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ザ・クロマニヨンズ、変わらぬロックへの原動力とは?

 ザ・クロマニヨンズが、10月10日にアルバム『レインボーサンダー』を発表する。自身の精力的な音楽活動に加えて、この夏には加山雄三が率いるKing All Starsと対バンするなど、アグレッシブな動きが目立つ。30年以上も活動してなお、「もっともっと」と音楽を求める、その原動力とは? さらに、CMでビートたけしによって歌われているザ・ブルーハーツの曲について、何を思うのか。甲本ヒロトと真島昌利に率直な心境を聞いた。

歌い継がれるブルーハーツの曲、カバーは「断ったことがない」

  • アルバム『レインボーサンダー』

    アルバム『レインボーサンダー』

――10月10日にアルバム『レインボーサンダー』が発売。アルバムジャケット、今回は浮世絵っぽいんですね。
甲本ヒロト デザイナーさんに「なんか描いて」とお願いしたら、これが出てきた。
真島昌利 タイトルは自分たちで決めるので、それからイメージしてくれて。

――ジャケット、素敵です。
甲本ヒロト うん、それでいい。そういうことです。すべてが“なんかいい”でいいんです(笑)。

――8月には、加山雄三さん率いるKing All Starsと対バンなさっていました。
真島昌利 加山さんはロックンローラーなんだって、あらためて思ったな。すっげーカッコ良かった。ロックンロールの肝のところをわかってるんです。
甲本ヒロト 昔から日本人はカッコイイもの見てたんだな、って思った。加山さんがいることでバンドも生きて、あのバンドにいることで加山さんも生きて。すげぇいいバンドだなと思った。僕らはステージ袖で、キャーキャー言ってました(笑)。

――アサヒ飲料『ワンダ』のCMでは、ザ・ブルーハーツの名曲「リンダリンダ」をビートたけしさんが歌っています。昔の曲をお二人が再現することはないのに、周囲が歌い継いでいく。それはどんな気分ですか?
甲本ヒロト この間も加山さんが、ブルーハーツの「青空」を歌ってくれて、もちろん誰が歌ってくれようがそれは光栄なことなんだけど、自分らの中では忘れちゃっているんです。(隣の真島に)忘れてるよね?
真島昌利 うん。
甲本ヒロト ただ、そうやっていろんなところでいろんな人が僕らの曲を歌っていると聞くと、「あ、俺たちも何かやってたんだなぁ」って思う。普段は全然思わないけど。

――カバーさせてほしいと許可を取りに来るんですよね。普通に許可するんですか。
甲本ヒロト うん。断ったことないよ、一度も。

――CM曲をフルで聴くと、ヒロトさんが作ったのではない歌詞がついています。
甲本ヒロト なんでもいい! 替え歌でも、その曲をカッコ悪くしてくれてもいいし、けちょんけちょんに腐して笑ってくれてもいい。自分らが発表したものは、もうみんなのものだから。

――ワンダのWEBサイトでは、たけしさんがヒロトさんの印象を語ってます。
甲本ヒロト たけしさんとは、30年ぐらい前に一度だけお会いしています。すっっっばらしい人、サイコーですよ! たけしさんがやっていたラジオ『オールナイトニッポン』にブルーハーツで呼んでもらったんです。

――それ以来は一度も?
甲本ヒロト もうそれで十分ですよ。あんな人、一生に一回会えれば十分。だって、すげーんだもん!
真島昌利 ほんとすげぇッス。
甲本ヒロト 世の中、パワハラ問題とかが騒がれているじゃないですか。でも、俺たちに対しては、上の人たちみんな優しかった。

――「潰してやる!」とかなかったんですね。「若い芽は摘んでしまえ!」とか。
真島昌利 わはははは!
甲本ヒロト ないよ! 特にたけしさんは、早いうちから僕らのことを取り上げて、ラジオで言ってくれたりとか。

長年の経験で上達するも、「ちょっと上手くなっていることが自分の中でしゃらくさい」

写真:柴田恵理

写真:柴田恵理

――30年以上活躍しながら、お二人にはいい意味で大御所感が全然ないところが素晴らしいです。
真島昌利 大御所感はないねぇ〜(笑)。

――新譜からも“ベテラン感”のようなものがまったく感じられなくて。いつも、デビューしたてのような新鮮さがあります。
甲本ヒロト でもね、長くやってると、ちょっとは上手くなってるんですこれが。面白いもので(笑)。そういう部分が垣間見えて、最近それがちょっと自分の中でしゃらくさいんです。「なんかこいつ、上手になった気になってるんじゃねーの?」って(笑)。

――ヒロトさんがマーシーさんを「上手くなった」と思うことは?
甲本ヒロト もちろんそれはある。マーシー、ギター上手くなってると思う。これ本当に!マジ!
真島昌利 それは俺も思ってるよ、ここ3〜4年ぐらい「すげー歌うまくなったなー」って。
甲本ヒロト でも、それがしゃらくさい(笑)。

――“上手い”って難しい言葉ですよね。褒め言葉なのかどうかわからない。
甲本ヒロト うん、難しい。でも僕らの場合は、ずっと一緒にやっててお互いを映し合えるからいいのかもしれない。上手くなっていることのしゃらくささがみんなに伝わってないなら、良かった〜!(笑)。

――逆に、「上手くできない」とコンプレックスがあった時期は?
甲本ヒロト ずーっとコンプレックスはあるんです。みんなそうだと思う。ね?
真島昌利 うん。
甲本ヒロト あの手塚治虫さんでさえ、死ぬまでコンプレックスを抱えてたって言うんだから。“なんとかしよう”とがむしゃらになっているところが可愛らしいんであってさ。最近、そういう可愛げがなくなってる自分が嫌で(笑)。でもそれはコントロールできないものなので、一生懸命やるしかないんですけど。

――曲はどうですか? 前より早く出来るとか。
甲本ヒロト 僕は変わらず、ゆっくり。スタジオに入った時点でアルバム1枚分の曲があって、そこから作業する。1年間の間にポロポロと出来た曲を、僕は持って行くんです。
真島昌利 僕は歌を作るのが好きだから。他にやることもないし、しょっちゅう歌を作ってますよ。スタジオに行くときは、その時の気分で持って行く。何年か前に作ったものを、ちょっと手直しして持って行くこともあるし。

――データにしてあるんですか?
真島昌利 MD、ポータブルMDレコーダーです。でももう売ってないので、壊れたら大変なんです。それでこの間、中古品でちょっと程度のいいやつを買いました。しかも2台も(笑)。
甲本ヒロト ディスク自体は売ってる?
真島昌利 売ってない。だからディスクも、なくなる前に100枚ぐらい買ったの。あれ1枚で80分ぐらい録音できるから、100枚あればあと100年ぐらい大丈夫かなと思って。わはは。でもMDは音質的に優れているかっていうとそうでもない。ただ、メモとしてすごく便利なんです。

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