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「『漫画村』の運営は“違法”」 衆院議員・古屋圭司氏に聞く海賊版サイトの問題点

  • MANGA議連の会長を務める、自由民主党所属の衆議院議員・古屋圭司氏 (C)oricon ME inc.

    MANGA議連の会長を務める、自由民主党所属の衆議院議員・古屋圭司氏 (C)oricon ME inc.

 今、漫画や雑誌を無料で読めるインターネットの海賊版サイト『漫画村』が社会的な問題となっている。漫画業界が一丸となって危機感を表明する中、クールジャパンを推し進める政府もこうした事態に敏感に反応。菅義偉官房長官は19日の記者会見で、海賊版サイトの違法性に言及すると共に、サイトの遮断措置といった対策を検討していると発表した。そこで今回、超党派で作る議員連盟『MANGA議連』会長の衆議院議員・古屋圭司氏に、政権与党として海賊版サイト問題とどう向き合うのかを聞いた。

「法律が追いついていない」 ネット社会の歪を浮き彫りにした『漫画村』問題

 まず大前提として、『漫画村』は違法なのか否か。その点についてはネットでも喧々囂々の議論がなされている。しかし古屋氏の答えは明確だ。「漫画村の“運営”は明らかな著作権法違反。著作権侵害です。文学や美術的著作物の保護に関する『ベルヌ条約』をはじめとする国際条約にも記されている通り、ほとんどの国で著作権侵害にあたるというのが『漫画村』に対する専門家の考え方です」と即答。これは10年以下の懲役という刑事罰の可能性もある重大な違法行為であると指摘する。

 しかしネット上では、「法律的にはグレーなのではないのか?」という声も多い。その点についても、「私はグレーというのは正しくないと思う。『漫画村』は違法コンテンツへのリンクを掲載するリーチサイトではありません。サイトで著作物を無断で公開するリーディングサイトなので、グレーではなくて真っ黒だと個人的には考えます」と古屋氏。しかし、そこには単純ならざる問題があるとも

 「『漫画村』の運営者は真っ黒ですが、海賊版サイトの漫画を見ること自体は違法ではありません。私はそこが問題だと思っています」と眉をしかめる古屋氏。2010年、「著作権法の一部を改正する法律」によって、違法にアップロードされたコンテンツをダウンロード(複製)する行為を違反とする議員立法を古屋氏らは成立させた。しかし、その際に対象となったのは“録画”と“録音”だけだった。それも対象は映画や音楽。今回のように静止画である漫画は対象になっていない。「しかも、違法となるのはダウンロードを伴なわなければなりません。そういう意味では、現在の法律が現実に即していないと感じます」と古屋氏。

『漫画村』訪問者数は3ヵ月でのべ4億5千万人「要因のひとつは知財教育の不足」

 こうした実状に対し、漫画事業者はもちろん、漫画家をはじめとした多くの関係者からも悲鳴に近い声が聞かれているという。古屋氏は「そうした声を聞き、私どもは非常に危機感を持っています。特に、びっくりするのが、2017年12月から2018年2月までの3ヵ月間の『漫画村』訪問者数がのべ4億5千万人だという点です。しかも2018年2月だけで1億6千万人。そのほとんどがスマホユーザーです」と驚きの数字を明かす。さらに、国内のWEBアクセスはYahoo!に次ぐ数字になっており、その深刻さは明らか。「利用しているのは10代といった若い層が多い。これは、昨今の報道で『利用者は違法ではない』というメッセージが発信されたことにより、かえってヒット数が増えてしまった」とのこと。この点については、小学生の段階から著作権やネットリテラシーについて、学校教育でしっかりやっていく必要があるとも。

 「これは教育の問題でもあります。無料だから、読むだけなら違法性はないから、そんな風に安易に利用している人が多い。こうした点からも、“知的財産”についての教育というのは本当に重要なのだと感じています」と古屋氏は語る。こうした状況をこのまま許すようであれば、世界に誇る日本の漫画文化が衰退していってしまうと危惧する。

 とは言え、現状ではユーザーと『漫画村』のやりとりは“情報”だけ。“物”の移動がないため現行の法律では利用者を取り締まれない現状がある。つまり、今のままでは抜本的な解決が難しいのだ。ネット社会になった今、日々新たな課題が社会に発生している。そのため「法律を作る時も、ややもすると後追いになってしまう」とも。

 「もしかしたら?という疑惑の段階で法律を作ることは、権利の不法な侵害になるケースも考えられます。そのため、法律というのは問題が顕在化した時に後追いで整備することもある。それは政治家として悩ましい部分なのですが、そのタイムギャップをなるたけ短くする作業が私たち立法府の役割となります」(古屋氏)

 この問題については、自民党内にあるクールジャパン特命委員会をはじめ関係省庁と連携をし、MANGA議連の会長である古屋氏が責任を持って取り組んでいくとのこと。

 では、法律が追いついていない現状で、どんな対処方法があるのか。その点について古屋氏は「サーバーが外国にある点も問題です。なので、先日官房長官がおっしゃたようなサイトブロッキングのような規制が必要かもしれません。ただ、ここは専門家の観点も必要になるので、専門家の意見を聞きながら党として速やかな対応をとっていきます」と、表現の自由にも配慮しつつ慎重かつ迅速な対応が必要という認識を示した。

創作努力をせず暴利をむさぼる海賊版サイトが、“漫画文化を衰退”させる

 漫画『あしたのジョー』の作者として知られるちばてつや氏が理事長を務める日本漫画家協会が13日、公式サイトで「海賊版サイトについての見解」を発表。そこで同氏は、「作り手と作品を利用するみなさんが輪の中で繋がっていることが大切です」とメッセージを発信した。それはつまり、ちゃんとルールの中で繋がっていけば“漫画界”のパイは大きくなっていくはずなのに、残念ながら作り手(漫画家)が強制的に輪の外に追いやられているのだと警鐘を鳴らしているのだ。

 古屋氏は「その通りだと思います。創作努力を全くしていない海賊サイトが暴利をむさぼるのは漫画文化を衰退させるだけ。早急な対応が必要です」と力を込める。「なにより、こんなことを続けたらクリエイターがいなくなってしまう。それは結局のところ漫画ファンが自らの首を絞めることになりかねない。『漫画村』を利用している人は、その点をよく考えて欲しい」と強調した。

 また、政権与党として対策を講じるのとは別に「海賊版サイトに対しては、正規のビジネスで追い出すことが重要です。映画、音楽、ゲームでは“無料”のサービスが普及している。でも残念ながら、漫画についてはそこまでいっていない」と指摘。

 『漫画村』への対応を早急に進めると同時に、「漫画業界が海賊版サイトに負けない“新たなサービス”を生み出すことも必要なのでは」と古屋氏は語った。

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