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「人より速く走ってゴールすることだけが幸せじゃない」ELT・伊藤一朗が明かす”優秀な凡人”のススメ

ヘビメタ仲間から「魂を売った」と言われた過去

 音楽なんて才能勝負の世界だし、それこそ人の才能に嫉妬して……みたいなイメージを持たれがちなんですけど、僕、他の人を気にしたことがないんですよね。そもそも才能云々で言えば、自分のことを天才だとは思っていません。それはまだ小さい頃に悟りました。「自分は天才じゃない」って。

 というのも、天才ってどういう精神構造なのか知りたくて、天才と呼ばれる人の本をいろいろ読んだんですよ。で、これにはなれないなと。最後は自殺を考えたりする境地まで突き詰めるじゃないですか(笑)。そういうのを読んで、自分は天才とは違う人種なんだとあきらめがつきました

 じゃあなぜプロのギタリストになれたのかと言われると、好きなことに打ち込むエネルギーが少し他の人より強かったのかも。こうしてギターを弾いて生活ができることは、本当に幸せだと思うし、今でも練習は欠かしません。

 10代の頃、僕がやっていた音楽って、ELTで演奏しているようなポップスではなく、ヘビーメタルだったんです。ただ、日本の音楽産業の構造を考えれば、市場の狭いヘビーメタルをやっていても食べていくのは無理だと判断して、ポップスに転身しました。

 そのときは同じヘビーメタルの仲間から「あいつはポップスに魂を売った」とかさんざん言われましたね。でも、僕自身はヘビーメタルもポップスも好きだったから、それほど何か変わったとは思っていなくて。せいぜいヘソまであった長髪を短く切ったぐらい。まあ、髪の毛は切ってもまた伸びるじゃないですか(笑)。それぐらいにしか思っていなかった。

「こだわり」を一度捨ててみると人生が開ける

 仕事でもなんでも、意地になってこだわりすぎてしまうことってあると思うんです。でも、そのこだわりを一度捨ててみることで人生が開けることはある。少なくとも僕がポップスに転身したときはそうでした。だから、「こうじゃなきゃいけない」って背負っているものがあるとしたら、「よっこいしょ」って荷物を下ろす感覚で手放してみるといいんじゃないですか

 ELTとしてデビューできたのは、僕の場合、「たまたま」です。知り合いだった(元メンバーの)五十嵐充くんに頼まれてデモテープづくりを手伝って、それがきっかけで声をかけられただけ。本当にたまたまで、僕に特別な何かがあったからじゃないんです。でも、そんなふうに、時のめぐり合わせで事が運ぶこともあるのが人生。

 人より速く走って、いちばんにゴールすることだけが幸せじゃない。やっていくうちにわかるんですよ、自分という車の排気量は何リッターで、1日に何キロまでは走れるけど、何キロ以上走ると疲れるんだなということが。その範囲を守って、自分のペースで生きていければ、じゅうぶん幸せだと思います。

(取材・文/横川良明)
【Information】

『ちょっとずつ、マイペース。』

怒らない。慌てない。イライラしない。
ELTのギタリスト、いっくんこと伊藤一朗氏が、ユルい人生哲学を明かす!

もくじ
第1章 本当はドラムをやりたかった 【運命は、思いがけないところから顔を出す】
第2章 マイペースな人の秘密 【怒らないんじゃない、怒れないんだ】
第3章 ギャップとか、ショックとか 【違うことは、楽しいこと】
第4章 謎に包まれたミュージシャンの日常 【こつこつ、平穏な毎日こそが人生だ】
第5章 好き・マイルール・ポリシーについて 【自分だけのこだわりは、誰にも遠慮しなくていい】
第6章 僕は「平均」でいたい 【天才じゃなくても、いい仕事はできる】

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