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(更新: ORICON NEWS

浜辺美波・正統派美少女の系譜と“生粋の女優”としての輝き

 映画『君の膵臓をたべたい』で注目を浴びた女優・浜辺美波。この春、ドラマ・映画に引っ張りだこの若手の注目株だ。「異次元の美少女」とも評される美貌だけでなく、高校生ながらアカデミー賞新人俳優賞も受賞し、女優として期待を集めている。モデルやアイドル出身の女優が増えている昨今、希少な“生粋の女優”である彼女の素養は、昭和の“銀幕女優”たちと重なる部分がある。

注目度急上昇! 正統派女優として期待を集める“異次元の美少女”

  • 浜辺美波

    浜辺美波

 浜辺美波は2000年生まれの現在17歳。2011年に女優デビューした彼女は、興行収入30億円を超えた大ヒット映画『君の膵臓をたべたい』(2017年)で難病を患うヒロインを好演。同作品で『第41回日本アカデミー賞 新人俳優賞』『第42回報知映画賞 新人賞』『第30回 日刊スポーツ映画大賞 新人賞』を受賞した。

 また、この春は多彩なチャンネルで露出が続き、何かと話題に上っている。15日にスタートした春ドラマ『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)では岩田剛典、戸田恵梨香に次いでの三番手で出演。CMでは過去に事務所の先輩・長澤まさみも出演したロッテ『ガーナ』の3人娘に起用されたほか、話題アニメ『ポプテピピック』とコラボした『an』のCMも話題を集めている。今月末には最新出演映画『となりの怪物くん』の公開も控えている。また、オフィシャルTwitterをスタートし、数日でフォロワーが10万人を超えたことも報じられた。

 さらにオーディションサイトのDeview(デビュー)で実施した『2018年度 ネクストブレイクランキング〜女優編〜』では10代〜30代の票を集めて5位にランクインし、初のTOP10入りとなった。今夏公開の青春映画『センセイ君主』では人気沸騰中の俳優・竹内涼真が教師役、浜辺はヒロインの生徒役を演じることも明かされ、まさにノリに乗っている。この怒涛の勢いについてメディア研究家の衣輪晋一氏は、「昨年から今年にかけて、映画4本、ドラマ6本、CM9本。露出が増えていますがまだ売り出し中の存在。そのため露出の度に“この可愛い子は誰?”と話題になるほか、各メディアや共演者からも度々“異次元の美少女”との声が。しかし特筆すべきは、その美貌だけでなく、彼女が今では希少な“正統派かつ生粋の女優”であること」と話す。

時代を彩った正統派女優とその移り変わり

 かつて映画が“銀幕”と言われていた時代、昭和の女優は“美しい”という言葉で表現されていた。そんな中で“正統派女優”と聞いて思い出されるのが、今なお芸能界でファンを自称する人も多い吉永小百合だろう。女優の中でもとりわけ“正統派”と称される人は、言葉遣い、立ち居振る舞いなどはもちろん、内面からにじみでる“美しさ”と、女性の“芯の強さ”を表現する存在だった。

 そして80年代におニャン子クラブブームのほか、堀ちえみや三田寛子、佐野量子らナチュラル系アイドルの台頭があった後にも、80年代後半には、宮沢りえ・後藤久美子らの美少女ブーム、90年代後半のチャイドルブーム、00年代のグラビアブーム、そして現在のアイドルブームといった流行を経て、現在は芸能人に求められる美しさや価値観が多様化。女優のフィールドにはアイドル、モデル、グラビア出身者も増えて“銀幕時代”とは違った様相を呈している。「しかしながら、“正統派女優”の火が消えたわけではない。例えばNHKの朝ドラヒロイン像は今も“正統派”であり、実際に今も多くの視聴者に愛されています」と衣輪氏は付け加える。

「東宝シンデレラ」出身ながら子役からの叩き上げ、“生粋の女優”が王道ヒロインに

 そんな中、今も数々の“正統派女優”を排出し続けているのが長澤まさみを輩出した『東宝シンデレラオーディション』だ。前出の衣輪氏は「浜辺美波はその秘蔵っ子」と話す。浜辺は2011年の同オーディションで「ニュージェネレーション賞」を受賞して10歳で芸能界入り。翌年にショートムービー『アリと恋文』で、メインの経験をまずはミニマムサイズで体験した。その後子役として、映画『逆転裁判』やドラマ『浪花少年探偵団』などに出演。中学生になっても、『女信長』(フジテレビ系)の長澤まさみ演じる御市の幼少期など身の丈に合った役柄をこなしていく。

 「出し惜しみをしているのかと思われるほどに大切に育てられている印象でした。そんな彼女が一躍脚光を浴びたのは、朝ドラ『まれ』(2015年、NHK総合)と人気アニメの実写化ドラマ『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない』(2015年、フジテレビ系)の“めんま”役。その後2017年の映画『咲-Saki-』で興行作品初主演を果たしました。そして先述の『君の膵臓をたべたい』では、浜辺さんが演じた難病の少女・桜良の純粋な笑顔に心を打たれた人も多いでしょう。共演の小栗旬さんには『自分が出てる映画で、こんなに泣いたのは初めて』と言わしめました」(同氏)。それからの破竹の快進撃は先述の通りだ。

昭和の正統派女優に通じる“映像に映える”純粋さ

 脇役も主役も経験し、“女優”として着実に演技の幅を広げてきた浜辺。芝居だけでなく、『ZIP』『メレンゲの気持ち』(共に日本テレビ系)や『もしかしてズレてる?』(フジテレビ系)などで見せた食レポの的確さ、キュートな姿もファンの間で話題になった。

 「女子高生が食べているだけの絵なのですが、それだけで映像が持つのは、ひとえに彼女の品の良さ。“品”と“正統派”で思い出される逸話は、彼女の名前の由来が人気アニメ『タッチ』の浅倉南であること(浜辺の本名“みなみ”の漢字は不明)。ちなみに2005年の実写映画で浅倉南を演じたのは浜辺さんの事務所の先輩である長澤まさみさん。また2008年の『チームウェンズデイ』の結成式では前出の小栗さんが『憧れの女性は南ちゃん』と話されています。浅倉南は日本中の男子をとりこにした正統派美少女で、ほか努力家で好戦的、魔性の部分もあり、多彩な魅力がありました。名は体を表すと言いますが、浜辺さんらしい活躍と言えないでしょうか」(衣輪氏)

 そんな素養を持つ彼女だからこそ、『無痛〜診える眼〜』(フジテレビ系)の金髪少女や『賭ケグルイ』(TBS系)での狂気、『崖っぷちホテル!』のコミカルな芝居のギャップが話題にも上がる。幻想的で、俗に染まらぬ純粋な姿を映し出す様は、今主流の“身近な存在”とは逆のベクトルだ。まるで昭和の正統派女優のような浜辺美波だが、まだまだ進化が期待できる高校生。まさに下積みを経てヒロインになっていく“シンデレラ”のように、今後より一層の輝きを放っていくだろう。

(文/中野ナガ)

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