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重宝されるアスリート出身タレント、業界が熱い視線を注ぐポスト松岡修造とは?
かっこつけない実直さとにじみ出る誠実さが持ち味
だが、彼の魅力はその真面目な姿だけでなく、率直な発言にもありそうだ。昨年『サワコの朝』(TBS)に出演し、21歳でアトランタ五輪に出場して最初に金メダルを獲得した際の新聞報道について、ひと言もの申した。同日にヤワラちゃんこと谷亮子(旧姓:田村)が決勝で敗退しており、そちらのほうがニュースとして大きく扱われていたことに対し「野村の金メダルよりも、ヤワラちゃんの銀メダルのほうがビッグニュースだった」とポツリ。芸能的な目線が入るスポーツ報道に対して、現場の選手としての素直な気持ちを語った。
その一方、初出場のオリンピックで金メダルを獲れたことについては「ヤワラちゃんの存在も大きい」と認め、「彼女は国民的スターであり特別な存在。アトランタ五輪で同じ日に試合をしたけど、ぼくには国中の期待に耐えられる強さがなかった。そのプレッシャーを一身に背負っていた彼女はすごい。彼女の存在に負けてられへんっていうのもあったし、3大会とも彼女と同じ日に試合ができてよかった」とも語り、フォローも欠かさない。しっかりとした発言のバランス感覚も備えていることがわかる。
そんな苦悩も隠すこと無くさらけ出し、それすら前向きに捉えていく野村の姿は、多くの共感をもたらしたのではないだろうか。また、内面だけでなく、ビシッとスーツ姿でイベントに登場する外見のかっこよさも人気のひとつ。スーツを10年以上前から同じ店で仕立ててもらっており、2004年にはベストドレッサー賞スポーツ部門も受賞している。野村にはお笑い芸人のようなインパクトはないが、真面目で誠実、清潔感のある笑顔などが視聴者に好感度を与えている。
また、現在バラエティで大活躍中の篠原信一とは天理大学の先輩・後輩の間柄。現役時代から篠原とは、まるで漫才の掛け合いのようなやりとりをバラエティ番組でも披露。昨年末の特番でも2人の共演が実現し、先輩である篠原が、後輩・野村の現役当時の恥部を暴露するという展開で視聴者を楽しませた。篠原のブレイクを経た今、再びコンビでのバラエティ出演は引く手あまたと言えるだろう。
ハイテンションのお祭り男はスポーツタレント界の風雲児となりうる
メジャーリーグ選手として受けたインタビューでは、決して堪能ではない英語とときに踊りだすノリノリのパフォーマンスで、現地メディアや多くの地元ファンに愛されてきた。そんな川崎は、MLB公式動画サイト『Cut4』から“2015年シーズンに最もファンやリーグを盛り上げた選手”として川崎宗則賞が贈られたことが日本でも話題になった。その明るいキャラクターは米メディアにとどまらず、日本でもじわじわと浸透しつつある。
昨年12月に行われた福岡・飯塚市の商店街で行われたトークショーの際には「ハーイ、ワッツアップ! ワッツアーップ!」と相変わらずのハイテンションで登場し、特殊整髪料で一時的に銀色にしたという髪形について「きょう自宅で玉手箱を開けたら、こうなりました。みんな気をつけましょう」と“ムネリン節”全開で参加者たちを笑わせたエピソードも記憶に新しい。ほかにも有馬記念のテーマパークのイベントに登壇した際には、これまた終始ハイテンションで会場を盛り上げつつ、メジャーリーグトークも挟み込むなどプロのエンターテイナーぶりを発揮。さらに、英語が堪能ではないことが周知の事実であることを活かした“適当通訳”は、すでにネタとしてできあがっており、ここぞという場面で使ってしっかりと笑いを巻き起こす。同イベントにはマギーとともに出演していたが、英語を話せるハーフタレントとの相性が抜群にいいことも見せつけた。
とはいえまだまだ芸能界初心者の川崎は、イベント後に初めての囲み取材を受け「これがワイドショーなんかでよく見るやつですね!」と目をキラキラさせながら芸能レポーターとの会話を楽しみながら、ときに「そんなこと聞くんだ。大変だねレポーターって仕事も」などほどよい素人っぽさも織り交ぜて場を盛り上げていた。つたない英語をテンションだけで乗り切るキャラクターは、芸能イベントではすっかり定番になりつつある。
そんな川崎には、弾ける勢いと新鮮さが感じられ、機転のきいた会話の瞬発力の良さも相まって今後ますます需要が高まっていくことだろう。『サンデーモーニング』(TBS系)への出演も話題になっていたが、現役選手としての活躍がまだまだ期待される一方で、引退後のスポーツタレントとしての動向にも注目が集まっていきそうだ。
ハイテンションでユニークなキャラが人気の川崎と、正統派で高感度の高い野村。まだまだ未知数ではあるが、2016年のブレイクは必至(川崎は野球選手としての去就がまず注目されるが)。この先、スポーツタレントとしてシーンを賑わせてくれる日も待ち遠しい。
(文:奥村百恵)