後、シャッフルユニットの結成、石川梨華・吉澤ひとみ・辻希美・加護亜依の加入、矢口・辻・加護・ミカ(ココナッツ娘。)によるミニモニ。のブレイク、後藤真希のソロデビュー等々の実績を残しながら、まさにモーニング娘。全盛期を迎える。
しかし、2000年代中盤を過ぎると、メンバーのスキャンダルによる“脱退劇”や“卒業”が相次き、再びグループに陰りが見えはじめる。だが、それらを見てきた残りのメンバーたちのプロ意識は最たるものだったはずだ。もともと、音楽家のつんくこだわりのパフォーマンス力は広く認知されていたが、その時期にモーニング娘。は生歌で勝負できる“実力派アイドル”としてのポジションを確実なものにする。
“最長在籍期間”道重さゆみによる起死回生 新たな武器で再評価へ
そんな“冬の時代”を支えたのが6期メンバーの道重さゆみだ。モーニング娘。の全盛期を知る彼女は、“全盛期は、一度だけとは限らない”と掲げ、「自分を平気でかわいいという」ウザキャラで積極的にバラエティ番組に出演していく。
もともと彼女は目立つメンバーではなかったが、高橋愛、新垣里沙、田中れいなといった実力派メンバーとともに、強烈なグループ愛によってモーニング娘。を再びアイドルシーンの最前線へと引っ張り上げたのだ。また、加入後まもなくエースとして活躍する9期の鞘師里保の存在もあり、「フォーメーションダンス」という武器を手に入れると、モーニング娘。の実力は“再評価”されていくのである。
フォーメーションダンスは、メンバー内の数人のグループが異なるダンスを繰り広げ、それぞれがバラバラに見えながら、やがて融合して全体的なダンスを見せるという、非常に高度かつ複雑なもの。一度そのダンスを見ると誰もが、「これこそプロのグループアイドルだ」と驚嘆し、納得する。そして現在も、歌唱力のリーダー・譜久村聖や小田さくら、高度なダンススキルを見せる石田亜佑美、グラビアでも活躍する牧野真莉愛や森戸知沙希などの個性的なメンバーで、マルチなアイドルグループとしてクオリティを進化させている。
進化を続ける絶対的なクオリティ 芸能人からも憧れの存在に
「俺たちのアイドル」から「アイドル中のアイドル」、「アイドルが憧れるアイドル」、そして「プロのアイドルグループ」へと、モーニング娘。20年の歩みが日本の芸能界に与えた功績ははかり知れず、まさに“全盛期”だけでは語れない。今後もその絶対的なブランド力とクオリティで女性アイドル業界に“革新”を起こし続けていくことを切に願いたい。