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プレッシャーに押しつぶされてしまう人も…二世タレントの栄光と挫折

 故・松田優作さんの長女・Yuki(ユウキ)が、6月3日にCDデビューすることが話題になっている。これで松田優作の長男・松田龍平、次男・松田翔太、そして長女・Yukiが芸能界入りすることになる。いまや芸能一家の代表格といってもいいだろうが、二世タレントたちの誰もが成功するわけではない。二世ならではのプレッシャーに押しつぶされ、消えていく人も多い。二世ブームの今だからこそ二世タレントたちの“栄光と挫折”について検証してみたい。

“親の七光り”に打ち勝ち実力派として認められる二世

  • 俳優として高い評価、松田龍平 (C)oricon ME inc.

    俳優として高い評価、松田龍平 (C)oricon ME inc.

 そもそも松田龍平や翔太にしても、あるいは彼らのファンたち、特に若い層にとっては、彼らが二世タレントであるという認識すらないかもしれない。父の松田優作がいくら名優だったとはいえ、彼が亡くなったのは1989年。彼の現役のことを知っているのは中高年だけだ。若い層が知らないのは当たり前だし、松田兄弟にしても、自ら父のことを語ることはあまりないようだ。たしかに、親が芸能人であることで色メガネで見られたり、“親の七光り”扱いされるのを避けるためか、あまり公言したがらない二世も多い。

 ロックバンド「OKAMOTO’S」のべーシスト、ハマ・オカモトとして高い評価を受けるダウンタウン浜田雅功の長男は、デビュー当初は二世であることを隠していたという。また、「ONE OK ROCK」のボーカル・Takaも、森進一、森昌子元夫妻の長男。かつては父親との確執も囁かれていたが(現在は関係良好とのこと)、英語の発音が日本人離れしてるなど、若いファンからの支持も厚い。Dragon Ashの降谷建志(古谷一行の長男)をはじめ、音楽界でも多くの二世が活躍しているが、親を抜きにして高い評価を得ている実力派が多いのが特徴だろう。

 親との確執でいえば、故・三國連太郎さんの息子・佐藤浩市などは、今では過去の父親との確執について堂々と発言しているし、渡辺謙の娘・杏は、父親のことをあまり話したがらないと言われる。父が超大物俳優だからこそ、そのプレッシャーに打ち勝つためにストイックに演技に打ち込む。このふたりなどは、二世であるコンプレックスをよい方向に変換させたいい例なのではないか。一方、プレッシャーに負け、もしくは過剰に甘やかされたせいか、薬物に走ったりスキャンダルを起こすなどして、道を踏み外してしまう二世タレントもいる。彼らの親は、なぜか典型的な“昭和の大スター”であるパターンが多いのも、決して偶然ではないのだろう。

バッシングに負けず独自の立ち位置を築いた高橋真麻

  • 高橋真麻 (C)ORICON NewS inc.

    高橋真麻 (C)ORICON NewS inc.

 また、親が有名人であることを、自らの“ウリ”として最大限に活用している二世も多い。東八郎の次男・東貴博などはわかりやすい例だが、関根麻里(関根勤の長女)も父親との共演も当たり前のようにこなし、“いい娘”的ポジションを完全に確立した。最近、奥田瑛二・安藤和津夫妻の次女・安藤サクラと結婚して話題になった、柄本明の長男・柄本佑などは、父親譲りの演技力の高さ、怪演っぷりで、世間からの好感度も高い。

 こうしてみると、二世タレントにも多種多様なタイプがいるが、二世タレントの“栄光と挫折”をはっきりと体現しているのは、高橋英樹のひとり娘・高橋真麻ではないだろうか。彼女がアナウンサーとしてフジテレビに入社すると、“コネ入社”としてしばらく世間からバッシングを受けていた。実際、テレビでもあまり活躍することはなかったようだが、彼女のすごさは、人知れずアナウンス技術を磨いていたこと。あまり知られていないが、彼女のアナウンス能力は、そこらへんのアイドルアナの比ではない。そしていつのまにか、“変に上手いカラオケ”で注目を浴び、フジテレビを退社した今では、バラエティ番組などで堂々と父親とベタベタする、“開き直りキャラ”として大活躍している。

 二世であるということは、芸能界入りの近道として最大の利点でもあるが、常に“親の七光り”という批判にもさらされる“諸刃の剣”でもある。二世タレントとしての宿命を、自らの努力や才能によってまっとうするのか、それともセールスポイントにするのか、あるいはプレッシャーに負けて、潰れてしまうのか。視聴者にしてみれば、そうした観賞の仕方も一興だろう。今、活躍する二世タレントの子どもたち、三世タレントが登場する日も近いのだろうから……。

(文/五目舎)

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