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宮崎あおい&向井理 SPECIAL INTERVIEW 一緒にいるのが心地いい… 気を遣わず同じ空間を共有できる
好き過ぎて 心がけたこと[宮崎あおい]
【宮崎】 『あおい』という本を書店で見つけて「あ、同じ名前だ」と手にしたのが最初の出会いでした。気になる作家さんだったので、その後も新刊が出るとチェックしていたんです。『きいろいゾウ』は西(加奈子)さんの作品のなかでも一番好きです。句読点の位置とか、登場人物の個性的な感じとか、読んでいて西さんと息が合う感じがして、そのリズムがすごく好きなんです。ただ、『きいろいゾウ』を読んだ当時はまだ20歳ぐらい。ツマさんは27〜28歳くらい(の設定)かなと思っていたので、原作の帯には「いつか、この小説の『ツマ』役を演じてみたいです」とコメントさせてもらいました。ただ、自分が演じるなんて想像できなかったので、今回ツマ役のお話をいただけて「ああ、自分もそういう年齢になったんだな」と嬉しく感じました。
【向井】 僕も『あおい』とか『さくら』を読んでから『きいろいゾウ』を読みました。方言とかもそうですし、セリフというよりはト書きで状況を想像させる表現が独特で、詩を読んでいるみたいなんですよね。とくに『きいろいゾウ』はそういう描写が多くて、読んでいると不思議な感覚になる。自分だけの世界観のように思えるというか。でも、どこか導かれているというか、仕向けられているというか……。また、そういうフワッとしているなかに少しバイオレンスなところもあったりして、そのスパイスがおもしろいなと。
──そんな大好きな作品のキャラクターを演じることは嬉しくもありプレッシャーもあったのでは?キャラクターへの強い想いを役作りにどう反映しましたか?
【宮崎】 それが、好きだからのプレッシャーはなかったんですよね。ただただ嬉しくて。(私のところにも)きいろいゾウが来てくれたんだ!と思えました。でも、現場に入ったとき、好き過ぎて「こうしたい」「ああしたい」が出てしまうと柔軟に演じられないなと思ったので、できるだけフラットな状態でいるように心がけました。
【向井】 自分の好きな小説が映画化されて、それに出演できるというのは初めてのことだったので、これまでとは何か(気持ちが)違ってくるのかなと思ったんですが、とくに大きく変わったことはなく、今まで通り作品を大事にしながらという作業でした。ただ、もともと原作を読み込んでいたぶん、(世界観に触れるのは)初めてではないので、そういう意味では慣れている感覚はありましたね。
夫婦役という距離感で話をして[向井理]
【宮崎】 偶然にお店ですれ違ったことが2回くらいあったんです。でも、会釈する程度(笑)。話をしたことはなかったんですけど、気構えてしまう人なのかな、緊張してしまうのかなと思っていましたが、実際に共演してみるとぜんぜんそうではなくて。こんなに気を遣わずに同じ空間を共有できるなんて想像していなかったです。それくらい一緒にいるのが心地いい方でした。無理をしなくてもいいんですよね。ツマとムコとしてそこにいたからかもしれないですけど(笑)。
【向井】 (笑)僕は、ちゃんと話をしたことのない人に対しては、これという印象を持たないようにしているんです。自分が目で見て心で感じたことでないと……と思っていて。だから、人から聞いた話も信じない(笑)。今回、宮崎さんとこういう(夫婦役という)距離感で話をして、仕事をして感じたのは、ずっとツマだったということですね。今もツマとして見ている感じはあります。
──ということは、ツマと宮崎さんがぴたりと重なった、ハマリ役だったということですよね。とくにこういうところがツマだなぁと思う瞬間はありましたか?
【向井】 前髪ですね(笑)。顔合わせの日に軽く話をしたんですけど、そのときすでに前髪がぱっつんで、「ああ、ツマだ」と。
──その前髪は、宮崎さんから監督に提案したそうですね?
【宮崎】 そうなんです。監督と初めてお会いしたときに「前髪を短く切りたいと思っているんですけど」と伝えたら、監督も「いいと思います」といってくださって。で、真っ直ぐのぱっつん前髪にするのか、斜めにするのかを相談して──。なんかこう、斜めにざくざく自分で切ったような感じの方がツマっぽいのかなと思ってあの感じになりました。
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