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　妖怪たちの世界を描いた『ゲゲゲの鬼太郎』などで知られる漫画家・水木しげるの妻、武良布枝さんが、夫婦の半生を振り返った著作『ゲゲゲの女房』。春から半年間に渡って放送された、同著を原案にしたNHK連続テレビ小説は、放送を終えたばかりだが、続けざまに11月20日公開で映画版が登場する。映画版でヒロイン・布枝を演じた吹石一恵と、しげる役の宮藤官九郎に話を聞いた。

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　お見合いからわずか5日で結婚。昭和36年、出雲の安来から上京した布枝が見たのは、花の東京とは無縁の、底なしの貧乏暮らしだった。そんな布枝の前には、妖怪漫画をただひたすら、毎晩遅くまで描き続けるしげるの姿があった。いつしか布枝の心には「この努力がムダに終わるはずがない」という強い感情が芽生えはじめていく。恋だの愛だのいう前に“一緒”になったふたりが、かけがえのない夫婦になっていく。水木しげる作品のようにユーモアを散りばめた、心温まる“夫婦創世記”。

――ふたりは初共演ですね。

【吹石】　はい。宮藤さんが脚本を書かれた作品に出演したこともなかったです。
【宮藤】　共演すると聞いて、撮影がすごく楽しみでした。
【吹石】　私も、以前から宮藤さんにお会いしてみたかったので、とっても嬉しかったです。テレビを観ていて、近寄ってみたいと思える人って、たまにいますね。いい匂いがしそうというか、そんな感じで…。
【宮藤】　（うれしそうに微笑む）。
吹石：そういえば、私、グループ魂のライブに行ったことがありました！
【宮藤】　えー！！　そうですか。
吹石：5、6年くらい前でしょうか。友人に連れて行ってもらって、CDも買いました。
【宮藤】　ありがとうございます（笑）。そうですか…。

――実際に共演した感想は？

【宮藤】　もっと、大人しい人だと思っていた。
【吹石】　よく言われます。
【宮藤】　意外と親しみやすくて、芝居もやりやすかったです。鈴木卓爾監督から難しい要求、すごく抽象的だったり、心象的なことだったり、があっても、吹石さんは全部応えようとしていて、芯が強いというか、すごいと思いました。
【吹石】　頑張りました。
【宮藤】　今回は布枝さんに感情移入して観る映画ですから、演じる吹石さんが大変なのは当然なんですけど、オレが女だったら多分無理かなと思ったほど、監督の演出は容赦なかったし、吹石さんもわからないことはわからないっていうし。それが、すごい。
【吹石】　（噴出す）ハハハ。精神的に2000回リハーサルをさせられたようなシーンがあるのですが、そんな時でも宮藤さんはただじっとそこで待っていてくださって、ありがたかったです。
【宮藤】　手を差し伸べることもなく、助けもせず…（笑）。
【吹石】　「大丈夫だよ」とか、中途半端にやさしい言葉もなく、ただ待っていてくださる、その佇まいにすごく助けられたというか、励まされたというか…。監督からいろいろ言われてているうちに、何が何だかわからなくなって。最初に言われたことを忘れちゃったりして。
【宮藤】　わからなくなった頃に、意外とOKが出たりしたんだよね。
【吹石】　そうなの、そう！
【宮藤】　今のがOK？ということは、次どうすればいいの？という感じになっちゃうんですよね（笑）。
【吹石】　リアルに私が悩んでいる感じが、布枝さんを演じる上では必要だったのかもしれないと、完成した作品を観たらそう思いました。

――妖怪っていると思いますか？

【吹石】　妖怪もUFOも、全部存在すると思います！　吹石家では、母からして目に見えない世界が大好きで、私も水木さんの漫画も読んでいました。この作品で水木しげる先生にもお会いすることができて、本物の（？）ぬらりひょんや小豆洗いも見ることができて、嬉しかったです。
【宮藤】　僕はそういう意味ではちょっと冷めているのかも。劇中で、布枝さんから「妖怪、見えるんですか？」と聞かれて、「見える、見える」と答えるシーンがあったんだけど、下手したらオレだけ、つまり水木先生には見えていないんじゃないか、そう思われてもいいかなと思いながら演じていました。「えっ、いるの？」というリアクションのほうが面白いんじゃないか。「へぇー、やっぱりいたんだ、僕には見えないけど…」みたいなオチもいいかな。僕自身としても、「いる」と思いたいところですが、正直、見たことないしなぁ〜。

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