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熱狂するコンテンツを、AbemaTV制作局長・谷口達彦氏

AbemaTVの現在、取り巻く環境

――谷口さんはAbemaTVにいつ頃から携わるようになったのでしょうか。
 AbemaTVは構想からテレビ朝日様との話し合い、サービス開発に1年半程の時間を費やしていて、その頃は藤田が少数で進めていました。藤田の構想としては、テレビ朝日様と一緒に進めている新しいマスメディア、インターネットテレビ局としての「AbemaTV」と、インターネットの特性を活かしたCGM(ユーザーがコンテンツを生み出す)プラットフォームとしての「FRESH!」という2つの柱があり、「FRESH!」が先にローンチしました。私は、藤田とともにFRESH!ではコンテンツや配信事業主の獲得のために動いていて、AbemaTVについては開局当日に放送した開局記念特番の番組づくりから携わっています。

――開局2周年での手応えはいかがですか?
 おおむね好調と言って良いと思います。有りか無しか、手探りの状態で始めたサービスではありましたが、手応えを感じていますし、僕らが目指している「マスメディア」への挑戦権は得たのかなと思っています。10代から30代までを中心に、1週間に1000万人が恒常的に訪れているのがマスメディアの条件(規模や収益性、影響力など)だと思っていますが、現在約600万人が訪れる規模になってきていますので、その目標へ道半ば過ぎまで来たのかなという感じです。

AbemaTV制作局長・谷口達彦氏

AbemaTV制作局長・谷口達彦氏(C)MusicVoice

――この2年を振り返ってみますと、ポイントポイントで話題性も含めて大きな企画を打ち出されていて、徐々に視聴者数を伸ばしているという感覚があります。そのなかで、ギャラクシー賞のフロンティア賞を獲られた『72時間ホンネテレビ』は大きな転換点にもなったのでしょうか?
 視聴数などの数字面でもそうですが、人の心に訴えかけるようなコンテンツをインターネットから生み出せているという点においても大きな事だったと思います。日本中が注目するコンテンツを作ることが出来たことは率直に嬉しいです。奇跡的なタイミングでしたが、これまでインターネットとは無縁だった3人が新しい別の窓を開くその瞬間を番組で伝えられたということ、そして3人のSNS初投稿なども含めて、この番組を、ちょっとハラハラしながら観たり、実際に参加してみたり、そんな風に、日本中が見守る中で、ありのままを届けるリアリティショーのような番組にできたことで、大きな反響が生まれたのだと感じています。

――AbemaTVは映像や画質のクオリティが高いと言われていますが、『72時間ホンネテレビ』を見るために、それまでのスマホやPCだけでなく、FireTVStick(ネット回線をテレビに繋げてみる)などを付けた方もいたそうです。そうした人たちは画質がテレビと遜色がないと驚いた人も多かったようです。
 もともとスマートフォンでも高品質な映像コンテンツを観ることが出来るサービスを目指していて、テレビ品質の番組制作というのは僕らの競争優位性の一つになっていたので、そう捉えて頂いていたら嬉しいです。今はスマートフォンを中心に展開していますが、テレビデバイスも凄く伸びていますし、もちろんPCもしかりですが、マルチデバイスユースになっていくことで更にその優位性は感じられると思います。

――先月、ブラウザ視聴での表示速度が従来比3倍になったというニュースも流れていましたが、そうした点も含めて映像や通信の技術にも力を入れられていますか?
 いくらリッチなコンテンツを作っても、そこに乗せるウェブサービス自体の品質やUX(ユーザーエクスペリエンス=ユーザー体験)が快適ではないと、居心地が悪くてユーザーが再度訪れてくれないと思っています。藤田は開局までの準備期間のうち7、8割はサービス開発に従事していて、最後の数カ月でコンテンツを揃えたような優先順位で、それぐらい重視していました。

――これも良く聞かれると思いますが、AbemaTVにとって、AmazonプライムビデオやNetflixはどのような存在ですか?
 テレビとAbemaTVとか、海外のサブスクリプションサービスとの対立構造を作りたそうな取材が凄く多いのですが、我々はそういう意識はなくて、一緒に市場開拓している感覚です。もともとサービスの視聴形態が違うこともあります。AbemaTVは無料で24時間いつでもみることが出来る編成を組む「テレビ」と、合わせて見逃し配信が揃う「ビデオ」とを展開しています。そもそものサービスコンセプトも違います。

――ではテレビ局はどうですか? テレビ朝日と一緒に事業をされていて、先日『ニコニコ超会議』内のイベントで藤田社長が「一枚岩」と話されていましたが、その辺りはどうですか?
元々AbemaTV自体が自宅でTVを観るという視聴習慣があまりなくなってきた若者世代に向けて、TV局としても対策を行っていかなければならないという思いから構想がスタートしているので、そもそも対立構造にはなりえません。AbemaTVのオリジナル番組を制作しているスタッフの方たちはテレビ朝日から出向してくださっている方がたくさんいます。配信技術もそうですし、テレビ番組のクオリティという部分でもテレビ朝日で働いている方たちの力がなければ実現できていないことばかりなので、お互いに「一枚岩」となって成長させていこうというメッセージを発信しています。

AbemaTV制作局長・谷口達彦氏

AbemaTV制作局長・谷口達彦氏(C)MusicVoice

――データでは、テレビ視聴者は60代で家にいる人が一番多いそうです。したがって、その人たち向けに番組作りがなされている傾向にあると聞いたことがあります。それを考えたときに、今の50代はネットに精通している人が多くて、携帯でニュースを見る人も多い。そのなかでAbemaTVは、ゴルフや大相撲、将棋など専門性の高いチャンネルも開設しています。それはその世代の5年後10年後を意識しての事なのかなと。実は若者を狙っているようでその世代を狙っているのではないかと思うのですが、いかがですか?
 特定の誰かにとって強烈な支持が得られるジャンル、カテゴリーをつくるということは意識しています。例えば、大相撲の生中継ですね。地上波の場合はどうしても放送尺の制約があって短い時間での放送になってしまう。地上波の放送尺では放送されない力士のなかにも次世代を担う若いカリスマもいるわけで、そういうAbemaTVらしい編成の自由度においてその業界の人たちやファンの人たちが満足しえるコンテンツをしっかり作っていくことを意識しています。相撲は素晴らしいコンテンツですが、なかなか若年層ファンが増えていかない。それはファンの多いシニア層向けに番組が作られていて、若者が視聴する機会が作られていない。それを若者向けにAbemaTVらしい見せ方も工夫してくことで新しいユーザー層の獲得をしようというのが狙いです。それは、僕らだけでなく業界にとっても新しいファンが増えていくことにつながっていくので、良い事だと思っています。だからシニア層を戦略的に獲得するために仕掛けているわけではないです。ただ、10代から30代向けの若者向けメディアと言われていますけど、若者だけでなく幅広い年代に支持され始めているのは事実です。

――ラジオは今「radiko」(インターネットでラジオを聞くシステム)で聴けるようになっています。番組表から過去を遡って聴け、さらにエリアフリーだと有料というシステムです。テレビもradikoのようになっていくのではないか、コンテンツ局になっていくのではないかとも言われています。しかし、AbemaTVは既にやっていて、それこそリモコンにAbemaTVのボタンがついたらもはや違いはなくなるではないかと。まだ先の話ですが、その辺はどうですか?
 マルチデバイスユースを体感したらAbemaTVから離れられなくなるというユーザーとしての実感、手応えがあります。テレビデバイスでの視聴習慣が確立したら、テレビがどうということではなくて、AbemaTVの価値が本格的に広がっていくのではないかと思っています。朝起きたらテレビで見て、家を出る時には、その番組をスマートフォンに切り替えて観るというように、いつでもどこでも視ることが出来るというのがテレビデバイスを含めてできると、その利用は爆発的に増えると思います。

――AbemaTVはコンテンツ数が多く、更にアニメなどは音楽もちゃんと流れている。映像だけでなく音楽の権利関係も許諾を得るなど相当大変だったんじゃないかと。
 音楽は重要だと思っています。音楽を聞いたらその作品やストーリーを思い出すぐらいの必要な要素ですから、そうしたところもちゃんとやるという思いがあります。ただ、テレビの場合はレコード協会との取り決めで音楽を事前許諾なく使用できる自由度はありますが、インターネットの場合は1曲1曲事前に各権利者に許諾を得ないといけない。現在、レコード協会とも協議はしておりますが、今後インターネットもマスメディアとして認められて、テレビと同様に音楽をもっと自由に使えたらいいと思っています。

――今後も専門性が高い、あるいは、エポックメイキング的なコンテンツ作りをやっていかれますか?
 地上波で出来ない過激なことをやるということではなくて、見たら面白いだけでなく、どうしても見たいもの、見なきゃ成立しないというもの。特定の誰かの心に刺さるもの、ということを掲げてやっていますので、これからもそうしたコンテンツ作りは持続的におこなっていきたいと思います。そのようにAbemaTVで番組を観てもらるようになって、最終的には、暇な時にはAbemaTVにふらっと来て頂くというのが理想です。メディアの信頼と実績と重ねて、そういう視聴習慣を作り上げたいと思っています。

――過去を振り返ったときに、インターネットテレビ局はこれまでに多くの企業が挑戦して軌道に乗れませんでした。しかし、AbemaTVは成功を掴もうとしている。その違いは?
 そもそも通信環境が違うというところでタイミングというものがあります。当然同じものをどの時代で仕掛けても成功するというわけではないと思っています。ガラケーではないスマートフォン端末の台頭もそうですし、通信環境の整備もそうです。それと、テレビ局とインターネット企業の共同事業というのは外から思っている以上に難しいということもあると思います。強烈な互いの信頼と両トップのリーダーシップが備わっていないとやりきれない。我々側から考えると、収益化が難しいとされた「アメーバ」を成功させていた代表の藤田のリーダーシップのもと、早河会長率いるテレビ朝日様が手を組んでくださったことが大きかったと思います。

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