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“貧乏ネタ”披露するアイドルが急増 その背景は?
NMB48からグラビアアイドルまで 急増する“貧乏アイドル”
グラビアで人気の山地まりは母親が女手ひとつで子ども4人を育てた家庭で、「家に帰ったら水道、電気、ガスが全部止められていた」こともあったという。緑川静香は5歳のときに父親が蒸発した母子家庭で、小2から高校まで知人の物置で生活。公園で採った雑草やコオロギを食べていたとか。
昔なら、きらびやかなイメージのアイドルがこうした貧乏の苦労を語ることは考えられなかったが、アイドル界の歴史はスターがどんどん身近になる過程でもあった。
ファンもアイドルの“貧乏ネタ”に耐性がついた!?
そんななかで、85年にデビューしたおニャン子クラブが“普通の女子高生”を売りにクラスメイト的感覚で人気を集めたのが潮流を変えて、97年にデビューしたモーニング娘。はテレビ番組のオーディションで次々とメンバーを選び、実際に身近にいたかもしれない女の子がアイドルになる過程を見せた。
そして2000年代半ばになると、AKB48を始め握手会などで“会いに行ける”アイドルが主流に。メディア越しではなく直接触れ合い、近年ではツイッターや755で日常のなかで“会話”もできる。ファンにとってアイドルは雲の上の存在ではなく、友だちのような感覚。今や、マイナス要素をさらけ出す“ありのままの姿”を受け入れることが当たり前となり、アイドルの短所や暗い話をネタとして笑い飛ばすことができる。つまり、受け手であるファンも、アイドルの“貧乏ネタ”に引くことなくネタとして受け入れる土壌が整ったと言えるだろう。
(文:斉藤貴志)