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才能の火付け役、FIREBUG代表取締役CEO・佐藤詳悟氏

2018年7月取材・掲載記事の再掲載

(C)MusicVoice

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<エンタメ界の30代 Vol.03>
変革期を迎えているエンターテインメント業界。テレビ最盛期やミリオンヒットが続出した時代に青春を過ごした30代は今まさに、その最前線で活躍している。彼らは今何を考えているのか、どう時代の変化に立ち向かっているのか。リレー形式でインタビューする本企画は、エンタメ業界で働く大手事務所マネージャーが同世代で活躍するキーマンに話を聞き、それぞれの背景や想いに迫っている。今回は、コンテンツプロデュース事業などを手掛ける株式会社FIREBUG(ファイヤーバグ)代表取締役CEO、佐藤詳悟氏だ。吉本興業でマネージャーや新規事業に携わり2015年に独立、起業。「面白い人達をエンタメコンテンツで手伝う」ことを基本軸に事業を展開している。どのような経緯で立ち上げたのか、そして同社が目指すビジネスモデルとはなにか。
【取材・企画=山本圭介(SunMusic)/文・撮影=木村陽仁(MusicVoice)写真:(C)MusicVoice】

アイデアマン

 三国志の時代にあらゆる人と文化が集まり、独自に発展を遂げた地域があった。荊州(けいしゅう)だ。魏と蜀、呉の三国が交わるいわば当時の三国の中心地で、その土地を制するものは天下をも制するとも言われた。その地域のようにあらゆる人材が集まり、彼を通して繋がる「ハブ」(HUB)のような人物がいる。FIREBUGの佐藤氏、34歳だ。アイデアマンで行動派。そんな彼の人柄は事業にも表れている。

 佐藤氏が手掛ける主な事業は「総合コンテンツプロデュース」。単にコンテンツと言っても企業経営者からアーティスト、そして芸術作品から商品・サービスまでと幅広い。佐藤氏いわく「才能がある人材の思いを実現するため」に「エンタメコンテンツを通して手伝う」そうだ。エージェント業務もおこなっており、代表的なアーティストにいきものがかりの水野良樹氏がいる。

 佐藤氏はアイデアに富み、それらを実現していく行動力も備え、何といっても彼のもとに様々な人々が集まる。それゆえに手掛ける事業はコンテンツプロデュースだけでなく、番組やCM制作など多岐にわたる。先のエージェント業務もその一例だ。その佐藤氏は今、新たな仕組みの構築に力を入れている。簡単に言えば、才能が集まる仕組みを自動化し、それらを人の力でプロデュースするというものだ。それはどのようなものなのか。

 その前に、“荊州の地”と例えた、“アイデアマン”佐藤氏はいかにして“形成”されていったのか。その軌跡を振り返ってみたい。

 佐藤氏は独立前の10年間、お笑いタレントなどを多く抱える吉本興業に勤めていた。入社後からの6年間はお笑い芸人のマネージャーを担当し、残りの4年間は新規事業に携わった。最初に担当したのは人気お笑いコンビのナインティナイン。番組収録中などの空き時間を利用して物事を分析し、それをメモ帳に書き留めていたという。いわば、アイデアマンの片鱗がこの時すでに見えていた。

 「マネージャー時代は忙しかったのですが、それでもタレントが収録している間は待機しているので、割と考える時間はありました。楽屋で、番組の台本を見ながら『これ、自分だったらこうしたいな』ということを妄想して。当時は常に、メモ帳をポケットに入れていて『こういうのをやったら面白いだろうな』というものはよく書いていました。その1年半の間に考えていたことを、それからの8年間で実行に移したという感じでした。今みたいにゲームなどスマホのアプリが充実していたら人生変わっていたかもしれないですね」

 その後は、様々なお笑いタレントのマネージャーを歴任する。その一組にロンドンブーツ1号2号などがいる。そのマネジメントも、ただ、タレントの身の回りの世話をするのではなく、いかにテレビ番組からのオファーを獲得するかを、ネットニュースの傾向やデータを用いて分析、それを実行に移すということをおこなっていた。いわば、独自の視点で導きだしたマーケティング理論をマネジメント業務に活かすというもので、その中である法則を導き出し、目標を成し遂げていった。

 その後に移った新規事業では、彼の本領発揮と言わんばかりに次々と仕掛けを投じる。お笑いタレントが作り出したネタを派生商品として生み出すためのプロジェクトにも携わり成果を上げた。その一例にCOWCOWの「あたりまえ体操」のパッケージ化、YouTube配信がある。これらの経験が、のちのFIREBUGの礎となる「コンテンツプロデュース」となる。

 「芸人はメーカーに似ていてネタやアイデアなどいろんなものを作りだす力があります。僕らは、出来たコンテンツを見て『これいけるんじゃないですか』と考え、それを商品化してどうやって流通させるかを考えます。それを4年ぐらいやって行き着いた答えは、プロデューサーの役割は、クリエイターが生んだものをどう最大化させるかであり、他人と同じようなことをしていたらアウトプットは永遠に一緒なのではないか、ということでした」

 その新規事業では、色んなプロジェクトを通して様々な人と巡り合えた。そこでの経験が起業へと向かわせる。

 「芸人に接していると『お客さんを笑わせる』というものが第一にあります。それは芸人だけではなくて、例えばプロジェクトで知り合った落合陽一さんや椎木里佳さんなども話していると凄く芸人っぽいというか。漫才、コントではありませんが、彼らが創るテクノロジーやサービスや会社がコンテンツみたいになっていて、それが世の中にインパクトを与えて、実際に人々の人生を変えている。それは、エンターテイメントのコンテンツに近いものだと思いました。そういう人達と接していくのであれば、今後、自分で会社を立ち上げてやっていく方が良いのではないか。よりそういう人達と出会えるのではないかと、当時は考えていました」

 退社後、最初に立ち上げたのは、「人」を売ることに特化した総合営業代理店、QREATOR AGENT社だ。その約1年後の2016年2月にFIREBUGを立ち上げ、前社を子会社化する。ここからは現在の業務、そして、今のエンターテインメント業界をどう思っているのかを一問一答で紹介する。

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