第60回ヴェネチア映画祭の栄えあるオープニングを飾り、観客を大いに湧かせたウディ・アレンの話題作『僕のニューヨークライフ』。恋とニューヨークと憂鬱。おなじみのモチーフを、私小説の味わいで編み上げるこの作品について、ウディ・アレン監督自らが語ります。彼らしいウィットに富んだ会話をお楽しみください。
この作品のアイディアはどこから生まれたのですか?
数年前から、似たような人々を知ってたんだ。映画では誇張して描いているけど、似たような女の子も、似たような男の子も、僕が演じたような男も知っていて、彼らの間で物語を転がすように想像してみたんだ。
主人公のジェリーは20歳の頃のあなたで、現在のあなたが若い頃の自分と対話しているように思えたのですが・・・。
そうだね、最初にそういうふうにも考えていたんだ。だからそうとも言えると思うよ。ジェリーには僕の若いころの要素を入れてあるし、老人役の被害妄想的なところはまさに僕だ。だから、若い人物が彼の老いた姿と対話しているようにも理解することができるかもしれない。そういうふうに考えることもできるだろう。でも、僕が意図したことはそうじゃなくて、3人の物語を描くことだったから。恋に溺れる少年、少年に恋いこがれられる、とてもセクシーだけど扱いづらい少女、老人は少年にアドバイスを与え続け助けにもなるんだけど、後になって老人は狂ってたってことがわかる。この3人の物語はおもしろいものになるんじゃないかと思ったんだ。
では、もしあなたが若かりし頃の自分にアドバイスを与えることができるとしたら、どんなことをアドバイスしますか?
う〜ん・・・。僕は、誰にもアドバイスなんてできないものだと思ってるんだ。アドバイスなんてものは、人の感情には全く働きかけないものだと思う。アドバイスを聞くには聞くだろうけど、きっと『よくわかってないくせに勝手なこと言ってるよ』なんて思われるのが関の山だ。それに若い人にアドバイスをするのは本当に難しいことだよ。彼らは表面的にはわかったふりをするかもしれないけど、きちんと受け取っていないだろう。自分が年をとって、若い頃のことを思い返したときに、間違っていたことに気づいたとしても、若い人に何にもアドバイスしてあげられることはないだろう。間違いを避けて進む方法を教えたとしても、人はきっと間違いを起こすだろうから。老人のアドバイスなんて聞かないで間違えをおかすんだ。そういうもんだろう?
主演のクリスティーナ・リッチについて聞かせてください。彼女は、『ウディ・アレンの映画に出演するならば、完璧なウディ・アレン・ガールを演じなくっちゃ』と言っていましたが。
クリスティーナ・リッチはまさに僕の映画のタイプの女の子だね。都会的で、セクシーで、トラブル巻き込み型な人格を自然に表現してくれたから。そして彼女は本当に素晴しい女優さんだったよ。僕ら3人のコンビネーションは完璧で、僕にとって完璧なキャスティングだったね。彼女がスクリーンに登場するとかわいらしく、興味深いルックスだけど、演技も上手いし、なにしろ“女の子の複雑さ”を自然に表現できる女優さんだから。自然に僕の映画の中に存在していたね。
ジェイソン・ビッグスはいかがでしたか? 映画の中の彼はまるであなたの口癖をまねてしゃべっているようでしたが。
みんなそう言うんだけど、そういうふうにしむけた訳じゃないんだ。ジェイソンはとてもスイートな男の子で、人に好かれるし、人を楽しませることができる。僕のように神経症っぽくはないから(笑)。もし僕がジェイソンのような役をやったとしたら、クリスティーナよりも神経質に見えてしまっていたと思う。神経症の少女、スイートで純粋な少年、狂った老人(笑)の3人がこの作品には必要だったんだ。ジェイソンは軽いコメディ・タッチを持っていて、スイートで愛すべき少年だ。彼も完璧だったよ。
クリスティーナ、ジェイソンそしてあなたがとても完璧な三角関係を形成していましたね。
三角関係、そうだね。本当にその通りだよ。
『僕のニューヨークライフ』を観る日本の観客に向けてメッセージをお願いいたします。
『僕のニューヨークライフ』は作っていてとても楽しかった作品です。これはとてもキャラクター主導型の映画で、『さよなら、さよならハリウッド』のように葛藤が主題になっている作品ではないから。『さよなら、さよならハリウッド』は盲目の映画監督が主人公で・・・でもこの映画にはそのような要素はありません。3人のキャラクターが互いに影響し合うパワーについての映画で、とってもセクシーで神経質な女の子と、彼女のことを愛するスイートなボーイフレンド、そして僕が演じた狂った老人が男の子にアドバイスを与え続け、彼も言うことを聞くんだけど、最期に僕が完全に狂ってしまうんです。映画の強さは、ありえないようなキャラクターの3人が混ざり合って化学反応を起こすところにあると断言できます。
監督、ありがとうございました。
このウディ・アレン監督 最新作『僕のニューヨークライフ』は、明日(1月21日)より恵比寿ガーデンシネマほか全国順次ロードショーです。みなさん、お楽しみに!!
この作品のアイディアはどこから生まれたのですか?
数年前から、似たような人々を知ってたんだ。映画では誇張して描いているけど、似たような女の子も、似たような男の子も、僕が演じたような男も知っていて、彼らの間で物語を転がすように想像してみたんだ。
そうだね、最初にそういうふうにも考えていたんだ。だからそうとも言えると思うよ。ジェリーには僕の若いころの要素を入れてあるし、老人役の被害妄想的なところはまさに僕だ。だから、若い人物が彼の老いた姿と対話しているようにも理解することができるかもしれない。そういうふうに考えることもできるだろう。でも、僕が意図したことはそうじゃなくて、3人の物語を描くことだったから。恋に溺れる少年、少年に恋いこがれられる、とてもセクシーだけど扱いづらい少女、老人は少年にアドバイスを与え続け助けにもなるんだけど、後になって老人は狂ってたってことがわかる。この3人の物語はおもしろいものになるんじゃないかと思ったんだ。
では、もしあなたが若かりし頃の自分にアドバイスを与えることができるとしたら、どんなことをアドバイスしますか?
う〜ん・・・。僕は、誰にもアドバイスなんてできないものだと思ってるんだ。アドバイスなんてものは、人の感情には全く働きかけないものだと思う。アドバイスを聞くには聞くだろうけど、きっと『よくわかってないくせに勝手なこと言ってるよ』なんて思われるのが関の山だ。それに若い人にアドバイスをするのは本当に難しいことだよ。彼らは表面的にはわかったふりをするかもしれないけど、きちんと受け取っていないだろう。自分が年をとって、若い頃のことを思い返したときに、間違っていたことに気づいたとしても、若い人に何にもアドバイスしてあげられることはないだろう。間違いを避けて進む方法を教えたとしても、人はきっと間違いを起こすだろうから。老人のアドバイスなんて聞かないで間違えをおかすんだ。そういうもんだろう?
主演のクリスティーナ・リッチについて聞かせてください。彼女は、『ウディ・アレンの映画に出演するならば、完璧なウディ・アレン・ガールを演じなくっちゃ』と言っていましたが。
クリスティーナ・リッチはまさに僕の映画のタイプの女の子だね。都会的で、セクシーで、トラブル巻き込み型な人格を自然に表現してくれたから。そして彼女は本当に素晴しい女優さんだったよ。僕ら3人のコンビネーションは完璧で、僕にとって完璧なキャスティングだったね。彼女がスクリーンに登場するとかわいらしく、興味深いルックスだけど、演技も上手いし、なにしろ“女の子の複雑さ”を自然に表現できる女優さんだから。自然に僕の映画の中に存在していたね。
ジェイソン・ビッグスはいかがでしたか? 映画の中の彼はまるであなたの口癖をまねてしゃべっているようでしたが。
みんなそう言うんだけど、そういうふうにしむけた訳じゃないんだ。ジェイソンはとてもスイートな男の子で、人に好かれるし、人を楽しませることができる。僕のように神経症っぽくはないから(笑)。もし僕がジェイソンのような役をやったとしたら、クリスティーナよりも神経質に見えてしまっていたと思う。神経症の少女、スイートで純粋な少年、狂った老人(笑)の3人がこの作品には必要だったんだ。ジェイソンは軽いコメディ・タッチを持っていて、スイートで愛すべき少年だ。彼も完璧だったよ。
クリスティーナ、ジェイソンそしてあなたがとても完璧な三角関係を形成していましたね。
三角関係、そうだね。本当にその通りだよ。
『僕のニューヨークライフ』を観る日本の観客に向けてメッセージをお願いいたします。
『僕のニューヨークライフ』は作っていてとても楽しかった作品です。これはとてもキャラクター主導型の映画で、『さよなら、さよならハリウッド』のように葛藤が主題になっている作品ではないから。『さよなら、さよならハリウッド』は盲目の映画監督が主人公で・・・でもこの映画にはそのような要素はありません。3人のキャラクターが互いに影響し合うパワーについての映画で、とってもセクシーで神経質な女の子と、彼女のことを愛するスイートなボーイフレンド、そして僕が演じた狂った老人が男の子にアドバイスを与え続け、彼も言うことを聞くんだけど、最期に僕が完全に狂ってしまうんです。映画の強さは、ありえないようなキャラクターの3人が混ざり合って化学反応を起こすところにあると断言できます。
監督、ありがとうございました。
このウディ・アレン監督 最新作『僕のニューヨークライフ』は、明日(1月21日)より恵比寿ガーデンシネマほか全国順次ロードショーです。みなさん、お楽しみに!!
2006/01/20