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コアファンの囲い込み……ついに雑誌も“複数買い”の時代に突入?
一世を風靡した“付録付き雑誌”も既にマンネリ化
以後、“大人向けの雑誌におまけを付ける”手法は流行し、海洋堂のミニフィギュアを付録にした雑誌が売れるとその流れは業界全体に広がった。2005年には女性向けブランドとコラボレーションして、ブランドロゴの入ったバックなどを付録に付けた宝島社のブランドムックが大ヒットし、社会現象にまで発展した。しかしここ最近は、あまり景気のいい話は聞かれなくなったようである。
「この流れに乗った他社同士で競合し、付録合戦ともなったのですが、だんだん読者にも飽きられてマンネリ化した。雑誌の売り上げも落ちてくるのですが、“雑誌に付録がつくのは当たり前”といった状況はそのまま残る。この不況で制作費も圧縮される中、いかに付録のコストを下げるか。出版社にとっても無益な“消耗戦”となって、雑誌を作ってるのか付録を制作してるのかわからなくなってくる。それでも付録を付けないと部数も減るので、付け続けなければならないんです……」(ファッション誌編集者)
コアファンを対象とした囲い込み戦略は、雑誌でも十分な可能性を秘めている
そして現在、雑誌の販売戦略としては、大部数を売るより「パイは小さいけど熱狂的なお客さんを徹底的に囲い込む」(前述の営業マン)といった流れになってきているようである。『Ray』(主婦の友社)4月号でもEXOが表紙を飾り、海外アーティストの記事としては同誌史上初の特大ボリュームとなる「ブックインブック」12ページ&中面4ページの16ページで大特集。発売前からネットや書店でも多数の予約が集まっていた。
また、先述のEXO表紙の『non‐no』にしても、発売に合わせ、ファッションの中心地である東京・渋谷を同誌がジャック。ハチ公前交差点のQ-FRONT壁面に表紙の巨大パネルを設置し、渋谷駅周辺の書店限定で同誌を購入すると、先着3000名にEXO特製ポストカードがプレゼントする戦略も行われ、同誌の読者層と言うよりは、特典欲しさに雑誌の複数買いをするファンに期待していることは間違いない。そこまでしなければならなくなってきたということ自体が、雑誌業界の苦境を如実に物語っているが、逆にニッチな市場や、先述のパイは小さいがコアなファンを対象にした戦略には、まだまだ十分な可能性を秘めているとも言える。