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会いに行ける俳優・新井浩文の意外な一面
ありのままの人間・新井浩文をさらけ出す
ただ、実力派俳優なら星の数ほどいるが、彼にはまた別の魅力がある。NHKのトーク番組『スタジオパークからこんにちは』では、上京して間もない新井に「俳優は無理だからやめとけ」と言った荒戸源次郎監督をビール瓶で殴ろうとした話を披露。トークイベントでは一般学生からの「彼女はいますか?」という質問に対して「ちょっと前に別れました」と正直に答えるなど“ありのままの人間・新井浩文”を隠すことなく見せてくれる。こんなに己をさらけ出してくれる俳優はほかに見ない。
誰からも好かれるような爽やかイケメン俳優ではないが、昨今では人気女優とも噂になるなど実はモテ男の新井。そもそもいつから人気が出始めたのか? 2010年に放送されたドラマ『モテキ』(テレビ東京系)では、クズ男っぷりを発揮し独特なフェロモンを漂わせてジワジワと女性のハートを掴んでいくものの、しばらくは一風変わった役や犯罪者の役が多かった。そこから、一般層まで認知されるようになったのは、2012年に放送されたNHKドラマ『開拓者たち』からだ。満島ひかり演じるハツの夫で口数が少なくぶっきらぼうな開拓移民の男性を好演していた。思わず心をグっと掴まれてしまうような悲しげな佇まいと、胸を打つ演技に引き込まれた人も多いと思う。
身近な距離感と一本筋の通った存在感
その一方、新井にはSNSを活用してファンとの繋がりをとても大事にしている一面がある。彼のツイッターを見ていると、地方に住んでいるファンが「地元にも舞台挨拶に来て欲しい」と新井に訴えると、映画宣伝会社に伝わるようツイートしたり、登壇する舞台挨拶では残席を調べて「あと何席残ってるから」とファンに来場を呼びかける。
そんなサービス精神はSNSだけに留まらず、昨年は女子大でのトークイベント終了後に来場者全員と握手をしてファンを喜ばせたり、『美しき酒呑みたち』のDVD全4巻を購入した人のなかから、抽選で10名が新井本人から焼肉をおごってもらえる権利をプレゼントするなど、彼ならではのユニークな特典も話題になっていた。
このように、強面の気分屋な男が気の向くままに行動しながら、すぐに会えるような身近な距離感で自然体の姿を見せているところに奇妙な引力が生まれている。やんちゃだった近所のお兄さんが、大人になってどんどんイイ男に変身していっているような感覚。しかし、その彼は近所のお兄ちゃんではなく、実力派といわれる売れっ子俳優なのだ。女性たちはそんな感覚をどこか心地よく楽しんでいるのかもしれない。新井は、厳しい競争にさらされる芸能界で、器用だからここまで来られたわけじゃない。むしろ正直さが裏目に出て失敗したことも多いだろう。だからこそこれからもどんどん新しいことに挑戦し、ファンをワクワクさせて欲しい。
(文:奥村百恵)