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ORICON NEWS
喧嘩凸トーナメントに見る、エンタメとしての“口ゲンカ”の可能性
ニコ超でネット上の口ゲンカがリアルショーに
対戦では、視聴者数第一主義を批判したり、世の中に必要とされているのか、迷惑をかけるスタイルはいかがなものか、といった配信者として・人としてのスタイルについて批判が飛び交った。ブースには200人以上の観客が集まり、白熱の口ゲンカを見守った。
ジャンルとして下火になるも、形を変えて“ケンカ動画”は存在
“喧嘩凸”の人気の理由として、企画配信に比べて手間がかからない、視聴者が集まりやすい、高度な議論や論破を目的としない限り口喧嘩自体は難しくない、といった理由が考察されている。つまり、配信者にとって手っ取り早く視聴者を集められる動画として、一つジャンルになっていたのだ。
しかしながら、配信者同士のトラブルも度々発生し、運営側が過激な喧嘩凸動画をBAN(禁止・追放)する事態もたびたび発生。(今回のイベント優勝者のよっさんは過去アカウントBANされている)。現在は、一昔前に比べると、喧嘩凸(Skypeや電話での直接通話)は下火になっているが、代わりに直接対決を避けて、批判のメッセージ動画を配信するような傾向にある。その喧嘩凸が『ニコニコ超会議』でリアルイベントとして行われていたのだ。
フリースタイルダンジョンと喧嘩凸の共通点は“即興的論破”
現在では、ラップに詳しくない人でも、MCバトル=ディスり合っているというイメージが浸透しているが、それは表面的な一面にすぎない。MCバトルの基本は「ヒップホップにかける想いの強さ」だ。つまり比べる相手が必要であり、その題材として目の前の対戦者をディスっているのである。攻める糸口を見つけて、“即興芸”としての熱い駆け引きが、視聴者を引き付けているといえる。
言いたいことも言えない世の中だからこそ、観客にカタルシスをもたらす口ゲンカバトル
また、準決勝でよっさんに泣かされてしまったほなちゃんは次のように喧嘩動画の魅力を明かした。「私は普段“プロクレーマー”として企業の方に凸(突撃)しています。今回は“悪口”に聞こえて泣いてしまいましたが…相手のほころびを見つけて、そこを論破していくのが基本です。そういった喧嘩動画が人気なのは、今の世の中、“言いたくても言えない人”が多いから、見ていてスカッとするのではないでしょうか」(ほなちゃん)
独自に観客に話を聞いたところ「喧嘩凸を知らなかったけれど、見ていて面白かった」(10代女性)、「普段ここまで熱い言い合いをしている人はなかなか見られないから新鮮だった」(20代男性)という声も。今回の『喧嘩凸トーナメント』は、新たなエンタテインメントとしての可能性も秘めていそうだ。