巨大イベントへと進化した「アニメロサマーライブ」の魅力
8万人以上を動員する巨大イベントへと進化した「アニメロサマーライブ」の魅力
単なるフェスではなく全てひとつのパッケージとして成立させる
【齋藤】 ご存じのように、ここ10年、アニソンを取り巻く状況が大きく変わってきていますが、10回目を迎えて「アニサマの根幹にあるものは何か?」ともう1度考えてみたんです。そこから導かれたのが「ONENESS」でした。多種多様なアーティストが出演するなかで、会場が一体となるパワー。これこそがアニサマの変わらないスタンスなんじゃないか、ということですね。10回目という節目に、もう一度それを掲げたいと思ったんです。
【森田】 ただ、9回目までの流れを踏まえて、今年がひとつの区切りであることは間違いないのですが、実は僕も齋藤さんも通過点としか思っていないんですよ。ですから、周年事業のような、特別な何かをすることは考えていないです。
――とはいえ、イベントを10年継続するというのは難しいことですね。「アニサマ」がファンの方を惹きつけて止まない理由はどこにあるのでしょう?
森田アーティストが代わる代わる出てくる音楽イベントはたくさんありますけど、「アニサマ」に関しては、それがひとつのパッケージとして成立しているという自負があります。
齋藤ラインアップや演出は、アニメ作品へのリスペクトを込めて、様々な意図や必然性を感じていただけるようにしたいと思っています。アーティスト同士のコラボレーションに関しても、お互いのストーリーがつながるように、アニメ作品、アニソンはもちろん、アーティストさんの映像作品等をくまなくリサーチして、そこからストーリーを見出したり、トレンドや「アニサマ」らしさを考えたりしながら、コアファンの方も満足できる演出を考えていきます。
森田コラボレーションには、いろいろな伏線を張っていますからね。そこを深読みしても楽しいでしょうし。単に人気者同士を組み合わせるだけではなく、きちんとそこに理由があるんです。
――その意図や必然性があるからこそ、一体感が生まれるのでしょうね。
齋藤一方で、初めて来る方にも喜んでいただけるような演出も心がけています。昨年、NHK BSプレミアムでTV放送したんですよ。「アニサマ」やアニソンを全く知らない方が目にするチャンスが増えたわけですから、コアとライト両方のお客様が楽しめる要素が必要となってくる。間口を広げながら、コアなファンを納得させるバランスのとり方は常に意識していますね。
――この10年、アニメ、アニソンのファン層が大きく拡大しました。シーンの変化についてはどのように捉えられていますか。
森田「アニサマ」が始まった頃は、アニソンはJ-POPと比べるとまだ市民権を得ていなかったと思うんです。それが、いまや海外でも日本のカルチャーとして注目を集めるようになり、“クール”なものと捉えられるようになっている。「アニサマ」に訪れるファン層も変化しましたし、J-POPやロックを好きな子たちが普通に聴くようになった、という印象がありますね。
齋藤カップルで来ている方もいるようですね。個人的に、日本のアニソンって世界で最も進んでいる音楽群だと思うんです。すごくエッジが聴いている最先端の音楽。何よりも作品のコンセプトやシーンにシンクロすることが重要なわけですから、音楽的フォーマットこだわる必要がないので、実験的なこともしやすいんだと思います。
1曲1曲、ワンマンライブのような作り込みをする
齋藤例えばこれは個人的な見解なのですが、昭和の歌謡曲は、当時、最高の作家陣が集まって作っていたと思うんですよ。洋楽の要素もバンバン取り入れて、素晴らしい名曲がたくさん生まれた。今のアニソンは、そういう状況に近いと思うんです。
森田10年ほど前は、J-POPで活躍しているクリエイターがアニソンを手がけるのは稀だった気がします。今はむしろ「劇伴を書きたい」「オープニングテーマを担当したい」というJ-POP畑の方も多いですから、有能な作家が多数集まることで、当然、全体的なクオリティも上がっていきますよね。
齋藤アニメの制作本数やアニソンを歌うアーティストも増えましたしね。ただ、それは同時に“(アニソンが)分散化する”ということでもあるんです。「アニサマ」は3日間で50組以上のアーティストが出演しますが、それでも人気がある作品すべてを網羅することはできないんですよ。そういう状況のなか、2万7000人のお客さんがひとつになれるように、作品や楽曲、アーティストさんたちが生み出す複合作用が重要なポイントになっているのだと思います。
――その“複合作用”を成功させるために、演出面でこだわっていることはありますか。
森田これは僕の個人的な意見なんですけど、音楽フェスって目当てのアーティストが出演する時間以外、手持ち無沙汰になったりするじゃないですか。でも、フェスは新しい音楽との出会いの場でもありますし、できれば最初から最後まで、飽きずに見てほしいと思っているんです。
齋藤だから1曲1曲の演出は徹底的にこだわっています。1アーティストが持ち時間内で歌えるのは2〜3曲くらいなんですけど、チームでライブに足を運んだり、過去の映像作品を見たりして、まるでワンマンライブのような濃いステージになるよう作り込みをしていくんです。出演アーティストさんが特別に映像制作をしてくださることもあります。
森田舞台機構もバンバン取り入れていますしね。そのぶん、時間もお金もかかりますけど(笑)。
――では最後に、他のフェスにここだけは負けない! という「アニサマ」の魅力を教えて下さい。
齋藤一番の魅力は会場に足を運んで下さるファンだと思っています。“アニソンが好き”という共通点のもと集まったファンが生み出す一体感ですね。皆さん、手にサイリウム、ペンライトを持っているんですけど、「○○さんが出演するときは赤」「○○という曲を歌う時は青」と、誰に強制されるわけでもなく、一斉にさーっと色が変わるんです。上段の客席から見る景色は、本当に圧巻ですよ。
森田「アニサマ」のお客さんはライブを観に行くというよりも、ライブに“参加する”という意識がとても強いのだと思います。参加して、一緒に楽しんでくれているからこそ、会場が一体となって、パワーが生まれるんです。もし僕たちが関わっているのが「アニサマ」ではなくJ-POPのフェスだったら、すぐには成功のイメージが沸かないかもしれませんね(笑)。
(文・森朋之)
「アニメロサマーライブ2014 -ONENESS-」概要
<アニメロサマーライブ2014 -ONENESS->
●日時:2014年8月29日(金)、8月30日(土)、8月31日(日)
各日14:00開場、16:00開演
●会場:さいたまスーパーアリーナ
●チケット:全席指定/前売8700円(税込・各日)
●29日出演:藍井エイル、ALTIMA、Wake Up, Girls!、小野賢章、艦隊これくしょん −艦これ−、黒崎真音、ZAQ、JAM Project、sweet ARMS、STAR☆ANIS、谷本貴義、茅原実里、T.M.Revolution、9nine、南條愛乃、fripSide、petit milady、和田光司 他(50音順)
●30日出演:アイドルマスター、アイドルマスターシンデレラガールズ、アイドルマスターミリオンスターズ、angela、Kalafina、喜多村英梨、栗林みな実、GRANRODEO、地獄の沙汰オールスターズ 阿仁尊地獄篇、ピーチ・マキ、fhana、FLOW、堀江由衣、三澤紗千香、ミス・モノクローム、三森すずこ、ももいろクローバーZ 他(50音順)
●31日出演:アフィリア・サーガ、いとうかなこ、小倉 唯、OLDCODEX、鈴木このみ、田村ゆかり、橋本 仁、プリキュアサマーレインボー!(五條真由美、工藤真由、池田彩、吉田仁美、仲谷明香)、水樹奈々、宮野真守、μ's、May'n、ゆいかおり(小倉 唯&石原夏織)、悠木 碧、LiSA 他(50音順)
アニメロ会員・animeloLIVE!会員限定 追加席チケット先行予約受付中
スマートフォンサイト「animelo mix」、携帯サイト「アニメロミックス」、「アニメロ★うた」、「超!アニメロ」、アニソンライブ見放題サイト「animeloLIVE!」にて、追加席のチケット先行予約を受け付け中。
●抽選申し込み受付期間:2014年7月14日(月)12時〜22日(火)12時
【ステージサイド席】8000円(税込・各日)
【特別解放席】6000円(税込・各日)
※ステージサイド席はステージが見えづらい場合もあり。特別解放席は場内後方に位置し目前にスクリーンがあるため、ステージパフォーマンスが前方のスクリーン以外では一切見えない席
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