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ORICON NEWS
新作映画も好評 「ムーミン」が愛される理由は可愛さのなかにある“毒”
ムーミン人気をけん引する大人の女性
可愛いキャラクターもの=子どもに人気があるというイメージがあるが、「ムーミン」の場合、ここ数年は特に“大人の女性”からの人気が上がっている。実際、休日にムーミンショップやカフェに足を運ぶと、20代、30代と思われる女性たちが目を輝かせながら行列を作っているのをよく目にする。また、第1作目〜2作目のアニメを観ていたと思われる50代以上のファンも多く、キャラクターものでありながら成長しても楽しめるコンテンツであることがわかる。
『楽しいムーミン一家』世代である筆者自身も、「ムーミン」は大好きなキャラクターのひとつだが、当時は“可愛いキャラクター”というよりも、“怖いアニメ”というイメージのほうが強かった記憶がある。どんな時もほのぼのしている一家とは対照的な、シュールな雰囲気の音楽。ムーミンが紫色の化け物に変身してしまう話や、大洪水で家が水に浸かってしまい、漂流する劇場に逃げ込んだ一家が離れ離れになってしまう話。また、ムーミン谷に大量発生し、雷に打たれ発光している「ニョロニョロ」、不気味な音楽とともにどこからともなく現れ、触れたもの全てを凍らせてしまう「モラン」といった個性的なキャラクター……ユニークでありながらも子ども心に“トラウマ”を植え付けられた視聴者も多いだろう。
人気コンテンツには「陰」の部分が必須
そうして作品自体を見ていくと、ストーリーやキャラクターに込められた、様々な「陰」の部分に気付く。作者のトーベ・ヤンソンは、第二次世界大戦をはじめ複数の戦争を体験している。これが「ムーミン」の世界観にも影響していると言われており、モランで表現されている「孤独」など、人間の身近にある様々な「陰」のテーマが、ファンタジーに置き換えて表現されている。深読みしていくと、子どもの頃は“怖い”と感じていた要素が、いつしか共感や同情といった感情に変わっているのだ。
以前、ORICON STYLEでは『妖怪ウォッチ』が大人にもウケている理由のひとつとして、普遍的でわかりやすい話のなかに「シュール」「ブラック」な要素が隠れていることを挙げた。子どもから大人まで、幅広い世代に愛されるキャラクターコンテンツには、表に見える「陽」の部分とは真逆に位置する「陰」の要素が必須なのだ。