■徳永英明の『VOCALIST』シリーズは“ブランド”
最近いいなぁと思った曲が、ソニーのデジカメのCMのバックに流れていた、JUJUが歌う「Hello,Again〜昔からある場所〜」。この曲は1995年にMY LITTLE LOVERの3rdシングルとして発売された作品で、約185万枚という大ヒットになって、耳にしたことある人も多いはずだ。そんな名曲をJUJUが見事にカバーしている。MY LITTLE LOVERのボーカルのakkoとは全く違う声質、歌い方なのに、原曲の良さを決して失うことなく、全く新しいものとして、見事に歌い上げている。何回繰り返し聴いても全く飽きない素晴らしさ。もちろんアレンジの妙もあると思うが、「いい曲だなぁ」ということを、改めてJUJUに教えられた感じだ。
同じような感じで毎回感心して聴いているのが、徳永英明の人気企画というか、すでに“ブランド”化したといっても過言ではないほどの完成度の高さの『VOCALIST』シリーズだ。数あるカバー集の中で、徳永のこのシリーズばかりがなぜ売れるのだろうか?
その始まりは、2005年9月に発売した『VOCALIST』だった。最高位5位ながら、193週もTOP100内をキープし、85万枚を超える大ヒット、ロングセールスになった。女性ボーカリストの歌を、男性の徳永がカバーするという企画の面白さ、しかも徳永のハイトーンで、ハスキーな甘い声が、抑え目のアレンジと相まって、その曲の持つ“温度”を忠実に伝えてくれている。続く『〜2』は06年8月にリリースされ、最高位3位、こちらも133週もTOP100をキープして、70万枚を超えるヒットに、『〜3』は2週連続1位を獲得し、90万枚を超える大ヒットになっている。そして今年4月に発売された『〜4』はなんと4週連続1位を獲得し、現在までに約38万枚のヒットになっている(数字は全て8/3現在)。
1970年代から現在までの女性ボーカルが歌った、その時代を代表する、時代を彩った、時代の空気を感じさせてくれる、名曲の数々――を絶妙の選曲センスでチョイスしているところが素晴らしい。誰もが知っている名曲が入っているカバーアルバムのほうが、当然ユーザーは気になる一方で、聴いたときに満足感を得られなかった場合、歌い手に対するその評価は、以後恐ろしい程低くなることもある。そんな危険を冒してでも、名曲のカバーにチャレンジするというのは、原曲を自分のものにしてやるんだ、というぐらいの勇気が必要だと思う。“原曲の知名度頼み”のカバーではダメだということ。「原曲よりイイ」と言われる自信がなければ、その曲は歌うべきじゃないし、勇気がないならカバーはしないほうがいい。
でも徳永は違った。そのキャリアに裏打ちされた、抜群の表現力と、彼がひと声発すれば、一瞬にしてどんな曲も“徳永ワールド”の色に染めることができるという自信があったのだと思う。そうでなければ、あんなに素晴らしい曲たちをチョイスできないはずだ。いい曲というのは総じて“難しい”もの。例えば、ちょっと譜割を変えただけで、原曲=イイ、というイメージにユーザーは違和感を感じてしまい、?マークが頭の中に広がってしまう。だから原曲に忠実に、さらにそこにどう自分らしさをプラスして“原曲超え”をするかということになると、よほど自信と勇気がなければ無理だ。
『〜4』のラインナップを見てみると、テレサ・テン、松田聖子、宇多田ヒカル、松任谷由実、古内東子、JUJU、鬼束ちひろ、研ナオコ、あみん、DREAMS COME TRUE……、まさに親子で聴けるラインナップで、その両方を唸らせる作品にしなければ、大きなヒットにはならないわけだが、このシリーズは見事に数字を弾き出している。
アレンジの素晴らしさも大ヒットの要因に大きく関わっていると思う。このシリーズには欠かせないアレンジャー・坂本昌之の、原曲のアレンジの匂いを残しつつも、抑え気味だけど誰にも心地良い、より普遍性を湛えたアレンジが絶妙だ。曲を壮大に盛り上げるのではなく、あくまでも声を“立てる”というか、徳永の声、囁くような歌に寄り添うアレンジがいい。
内容そして、その内容をプロモーションするための、テレビ露出も効果的だった。番組によって披露する楽曲を変え、その番組のターゲット層に合った選曲で、ユーザーにきちんと届けることができた。それら全てのことが相まって、「徳永のカバーはイイ!」という“信頼”と“安心”が生まれ、『VOCALIST』シリーズは“ブランド”となったのだと思う。なんでもそうだが、“ブランド”になったら強い。
この『VOCALIST』シリーズは、これからも聴く人の心を潤すブランドとして、もっともっと広がっていきそうだ。
⇒ 『編集長の目っ!!』過去記事一覧ページ
最近いいなぁと思った曲が、ソニーのデジカメのCMのバックに流れていた、JUJUが歌う「Hello,Again〜昔からある場所〜」。この曲は1995年にMY LITTLE LOVERの3rdシングルとして発売された作品で、約185万枚という大ヒットになって、耳にしたことある人も多いはずだ。そんな名曲をJUJUが見事にカバーしている。MY LITTLE LOVERのボーカルのakkoとは全く違う声質、歌い方なのに、原曲の良さを決して失うことなく、全く新しいものとして、見事に歌い上げている。何回繰り返し聴いても全く飽きない素晴らしさ。もちろんアレンジの妙もあると思うが、「いい曲だなぁ」ということを、改めてJUJUに教えられた感じだ。
同じような感じで毎回感心して聴いているのが、徳永英明の人気企画というか、すでに“ブランド”化したといっても過言ではないほどの完成度の高さの『VOCALIST』シリーズだ。数あるカバー集の中で、徳永のこのシリーズばかりがなぜ売れるのだろうか?
1970年代から現在までの女性ボーカルが歌った、その時代を代表する、時代を彩った、時代の空気を感じさせてくれる、名曲の数々――を絶妙の選曲センスでチョイスしているところが素晴らしい。誰もが知っている名曲が入っているカバーアルバムのほうが、当然ユーザーは気になる一方で、聴いたときに満足感を得られなかった場合、歌い手に対するその評価は、以後恐ろしい程低くなることもある。そんな危険を冒してでも、名曲のカバーにチャレンジするというのは、原曲を自分のものにしてやるんだ、というぐらいの勇気が必要だと思う。“原曲の知名度頼み”のカバーではダメだということ。「原曲よりイイ」と言われる自信がなければ、その曲は歌うべきじゃないし、勇気がないならカバーはしないほうがいい。
でも徳永は違った。そのキャリアに裏打ちされた、抜群の表現力と、彼がひと声発すれば、一瞬にしてどんな曲も“徳永ワールド”の色に染めることができるという自信があったのだと思う。そうでなければ、あんなに素晴らしい曲たちをチョイスできないはずだ。いい曲というのは総じて“難しい”もの。例えば、ちょっと譜割を変えただけで、原曲=イイ、というイメージにユーザーは違和感を感じてしまい、?マークが頭の中に広がってしまう。だから原曲に忠実に、さらにそこにどう自分らしさをプラスして“原曲超え”をするかということになると、よほど自信と勇気がなければ無理だ。
『〜4』のラインナップを見てみると、テレサ・テン、松田聖子、宇多田ヒカル、松任谷由実、古内東子、JUJU、鬼束ちひろ、研ナオコ、あみん、DREAMS COME TRUE……、まさに親子で聴けるラインナップで、その両方を唸らせる作品にしなければ、大きなヒットにはならないわけだが、このシリーズは見事に数字を弾き出している。
アレンジの素晴らしさも大ヒットの要因に大きく関わっていると思う。このシリーズには欠かせないアレンジャー・坂本昌之の、原曲のアレンジの匂いを残しつつも、抑え気味だけど誰にも心地良い、より普遍性を湛えたアレンジが絶妙だ。曲を壮大に盛り上げるのではなく、あくまでも声を“立てる”というか、徳永の声、囁くような歌に寄り添うアレンジがいい。
内容そして、その内容をプロモーションするための、テレビ露出も効果的だった。番組によって披露する楽曲を変え、その番組のターゲット層に合った選曲で、ユーザーにきちんと届けることができた。それら全てのことが相まって、「徳永のカバーはイイ!」という“信頼”と“安心”が生まれ、『VOCALIST』シリーズは“ブランド”となったのだと思う。なんでもそうだが、“ブランド”になったら強い。
この『VOCALIST』シリーズは、これからも聴く人の心を潤すブランドとして、もっともっと広がっていきそうだ。
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2010/08/06




