• ホーム
  • 芸能
  • ポスト・三谷幸喜はバカリズム?“脚本家”としての才覚

ポスト・三谷幸喜はバカリズム?“脚本家”としての才覚

 お笑い芸人、そして脚本家・俳優でもあるバカリズムが原案・脚本を手がけ、主演もこなす深夜ドラマ『住住(すむすむ)』(日本テレビ系 1月25日スタート)が放送開始前から大きな期待が寄せられている。『IPPONグランプリ』や『人志松本のすべらない話』(共にフジテレビ系)などのバラエティ番組で見せるフリップネタなどに定評があり、“お笑い四次元ポケット”の異名も持つバカリズムだが、2014年の『素敵な選TAXI』(同系)を皮切りに脚本家としても高い評価を受け、その需要は年々拡大。その勢いは、今や三谷幸喜や宮藤官九郎に次ぐポジション確保を予見するほどだ。

竹野内豊も激賞する脚本の完成度 “妄想”をベースに演者の新たな側面を開花

  • 脚本家としても高い評価を受けているバカリズム (C)ORICON NewS inc.

    脚本家としても高い評価を受けているバカリズム (C)ORICON NewS inc.

 『住住』は“芸能人の私生活を妄想!”をテーマとし、バカリズムとプライベートでも仲のいいオードリー・若林正恭、女優の二階堂ふみが“同じマンションのお隣さんの仲よしさんだったら…”という設定で繰り広げられる“フェイクドキュメンタリー×ちょっとリアリティ”的なドラマだ。と言えば、『テラスハウス』(フジテレビ系)的な恋愛っぽい絡みもありそうなものだが、予告編を見る限りでは皆無でワチャワチャ感もない。同作について、ネットでは「めっちゃ面白そう」「テレ東っぽいけど日テレ!」といった声もあるようだが、全体的にユル〜い空気が流れ、どこかコミカルであり、かつての人気コメディドラマ『やっぱり猫が好き』(同系)的なノリも感じられる。いずれにせよ、クセの強い若林や二階堂のふたりをいかに“脚本家”バカリズムが料理するかが注目される。

 「バカリズムさんは、連ドラの脚本家デビュー作である『素敵な選TAXI』の主演だった竹野内(豊)さんから、『バカリズムさんの書いた脚本は最高。ただ単にファンタジックな話というよりヒューマンドラマとして出来上がっている』と絶賛されています。昨年の『黒い十人の女』(日本テレビ系)にしても、主演の船越(英一郎)さんと不倫関係を結んでいる9人の女性を様々な視点から巧みに描いて、深夜ということもあり視聴率こそ振るわなかったものの“満足度の高い”ドラマとして評価を得ました。特に水野美紀さんと佐藤仁美さんは“当たり役”と言われるほど、その魅力を引き出しています。佐藤さんでは女性特有の要領の良さと底意地の悪さが徹底的に描き出され、水野さんは空気の読めないドンくさい女性を演じて、今までの利発でアクティブなイメージとは正反対の役柄が見事にハマりました」(ドラマ制作会社スタッフ)

“専業作家”には出せないシュール感 芸人を下敷きとしたギリギリの“えげつなさ”が武器

 となれば、やはりここは先述の2大脚本家と比較したくなるところ。三谷幸喜と言えば、密室内の刑事と犯人の濃密なやり取りがウリだった『古畑任三郎』(フジテレビ系)で知名度を上げると、映画『THE有頂天ホテル』や『清須会議』などで豪華な俳優陣を出演させたが、やはりシチュエーションは三谷得意の“密室系”で、それぞれ登場人物たちのキャラをクローズアップする舞台劇ふうが特徴。昨年の大河ドラマ『真田丸』(NHK総合)でも、これまでの時代劇では定番だった迫力あるロケなどを排し、やはり武将一人ひとりの個性を際立たせた会話劇に主眼をおいた。その結果、主人公の父を大人気にして、世間に“昌幸ロス”なる言葉を生み出し、名場面であるはずの戦国武将の死をあっさりとナレーションで済ませる“ナレ死”でも話題になったのだ。

 一方のクドカン=宮藤官九郎は、『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)で強烈な個性を持つ主人公以外の共演陣・脇役陣を際立たせつつ、『あまちゃん』(NHK総合)に見られるような小ネタ、パロディ要素を全編に散りばめ、またそれらを活かすための構成、キャラなどが緻密に設定され、コミカルやシリアスに関わらず人間ドラマでその手腕を発揮する。昨年、最大の話題作となった『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)にしても、コミカルな小ネタ・他局ネタ部分などを見ると、ある種の“クドカンフォロワー”脚本と言ってもいいかもしれない。そんなふたりとバカリズムはどう違うのだろうか?

 「バカリズムさんはあくまでも芸人さんなんですね。それも、ひな壇トークはもちろん、ピン芸人のコント師、大喜利でもいけますし、MCからナレーションまで、幅広いお笑いの才能を持った芸人さんです。でも最大の特徴は、どこかスパイスの効いたブラックジョークや、独特な世界観から醸し出されるシュール感覚でしょう。先の『黒い十人の女』でも、水野さんの役柄は“カフェオレで溺れる”というぶっ飛んだ設定でした。お笑いの大先輩のたけしさんの“芸術的”世界や松本人志さんの“突き抜けた”世界はなかなか理解されにくい部分もありますが、バカリズムさんの世界は“身近な”感覚としてわかりやすいんです。れっきとした女優にあられもないセリフを喋らせたり、“正統派”のドラマスタッフが敬遠しがちなリアルな裏事情ネタなど、本来ならタブー視されがちなことをバカリズムさんは平気で脚本化する。それも根本にアウトローとしての“お笑い魂”を下敷きとした、ギリギリのえげつなさが魅力です」(前出のスタッフ)

 三谷、クドカンといった“2大巨頭”とは一線を画しながら、“新感覚派”として独自の脚本家の道を歩んでいるように見えるバカリズム。本業である芸人の強みを最大の武器に、今後も三谷、クドカンとはまた違った新しい作品を世に送り出していくだろう。

オリコンニュース公式SNS

Facebook、Twitterからもオリコンニュースの最新情報を受け取ることができます!