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テレビから消えゆく“未成年の主張” その背景は?
かつては未成年の本音が垣間見える討論番組も
思春期の男女なら誰もが思い悩むことを、衆人環視の中で(それもテレビで)告白する勇気に校庭の生徒も視聴者も共感し、あるいは身にもつまされて感動したのである。『真剣10代しゃべり場』(2000〜2006年)も中学生以上の未成年たちが、台本も司会者もなく自由に討論するといった形式が話題になり、類似番組として『世代密林〜ジェネレーションジャングル』(2002〜2003年)いわゆる“ジェネジャン”も放送された。ジェネジャンはKinKi Kidsの堂本光一が司会をし、いじめやセクハラ、自殺など、けっこうヘビーなテーマを本気で熱く語り合う内容でも注目された。
こうした未成年たちが、“腹を割って”“本音”をぶつけ合う姿を見せる番組は、同世代の若者たちにとっても、共感・反感はあるせよ、ある種の問題意識に気づくきっかけになる。それは保護者や大人たちも同じで、反抗期の子どもとの疎通がなくなった親や、普段未成年と接する機会がほとんどない大人たちは、そうしたテレビ番組を通して、彼らの“生”の声をある程度聞けたわけである。
“SNS”の拡大で“テレビ”から消えた未成年たち
10代の未成年たちがテレビで扱われなくなってきた背景には、もちろんそうしたIT事情のみならず、プライバシーのセキュリティ問題がある。SNSやインターネットによって、テレビに映った学校名や名前、さらに住所や家族構成その他の個人情報が拡散されるリスクも増えているのだ。また、テレビへの露出や発言が賛否両論を呼び、第三者から嫌がらせを受けたり、画像や映像を悪用されたり、イジメに繋がったりすることまでも考慮しなければならなくなったのである。
最近ではBPO(放送倫理・番組向上委員会)の影響も強くなっており、番組制作側も未成年の取り扱いに関してはどうしても慎重にならざるを得ない。何かが起こってからでは遅いので、必然的にコンテンツから一般の未成年をはずしていくという流れになるのだ。
テレビから未成年が消えたことによる“未成年と大人のミゾ”
今回の『学校へ行こう!2015』への絶賛ぶりを見ても、こうした市井の未成年がリアルな言動を見せるコンテンツは、今でもまだまだ需要があるということだ。現在の多くの視聴者たちにもきっちりと“刺さる”企画なのである。
時代が移り変わるにつれて、情報手段もどんどん更新されていく。もちろんテレビのあり方も変わっていくだろう。しかし、ネットやその他の媒体にはないテレビの役割や意義があるはずだし、そうしたものを打ち立てていく姿勢は見失わないでほしいものである。
(文/五目舎)