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高月彩良&有村架純『イメージしたときに自分から出た声』
私も不器用で気持ちをうまく人に伝えられない
高月言っていましたね。私も浴衣は本当に似合わなくて(笑)、プライベートではあまり着ないので、今すごく締め付けられている感じがあります。
有村私も撮影以外ではあまり着る機会はありませんけど、浴衣は好きです。
――ジブリ作品になじみはありました?
高月私がいちばん好きなのは『千と千尋の神隠し』です。観たのは小学生の頃ですけど、映画は苦手だったんですね。長いから飽きちゃって。だけど『千と千尋』は夢中になって観ていて、あっという間に時間が過ぎていました。終わった途端に“あれ? 今何をしてたんだっけ?”と思った記憶があります。作品にのめり込んでいて。
有村初めて観た作品は『となりのトトロ』です。幼稚園の頃ですけど、衝撃的でした。“こんなにワクワク、ドキドキしたのは初めて!”と思ったくらいです。
――『思い出のマーニー』もずっと残っていく作品になると思いますが、高月さんは杏奈と見た目から似ていますよね?
高月本当ですか? 嬉しいです。杏奈に共感できる部分はたくさんありました。私も不器用で、気持ちをうまく人に伝えられないことがあって。そういうときにワーッとなるのが、すごく似ています。
――有村さんはオーディションでは、マーニーと杏奈を両方受けたそうですね。
有村どちらも演じやすかったです。マーニーはパッと見た印象で、少女というよりお嬢様という感じがしました。でも明るい振る舞いができる子で、杏奈に対してウキウキしています。オーディションで演じたのがふたりの出会いのシーンで、アフレコでもそのときのワクワク感からイメージした声を思い出しながら、背景も考えてやらせていただきました。
声を横で聴いているのが気持ち良くて
高月ずっと通しでアフレコだったので、話す時間はほとんどなくて。ブースでひたすらマイクに向かっていた感じです。
有村でもアフレコは居心地が良かったです。ふたりで遊ぶシーンとか、掛け合いしている感じが、すごく気持ち良く感じられました。
高月空き時間とかに話せなかったので、映像のなかで楽しく会話している気分でした。セリフではありましたけど(笑)。
――有村さん自身から、マーニーっぽさは感じました?
高月もうマーニーそのままでした(笑)。アフレコでは引っ張っていただきました。納得いくまで何度でもやり直していらっしゃるのを見て、ストイックだなと思って、私も見習わなきゃと。
――有村さんは、高月さんから杏奈っぽさは?
有村もちろんありました。リハーサルから、私が勝手に想像していた杏奈の声だったんです。心地のいい音程で、透明感のある声でした。その声を横で聴いているのが気持ち良くて。高月さんの杏奈がいなかったら、マーニーもできていなかったと思うし、一緒にやれて良かったです。
――声優は初めてということで、予想していなかった苦労もありました?
高月たくさんありました。私がいちばん苦労したのは、「マーニー」と呼び掛けるたったひと言です。うれしいとき、悲しいとき……「マーニー」という言葉に、いろいろな気持ちを込めないといけなくて。とくに難しかったのが、マーニーがいなくなってしまって、探して、不安になって、「マーニー!」と叫びたいんだけど、自信がなくて心のなかでつぶやく……という「マーニー」でした(笑)。そのひと言のためだけに、30分以上かけてしまって。米林(宏昌)監督も「一緒に答えを探しましょう」とおっしゃっていて、探りながらやっていました。
――OKテイクは、自分でも“これだ!”という手応えがあった?
高月いやもう、「えっ、今ので?」という感じでした。米林監督が良いとおっしゃってくれたので、それを信じるだけでした。
有村スタジオジブリの過去の作品を観ると、声優を務められた役者さんたちが肩肘を張らず、力が抜けている感じがしたんです。“ナチュラルのままでいいのかな”と思ったんですけど、実際にやると、画と合わせて声を出すのも難しかったですし、台本を読んで想像していた画と違っていたりしました。笑っていると思ったら笑っていないとか、少し間があると思ったら全然ないとかもあります。そこで瞬時に感情を切り替えるのが大変でした。
(文:斉藤貴志/撮り下ろし写真:逢坂 聡)
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思い出のマーニー
関連リンク
・<インタビュー1>私も不器用で…
・<インタビュー2>想いを込めたセリフ
・『思い出のマーニー』公式サイト