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橋田壽賀子、『おしん』に託した“遺言”

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 『おしん』や『渡る世間は鬼ばかり』など数々のヒット作品で知られる人気脚本家・橋田壽賀子氏(85)が“最後の執筆活動”として、著書『おしんの遺言』(小学館)を上梓した。「この国の未来といまを生きる人々のために」と、そして橋田氏自身の「人生の集大成に」と筆をとり、おしんに渾身のラストメッセージを託した。ORICON STYLEではこのほど橋田氏の“遺言”を独占入手、ここに初公開する。

橋田壽賀子氏 (C)ORICON DD inc. 

橋田壽賀子氏 (C)ORICON DD inc. 

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 27年前に放送された『おしん』は、辛苦に耐えながら明日を夢見て、愚直に力強く生き抜くおしんの生きざまが感動を呼び、テレビドラマ史上最高の平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%を記録。日本を代表する不朽の名作として知られ、現在も世界63ヶ国で放送され続けているが、当時、『おしん』に込めた思いは「誤解されて伝わっていた」と嘆く。本当の豊かさとは、幸せとは、古き良き日本人が持っていた「生き方」と「老い方」とは――。

 「この頃、ふと胸を去来するのは、おしんは私の分身なのかもしれないという思いです。そんなおしんに託して、その名前にちなんだ芯、真、辛など12の文字に、私の生き方と老い方を重ね合わせてみました。混迷するいまの時代に、この遺言が少しでもお役に立てれば幸いに思います」と万感の思いで書き上げた橋田氏。以下、遺言の全文を公開する。

        ◇

これまでに私が手掛けてきた脚本は実に200本超になります。
どの主人公にも限りない愛着がありますが、そのなかでも『おしん』には、私の特別な思いが凝縮されています。
明治、大正、昭和という死と隣り合わせだった激動の時代を、不器用ながらも懸命に生き抜いたおしんこそが日本女性の原点だと思うからです。

おしんは83歳という晩年も晩年になって、やっと過去を振り返ります。
いま私はそのおしんより2つも齢を重ねました。
人間には、40歳になって見えること、60歳でわかること、そして80歳でようやく悟ることがあります。
本書では85歳になった私がおしんという分身に託して、人が守るべき生き方と老い方のすべてを綴りました。

迷走する政治、高齢者所在不明問題、財政破綻……日本はかつてない問題をいくつも抱えています。
しかし、日本人にはどんな局面をも乗り越える力があるはず。
その力を取り戻すためには、まずひとりひとりが自分自身の生き方と老い方を見つめ直す必要があるのです。
今後、こうしたかたちで私の思いを綴ることはもう二度とないでしょう。本書は紛れもない私の“遺言”だからです。
ひとりでも多くの人の胸に、この“遺言”が届けばと、そう願ってやみません

■橋田壽賀子(はしだ・すがこ)
1925年5月10日生まれ。日本女子大学卒業後、早稲田大学へ入学。中退し松竹に入社した後、フリーの脚本家に転身。1966年、岩崎嘉一氏と結婚。1989年、死別。1992年、橋田文化財団を設立し理事に就任する。『となりの芝生』『おんな太閤記』『春日局』『渡る世間は鬼ばかり』『春よ、来い』など、これまで200本超の作品を手がける。NHK放送文化賞、菊池寛賞、紫綬褒章などを受賞。著書に『夫婦の格式』(集英社新書)、『ひとりが、いちばん!』(だいわ文庫)、『夫婦の時間』(知恵の森文庫)など。現在、愛犬・愛猫とともに静岡県・熱海市に在住。

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  • 橋田壽賀子氏 (C)ORICON DD inc. 
  • 橋田壽賀子氏が“最後の執筆活動”として発表する著書『おしんの遺言』(小学館) 表紙のペンは「般若心経」が書かれたオーダーメイドの万年筆 

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