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結成から半世紀もいまだ現役、スクールメイツの今

 1960年代〜1980年代にかけて、主に音楽番組でバックダンサーとして活躍していたスクールメイツ。渡辺プロダクションが設立した東京音楽学院からの選抜メンバーによるグループで、キャンディーズや布施明、森進一など、数多くのスターを輩出した。最近ではSMAP・中居正広が出演する『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』のCMやサカナクションが昨年9月発売の「新宝島」MVにて“スクールメイツ風”のダンサーを従えていたりと、今や本家を飛び越えて古き良きコンテンツのひとつとして成立している。実は結成から52年、スクールメイツは今も健在だ。ORICON STYLEでは、自身もスクールメイツとして活動していた代表/マネージャーの和田俊之氏に、スクールメイツの今について聞いた。

多くのスター輩出で全国に拡大 知名度を高めたのは『ドリフ大爆笑』

 揃いの赤いトレーナーに白のスコート、手にはカラフルなポンポンを持って元気いっぱい踊る女性ダンサーたち……40代以上なら、誰もが見覚えがあることだろう。スクールメイツは、芸能プロダクション大手・渡辺プロダクションの渡邊美佐現名誉会長が、欧米音楽事情視察旅行から帰国後、「これからのポピュラー界は、本格的なジャズポピュラー合唱団の育成にある」と感じて1963年に「東京音楽学院」を創設したことから始まった。同学院の生徒のなかから男女約36名を選出して、スクールメイツを結成。音楽業界の急成長とともにスターを多数輩出し、同学院の入学者数も増加。全国各地に系列校がつくられた。1970年に行われた『大阪万博(日本万国博覧会)』では、精鋭メンバー100人が「EXPOメイツ」として参加。ここで現在まで続くテニスルックにポンポンを持って踊るというスタイルが確立した。

 その人気を決定づけたのは、1977年にスタートしたフジテレビ系のコントバラエティ番組『ドリフ大爆笑』だろう。オープニング、エンディングでザ・ドリフターズのバックでリズムに合わせ、ポンポンを持ちながら、赤いトレーナーやTシャツ、レオタードを着て元気いっぱいに踊るスクールメイツ。1980年代には視聴率40%以上を記録していた国民的番組だけあって、老若男女、幅広い世代に浸透した。なお、2014年の結成50周年記念のDVD発売記念イベントでは、現役のスクールメイツがキレのあるダンスを披露した。先述のサカナクションのMVは、レトロな映像や階段、5人並んでステップを踏む様子など、『ドリフ大爆笑』を彷彿させる内容となっている。
 自身も『大阪万博』開催当時のスクールメイツメンバーだったという和田氏によると、現在のメンバーは芸能界での活躍を目指す中学生〜大学生の女性で構成されており、3月にもEテレ『Rの法則』に出演するなど、テレビやイベントを中心に、「スクールメイツじゃないと!とオファーいただいたお仕事を中心にやっております」という。「以前は男性メンバーもいたのですが、1980年代頃にはほとんど女性になりました。現在のメンバーは数名なので、大勢で出演する必要がある場合は、“スクールメイツらしさ”を大切にするため。元スクールメイツのリーダーたちが主催しているダンススタジオの生徒たちの活動の場として、出演しています」(和田氏)。

AKBのひな形? 今の女性アイドルグループにも通じる“親近感”

 これまで、音楽番組への出演のほかに、ショッピングセンターや企業のイベント、パーティなどで15分〜1時間程度のショーを行ってきたスクールメイツ。赤トレーナー、Tシャツにスコート、ポンポンというスタイルは今も変わらず、何とトレーナーやTシャツは「ほとんど全盛の時に使用したものです」とのこと。ポンポンについては、「その時代時代で、自分たちで作って今に至っています。ポイントは流行に流されない、のらないこと。もちろん、流行のものはエッセンスとしては取り入れますが、基本的なスタンスは当時から変わっていないんです」と、力強く話す。

 芸能界の荒波にもまれ、2001年には渡辺プロダクションの再編成を受けて東京音楽学院が独立、全盛期には数百人いたメンバーも数名となったが、時代に流されずに自分たちのスタイルを貫いてきたことで、結成50年を経た今もテレビ番組などからのオファーは絶えない。和田氏が「スクールメイツは独特の雰囲気や動きがあると思っております」と話す通り、誰もが見れば「スクールメイツ!」とわかるファッションはもちろん、独特の振り付け、はじけるような笑顔でアーティストや音楽を引き立たせる姿…それはまさに唯一無二のものだ。グループが長く続く秘訣は、「先輩たちが永年にわたり作り上げてきたものを、きちんと継承していくこと」。
 大人数で揃いの衣装を着て、踊り、グループ内での成長を経て芸能界へ羽ばたいていく……それはスクールメイツだけではなく、今の女性アイドルグループにとってのスタンダードとなっている。また、身近にいそうな普通の女の子が主なメンバーだっただけに、当時のアイドルと比較するとどこか親近感を感じることも多かった。昨年、『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日系)でスクールメイツの話題が出た際、マツコ・デラックスは「ばったりとどこかで会うかもしれない、頑張ればイケるんじゃないかというリアリティ」があると話し、有吉弘行はそのリアリティが「おニャン子クラブやAKB48につながっていくのでは」と話していた。スクールメイツ自体は決して前面に出ることなく、“バックダンサー”という立場を貫いてきたが、彼女たちの親近感はおニャン子、その後に続くAKB48の“会いに行けるアイドル”のひな形と言っても過言ではないだろう。

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