(更新:)
オリコンニュース
物語の力を信じている、週刊少年マガジン副編集長・川窪慎太郎氏
仕事への向き合い方
働くのは嫌じゃないですか、今だって僕は嫌ですよ(笑)。仕事ってうまくいかなかったりするので、そういう時に仕事が目標だとしんどいじゃないですか。だから、僕にとって仕事は生きる手段だったり、好きなことをやる為の手段であると理解しています。
基本的に、僕は休みたい時に休めるよう、嫌な仕事をやらないと言っても「川窪が言うなら仕方ないか」と周りを納得させれるように、仕事で結果を出すことを目標にしています。嫌なことをしないですすむように、嫌なことをしているんです。自分の時間を大事にできるように仕事しています。
――仕事は好きですか?(笑)
そう聞かれると「仕事が好きなわけないじゃん」と答えるはずなんですけど、きっと好きなんでしょうね(笑)。でも、そう言うと逃げ場がなくなってしまうので予防線を張っているんでしょうね。正面からは向き合わないようにしているというか。
![]()
週刊少年マガジン副編集長・川窪慎太郎氏(C)MusicVoice
僕としては同世代には雰囲気の柔らかい人が多いのかな、と勝手に思っていますけどね。思春期っぽいというかのんびりしているというか…。
――今の仕事のベースとなっている活力やマインドについて教えて下さい。
「ダサいと思われたくない」ということですかね。これやりたいとか、こうありたいということはあまり無くて。「あいつダセぇな」と言われたくないですね。その為には、仕事ができないといけないし。仕事できないのに偉そうな人ってダサいじゃないですか。僕はサッカーが好きで、平日でも試合を観に行ったりするんですが、仕事をきちんと出来てないと「何やってんだよ」と言われてしまうので。ダサくないようにということですね。
もう亡くなくなりましたが、僕の親父が町のクリーニング屋を営んでいたんですよ。その仕事よりは今の仕事の方が楽だぞ、ということも活力になりますね。町のクリーニング屋って本当に儲からないんですよ。ワイシャツ1枚洗っても、儲けが数円とかそういう感じで。遅く帰って来て、土曜日も休みなくてそれで毎月赤字で。だから潰れたんですけど。親父の頑張りと比べたら、お給料をもらえているし、休みもあるし楽だぞと。僕にとっては親父の姿が最後の防波堤、防衛線という感じですね。
――最後に、『進撃の巨人』が大ヒットしている今、川窪さんが大切にしていることはありますか?
調子に乗らないということですね。いくつも「この波に乗ればどこまでも調子に乗れるぞ」という波はありました。そこで調子に乗っていれば、今は無かったと思います。調子にならない様に必死だった感じですね。
それは諫山さんが調子に乗らない人だった、ということもありますけど。それとは別に「『進撃の巨人』という作品はみんなが育ててくれた」という想いもありましたからね。ひしひしと今でも感じています。応援してくれる人は、本当に“大きな仲間”だと思っています。今でも「お客様」と思ったことはないです。
お金を出して頂いていますが、僕としてはその価値に見合う仕事をしていると思っていますので、その関係は対等と思っています。「お客様は神様」と思う必要もないと思っています。単行本480円、30分かけて読むだけの価値があるものを諫山さんと僕も作っていますし。それはイベントでもグッズでもその値段に見合うものを作っていますし、作らなきゃいけないと思っています。
◇
仕事の活力は「ダサいと思われたくないこと」と語った川窪氏。普通の人ならば「かっこいいと思われたい」と答えそうなところだが、彼の口から出てきたのは「ダサい」という言葉。同じ意味の回答でも、チョイスする言葉が普通の人とは異なる。インタビュー中にも、独特の表現や言い回しが多く見られ、そこに彼の凄さや奥深さを強く感じた。アウトプットする言葉が違っていれば、インプットする視点も違うだろう。やはり彼でなければ『進撃の巨人』という原石を見抜くことは出来なかったに違いない。