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あえての「独裁力」なのか? “プロリーグ成功請負人”・川淵三郎の凄みと功罪

  • 『Mリーグ』最高顧問・川淵三郎氏

    『Mリーグ』最高顧問・川淵三郎氏

 先ごろ、麻雀のプロリーグ『Mリーグ』発足が発表され話題となった。今後、eスポーツのひとつとして五輪種目化も目指す意向のようだが、本構想のキーとなるのが最高顧問・川淵三郎氏の存在だ。1990年代、アマチュアスポーツのひとつだったサッカーのプロ化に成功。さらに、2015年には泥沼状態だったバスケ界に請われる形で力を貸し、川淵流の“剛腕”でBリーグ設立を成し遂げた。その実績はまさに“プロリーグ成功請負人”。とはいえ、その辣腕には批判の声もあり、サッカー界でのワンマンぶりが「独裁」と揶揄されることもあった。そこで、元サッカーダイジェスト編集長の山内雄司氏に、間近で見た川淵氏の“凄み”と、その“功罪”を聞いた。

“不可能”とされたサッカーとバスケのプロ化を実現 「川淵氏の剛腕が推進力となった」

 93年5月15日、眩いばかりのスポットライトを浴びて、高らかに日本サッカーのプロリーグ誕生を宣言した川淵チェアマンは、まさにプロ化推進のシンボルとして君臨した。それまでの日本サッカーはというと、アマチュアスポーツの中でもマイナーな存在。社会人リーグも今日のように整備されておらず、「プロ化などありえない」「不可能」だという声が大半だった。

 ただ、日本サッカーの将来のためにプロ化を、と本気に考える人たちはいた。彼らが身を粉にして夢物語を現実にしようとする活動を展開した過程において、川淵三郎というシンボルが現われたのである。堂々たる立ち居振る舞い、押しの強いエネルギッシュな物言いでたちまち時の人となった。

 Jリーグ初代チェアマン、後に日本サッカー協会(JFA)の会長を務めた川淵氏は、15年に日本バスケットボール界の改革に乗り出す。日本バスケットボール協会(JBA)傘下のリーグ(NBL)と、日本プロバスケットボールリーグが運営するプロリーグであるbjリーグの統合という命題に対し、またしても矢面に立つことになった。しかし、わずか2年後に両団体は統合し、新たなプロバスケットボールリーグ、Bリーグが立ち上がった。ここでも川淵三郎という男の凄味がその推進力となったのは間違いない。

 サッカー、バスケット双方の「プロ化」という難題に対して手腕を発揮し、“剛腕”の異名を欲しいままにする川淵三郎とは、いったいどのような人物なのであろうか。

自他ともに認める“独裁力”「自分がどう目立てばメディア受けするか知っている」

 川淵氏はともすれば“目立ちたがり屋”、“独善的”との評価が先立つことがある。本当だろうか。専門誌という立場で日本サッカーの歴史を報じてきた元週刊サッカーダイジェスト編集長の山内雄司氏に話を聞いた。なお、山内氏は06年ドイツ・ワールドカップ惨敗の責任を追及し、誌上でJFA会長である川淵氏の批判を展開した当時の編集長である。

 まず「川淵氏は確かに独善性が強いと感じます」と言い切る山内氏。続けて、「ジーコ監督就任の経緯も当時の技術委員長への越権的な進言がありましたし、ドイツ大会後の会見では次期監督候補としてオシムの名を漏らしてしまいました。これに関しては、W杯惨敗の批判の矛先をかわすために意図的に漏らしたとの憶測があり、川淵氏はこれを否定しました。それは信じるとしても、ガバナンスの長としての責は免れないでしょう」と問題点を指摘。何より、自らが信じた監督の下、1勝もできずに帰ってきたわけであり、これも「長としての責任はある」と強調する。

 ここぞ、という組織の難所を力技で回避する川淵氏の剛腕。事実、川淵氏本人も一昨年に出版した著書のタイトルを『独裁力』(幻冬舎)とし、「リーダーは独裁者たれ」とも書いている。これには山内氏も、「もう当時のように独裁者と“揶揄”できなくなりましたね」と苦笑する。

 「川淵氏は自身の“独裁”ぶりも、目立ちたがり屋である点もパーソナリティとして認めている。有名な“キャプテン”という呼び名も、メディアに対して自ら呼ぶようにお願いして出来た呼び名。どうすればサッカーの話題がメディアに取り上げられるのか? どう自分をブランディングすればよいのか? という視点を持ち合わせた稀有な存在であることは間違いありません」(山内氏)

“メディアのドン”ナベツネに勝った男「川淵氏のブランド力を活かす参謀が必要」

 独裁者であれば幾多の敵も作るが、それを“利用”できる利点もある。94年、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)のチャンピオンシップ優勝祝賀会で読売新聞社の社主である渡邉恒雄氏が「スポーツは企業がサポートして育つもの。独裁者の抽象的な理念ではスポーツは育たない」と、公然と川淵氏を攻撃。これに対して川淵氏は「独裁者という言葉は渡邉さんにお返しする」と反論したのだ。当時、“メディアのドン”と言われた渡邉氏にしてみれば、“ひよっこ”の川淵氏がまともに突っぱねたのはさぞ意外だったことだろう。かくして騒動は「企業スポーツか地域密着か?」という対立構造として新聞やテレビで取り上げられ、それが逆に世間にJリーグの理念を浸透させる契機となった。

 「実は、これには裏話があります。川淵氏が素早く切り返したというより、『渡邉氏に対してはJリーグとしてきちんと抗議すべき』との進言があったそうです。そしてJ側は、通信社を通じて各紙に渡邉氏の独裁者発言に対する抗議コメントを掲載させた。これで世論は一気にJリーグ側に傾いていきました。こうした潮目を敏感に感じとった川淵氏は、自身への批判に対し、毅然と反論出来るようになったというわけです」(前出・山内氏)

 このように、当時のJリーグにも、そしてBリーグ設立の際にも、川淵氏のような“独裁者”を「どのように活かせばよいか」を考える人がいたはずだ。その点では、7月17日に発足した麻雀のプロリーグ『Mリーグ』でも、最高顧問に就任した川淵氏のブラインド力を大いに活かす参謀が必要だろう。

「賞金5,000万円」「ドラフト会議」など話題性は十分 牽引するスターの誕生に期待

 川淵氏が先頭に立つことでメディアやスポンサーの食いつきが良くなるのは間違いない。ギャンブルとしての印象が強い麻雀だが、プロの、しかもスポーツであるという印象に変えるためには、川淵氏の“プロ化するプロ”のイメージは十分なインパクトとなる。

 おそらく、老練な川淵氏のこと、麻雀をエンタテインメントとしてどう見せるかといったアイデアをたくさん持っていることだろう。早速、8月7日には史上初の『Mリーグ』ドラフト会議が実施される予定だ。また、『Mリーグ』には芸能界きっての打ち手である俳優・萩原聖人が参戦を表明するなど、早くも話題を振りまいている。

 プロリーグにはJ創成期の三浦知良、あるいはバスケットの田臥勇太のようなリーグを牽引するスターが必要となる。今後、荻原のような存在をどう活かしていくのか? 『Mリーグ』を引っ張るスターの誕生に期待したい。

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