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ニーズ高い“医療バラエティ”が減少してしまったワケ
近年はなかなか見ないバラエティ番組での“面白健康チェック”
また他局においても、同時期に『ジャンクSPORTS』(フジテレビ系)の番組内で「血液サラサラ選手権」(「血液ドロドロ選手権」もある)という、血液を医療器具に流して誰が一番早く通過するかを競う企画が人気となると、“血液サラサラ(ドロドロ)”は健康のバロメーターとして、世間でもちょっとした流行語になる。『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)や『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)でも、公開人間ドックで不健康王を決めたり、メタボ男性のリアルな健康状態をチェックするなど、バラエティ番組内の一企画として“健康志向”が取り入れられ、芸人が肛門から内視鏡カメラを入れて悶絶する…なんて場面もすっかり“定番化”したのである。
番組タイトルも変更、ねつ造発覚で規制強化
そうした意味では、医療バラエティは、さらにきちんとしたデータの裏付けや綿密な取材、事実誤認のチェックなど、『あるある〜』のような健康系番組に比べても、はるかに手間も労力もかかる番組だ。また、医療研究は日々進歩しているので、去年までの常識が今年の“非常識”となることもあり、信ぴょう性が薄かったり、ヘタをすれば誤報となってしまう可能性もあるジャンルなのだ。今年、各週刊誌が論争を繰り広げた「ガンは切るか切らないか」にしても、医者によって意見が正反対になることからもわかるように、番組としてはなかなか断定しにくい分野になってきたのは事実なのである。
「さらに言えば、危機感を煽りすぎるとBPO(放送倫理・番組向上機構)から注意を受けることもありますし、そうなれば番組自体の寿命が危うくなります。たけしさんの『本当は怖い家庭の医学』にしても、2010年には『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学』にタイトル変更されてます。過度に恐怖心を煽らないように配慮したのかも知れません」(前出・スタッフ)
様々な功罪を経て、視聴者への影響力を考慮した良質なバラエティへ
今ではほとんどの情報がネットで調べられる時代になったとはいえ、その膨大な情報量からの取捨選択は容易ではない。ましてや医療・健康関係ともなれば、危険で怪しいものがいくらでもある。ここはやはり、様々な功罪を経てきたとはいえ、テレビならではの良質なエンタテインメント・医療バラエティの出番ではないだろうか。今後も視聴者との適切な距離感を保つ工夫をしつつ、有益な情報を与え続けてもらいたい。