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根底には“イケメン”への憧れ、イマドキ美容男子の本音とは
「ウィゴー(WEGO)」をはじめとするアパレルショップは、他にも人気者を多数輩出している。とまん、ゆうたろう、こんどうようぢといった中性的な美しさが特徴のカリスマたちは“ジェンダーレス男子”と呼ばれ、2015年頃からイケメンの新ジャンルとして、タレントやモデルとしても活躍。当初はその華やかな見た目ばかりが先行して注目されたが、現在彼らを取り囲む環境や考え方はどのように変化しているのか。“ジェンダーレス男子”というジャンルを浸透させた立役者で、芸能事務所・レキシントンをプロデュースする丸本貴司さんに話を聞いた。
そもそもジェンダーレス男子とは?
「ジェンダーレス男子とは、オシャレするときに“男は男らしく”、“女は女らしく”という固定概念を取っ払って、“男でも美しく”、“男でもキレイに”というような、なりたい自分になるために“ジェンダー(性)”から自由になった男子のことを言います」(丸本)
メディアに取り上げられるようになってから数年が経過し、以前ほどスキャンダラスな存在ではなくなってきていると丸本さんは感じている。ひとつのジャンルとして確立され、主に10代を中心に一般化してきているのだ。その背景には、SNSの存在が大きく影響しているのだという。
「例えばジェンダーレス男子が学校に1人しかいないマイノリティーなカルチャーだったとしても、今ならSNS上で声を上げることで、世界中のどこかにいる共感者が見つかります。“あなたの価値観、ファッションに共感します”という声は、マイノリティーにとって“自分は間違ってない”という思いを貫くための重要な後押しになるのです」(丸本)
美容に月3万、女性を凌駕する圧倒的美意識
「19歳頃からメイクを始めた」という、こんどうは母・姉・妹の影響で早い時期から抵抗なくスキンケアに力を入れていたのだとか。「今はエイジングケアも意識して美容液やアイクリームで対策、保湿のために毎朝&隔晩のパックは欠かさずしています。ファッションに関しては、男女問わず毎月10冊程の雑誌を読んでいます」とこだわりを話してくれた。また、「韓国のアーティストを見て美を意識するようになった」という、まきのも「メイクやファッションにかけるお金は月3万円ほど」という。
女性と同等、それ以上に美への強いこだわりをもつ彼ら。続いて、好きな女性のタイプについて聞いたらどれだけ厳しい答えが返ってくるのかと想像したが、その結果は意外とシンプルな回答に。こんどうは「口が悪くない子。『お前』とか『食った』と言う子は苦手です。あとは無邪気で、たくさん笑う子が好きです。僕は口数が少ないほうなので、たくさんお話しをしてくれる子がいいなと思います」と話し、まきのは「大人っぽい人です!」とタイプの女性を教えてくれた。
美意識を高めているのは、自身のコンプレックス
美を追求し続けている彼らの“褒められるのに慣れていない”“自分のコンプレックスを隠す”といった発言は意外なようにも思えるが、この発言に垣間見える「自分に対する自信のなさ」は、ジェンダーレス男子の考えを持つ男性のほぼ全員に当てはまることではないかとレキシントンの丸本さん。
「彼らが美意識の裏に抱えているのは、間違えなく自身へのコンプレックスだと僕は思っています。僕自身もイケメンではないので、少しでもイケメンに近づくために化粧をしたり、ダイエットをしたりしています。肌荒れを防ぐためのスキンケアや脱毛も、根本をたどっていくと自分は努力しないとイケメンになれないっていうコンプレックスに行き着くんです」(丸本)
彼らの美意識の根本には“コンプレックスの克服”というキーワードがあったのだ。これは女性がメイクを研究したり、ボディケアを実践したりする理由と共通点があり、納得もしやすい。
価値観にとらわれず自分をプロデュースする時代へ
「SNSの普及によって色々なタイプの人気者が生まれているなか、人気者になるための源泉が“ルックスがイケメン、美女”の時代から、“内面”も問われるようになってきました。特に動画や配信SNSに関しては見た目的には“?”な人でも、内面、人間性にファンがついている人が増えています。今後はさらにその傾向が強まり、自分の美意識や価値観を大切にしている人が人気になっていくのではないでしょうか」(丸本)
SNSによってさまざまな価値観に触れる機会に恵まれ、より柔軟な考え方ができる若者が増えている現代。女性らしさや男性らしさではなく、“人間としての美しさ”をいかに表現していくかが大切なアイデンティティーのひとつになっていきそうだ。
(文:斎藤倫子)