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ORICON NEWS
w-inds.を駆り立てた危機感「同じ路線で張り合っても、他のアイドルには勝てない」
歌やダンスはもちろん、制作もできないと生き残れない時代という危機感がある
橘慶太 僕が最初に楽曲制作に興味を持ったのは、今井了介さんにプロデュースしてもらった『New World』(2009年)のとき。その少し前から、僕はJ-POPと、海外のトップチャートの曲との音の違いが気になっていたんですが、その違いについて教えてくれたのが今井了介さんなんです。
――歌のレッスンを受けに短期で渡米するなど、勉強熱心ですよね。
橘慶太 そうですね(笑)。ボイトレは『アメあと』(2008年)の頃だったかな。発声に違和感があって、LAに行ったんですよ。筋トレにハマったのも、ダンスの筋肉の使い方を研究したくて始めたのがきっかけです。僕は“なぜ?”を追求するのが好きなんですよね。感覚だけに頼るのではなく理論、理屈を知っておきたくて。
――台湾をはじめとするアジア各国でw-inds.の人気が高まったことは、慶太さんにどのような変化をもたらしましたか?
橘慶太 2004年くらいからアジアのフェスに参加させていただいたんですが、当時は、正直、J-POPがダントツで音も歌もパフォーマンスもカッコイイと思ったんです。ストレートに言ってしまうと、“やっぱり日本の音楽って優れているな”と。それが年々、アジアの音がカッコよくなっていったんです。アジアのシーンは洋楽の音に近づいていっているのに、日本の音楽は変わらない。それがJ-POPの個性でもあると思うのですが、僕は“これはまずい”と感じました。日本の音楽って“鳴り”が悪いよね、なんて思われたくない。アジアでのライブ経験も、自分たちの音をもっと進化させようと思ったきっかけのひとつでしたね。
――自分で作った曲を、自分で表現できる。そういう人って、他のダンスグループにはいない。まさに、アーティストとしての最終形態になったという印象です。
橘慶太 いつの間にか、歌うし踊るし、楽器もやり、曲を作ってミックスエンジニアまでやるようになっていました。僕は、今の時代には、そうじゃないと生き残れないという危機感があるんです。これからは、音楽を作る規模をコンパクトにして、作るスピードを早くしないといけない。それができるようになったことが、音楽を続けていく上で、自分の安心材料にもなっています。僕、すごく心配性なので、今の仕事を失うのが怖いんです(笑)。
アイドルデビューしてからアーティストに変化していくのは本当に難しい
橘慶太 J-POPって独特なんですよね。こんなに繊細な構成で作られた楽曲って、他の国にはないものだと思う。ただ、そのJ-POPが90年代にミリオンヒットを連発したことで、ジャンルを孤立させてしまったのでは。売れすぎたことで、世界的なサウンドが入りにくい状況になったとも言えるんです。音楽を聴くツールは変わったのに、音楽が変わっていない。その乖離を和らげることができたら…という思いはすごくありますね。
――ユーザーの音楽への向き合い方も変化していますよね。
橘慶太 そうですね。CDを選ぶのではなく、単曲を選んで買う時代になりましたし、サブスクリプション(定額音楽配信サービス、以下サブスク)の台頭によって、再生することが応援につながるという指標も増えました。w-inds.の曲をサブスクで全曲解放したら、再生回数が20倍くらいになったという話を聞いたんです。CDを買ってもらえるのももちろん嬉しいですが、“再生数“という指標は確実に聴いてもらえていることがわかるので、また違った歓びがありました。
――w-inds.は男性のダンスボーカルユニットとして長く活動しているグループになっていますが、シーンを牽引してきたという想い、自負はどこかにあったりしますか?
橘慶太 僕らがですか!? いや、そんなのないですよ(笑)。w-inds.の影響を受けて歌ったり踊ったりするようになったと言ってくれる人もいるので、続けていてよかったなと思うことはありますけど、「尊敬してます!」みたいな感じで来られると、戸惑いますね(笑)。だって、みんな上手なんだから、「オレらのほうが上手いし!」って思っててもおかしくないのに、そういう人がいない。本当にね、僕のまわりにいるのはいい方たちばかりなんですよ(笑)。
――後輩たちのために道筋を作りたいという想いは?
橘慶太 それはあります。僕らもアイドル的な形でデビューしてから方向性を変えるというところでの試行錯誤がありましたから。そこのギャップを埋めるような道は作っておきたいです。曲を自分たちで作って出したいと思っても、それがなかなかできないっていう話も耳にしますからね。
――年齢、キャリアとともにアイドルからアーティストへの変化していく過程は、今振り返って、どのような道のりでしたか?
橘慶太 これは個人的な見解ですが、僕は、ゼロからアーティストとしてデビューするよりも、アイドルとしてデビューしてから変わることのほうが難しいことも多いと思うんです。世間的な空気というか、“アイドル=音楽が専門ではない人”という見方がどこかにあるので、すぐには認めてもらえない雰囲気があったんです。それこそ、『New World』のときも、自分たちがカッコイイと思ってやってみた音楽なのに、「なんで、w-inds.がこういう曲をやってんの!?」みたいな反応も多くて、当時は辛かったですね。
――それでも“やってみたかった”んでしょうか?
橘慶太 いえ、どちらかというと、当時の僕らは“やるべきだ”って思ってました。正直言ってしまうと、アイドル路線で張り合ったとしても、他のアイドルの方たちには勝てないと思ったんですよ。あんなにキラキラしていて、アイドルの王道を極めている人たちと似たようなジャンルで進んでいっても勝負にならないなって。だって、瞬発力がトップスピードに乗ったメッシ並みですもん(笑)。だったら僕らは別の戦略や、道を見つけないとなと思ったんです。自分なりに新しいジャンルを開拓するしかないんだと。
大知くんもISSAさんもすごくストイック 脚光を浴びるのは、嬉しいし、誇らしい
橘慶太 『U.S.A.』は本当にすごいですよ。僕には、<どっちかの夜は昼間>という歌詞は思いつかない。というか、採用できない。でも、そこが耳に残るんですよね。もちろん、カモンベイビーアメリカも。それを、実力のある人たちがやるからカッコイイわけだし、バズったんです。大知くんもISSAさんも、すごくストイックな人ですから。だから、脚光を浴びたのは、素直に嬉しいし、誇らしいです。改めて、ライジングプロダクションってすごいんですよ(笑)。
――w-inds.もバズらせたいなっていう想いはありますか?
橘慶太 僕らですか? いや〜そんなことはないかな(笑)。これまでやってきて、継続していくことが何よりも力になるなと感じているんです。ダイエットや筋トレと同じで、がんばった期間だけ、効果は続くと思っているので。大知くん、ISSAさんも、長く努力してきたからこそ、今がある。ただの仕掛けだけじゃなく、実力ありきなんですよね。僕にはまだ大知くんほどのダンスの能力、ISSAさんほどの歌唱力はないので、2人(千葉涼平、緒方龍一)と一緒に、地道に続けていきたいです!
――シングル曲から始まり、ついにアルバム『100』も全曲プロデュース。アルバム1枚制作してみて、気づいたことというのは?
橘慶太 それこそ、サブスク時代になると、アルバムも1枚を最初から通して聴くか、定かではないわけです。アルバム収録曲だから、こういう曲もあってもいいかもね…という考え方は、もはや通用しない。全曲、表題曲になるようなクオリティじゃないと聴いてもらえないなと。僕、曲を作るの早い自信があったんですけど、いろいろ悩んでしまって、今回はすごく時間がかかりました。
――音へのこだわりって、気づいて欲しいですか?
橘慶太 取材でいろいろ説明したりはしていますが、たぶん、ほぼわからないだろうなと思っています(笑)。でも、それでいいんですよ。たとえば、自分がご飯を食べにレストランに行ったときに、“こちらは、○○産の▲▲を使っておりまして…”と丁寧に説明されても、そんな話はいいから早く食べたいよって思ってしまう(笑)。あれ? これって僕が話す音楽の説明と一緒だなと。料理だって、隠し味に気づかなくても、食べて美味しければそれでいいじゃないですか。一部のマニアックな人は興味を持ってくれるかもしれないけど、基本、それぞれが好きに聴いて、楽しんでくれるのが一番ですよ。
(文/根岸聖子)
w-inds. New Album 「100」
●初回盤(特殊パッケージ仕様)
[CD+Blu-ray+スペシャルフォトブックレット(76P予定)] /本体価格¥4,630+税【税込¥5,000】
●通常盤
[CD Only]/本体価格¥2,778+税【税込¥3,000】
『100』より「Temporary」MUSIC VIDEOはコチラ
w-inds.初の音楽フェス「w-inds. Fes ADSR 2018 -Attitude Dance Sing Rhythm-」
会場:お台場J地区
出演アーティスト(50音順):
w-inds. / X4 / COLOR CREATION / GANMI / SOLIDEMO / Da-iCE / DOBERMAN INFINITY / BananaLemon /
THE BEAT GARDEN / FAKY / FlowBack / MYNAME / Lead (五十音順)
and more!
MC:Boo
公式HPはコチラ
全国ツアー「w-inds. LIVE TOUR 2018 "100"」
7/14 (土) 東京・オリンパスホール八王子 OPEN16:00 START17:00
7/20 (金) 千葉・市川市文化会館 大ホール OPEN17:30 START18:30
7/22 (日) 仙台・東京エレクトロンホール宮城 大ホール OPEN17:00 START18:00
8/4 (土) 兵庫・神戸国際会館 こくさいホール OPEN17:00 START18:00
8/5 (日) 大阪・オリックス劇場 OPEN116:00 START17:00
8/12 (日) 福岡・福岡市民会館 OPEN116:00 START17:00
8/19 (日) 神奈川・神奈川県民ホール・大ホール OPEN17:00 START18:00
8/25 (土) 愛知・日本特殊陶業市民会館・フォレストホール OPEN116:00 START17:00
9/2 (日) 埼玉・ 大宮ソニックホール 大ホール OPEN17:00 START18:00
9/7 (金) 東京・ 東京国際フォーラム ホールA OPEN17:30 START18:30
■料金:¥7,500(全席指定・税込)
■企画・制作:RISINGPRODUCTION/OFFICE PROPELLER
※3歳未満入場不可、3歳以上のお子様はチケットが必要です
※ファミリー席あり(3歳〜12歳対象:FC先行申込のみ対象)