| いわゆるコンピレーション・アルバムとしては、久しぶりに強く印象に残るヒット作品『Beautiful Songs〜ココロ デ キク ウタ〜』。この5月にワーナーミュージック・ジャパン(WMJ)から発売されてからロングヒットを記録中。トータルの売り上げは35万枚に達しており、その数字、さらには内容の充実度という点でも、今年を代表するコンピ企画として記憶されるに違いない。 「当社のコンピレーションの売り上げでも、ここまで行くのは久しぶりです。発売から3ヶ月ですが、幅広い方に買っていただいているようです。最初は大都市を中心にプロモーションをしていたんですが、どうやら日本全国で受け入れられる作品じゃないかということで、宣伝するエリアを拡大しました。それがこの結果に結びついていると思います」 | ![]() |
こう語るのは同社の小澤直人氏。コンピレーションや再発アルバム、紙ジャケシリーズの制作者で、この『Beautiful Songs〜』の企画発案者でもある。
そう、『Beautiful Songs〜』の最大の目玉はジェイムスの「ユア・ビューティフル」、ダニエルの「バッド・デイ」という、今をときめく2人の男性シンガーの大ヒット曲が収録されていること。チャート上では、2人のデビューアルバムがじわじわとセールスを伸ばす中、遅れてリリースされた『Beautiful Songs〜』もそこに加わる形で、さらに状況が加熱しているかのようなインパクトがあった。
「この2曲が収録できたことはラッキーでした。お店でも3枚一緒に並べてお薦めいただいているような形になっていますし、彼らのプロモーション効果がこちらにも響いてきて、相乗効果で売れているような感じがあります」
ドノヴァン・フランケンレイター、ジェイソン・ムラーズ、ダミアン・ライスまでを収めたこのアルバムは<いま話題の男性シンガーのヒット曲集>としての側面もある。ただ、中にはケイティ・メルアのような女性、オアシスやR.E.M.といったロックバンドの隠れた名曲も収録されているし、最後を飾るギター・インストは日本のおおはた雄一の演奏だ。いわゆるジャンル的な括りはない。
「みなさんが知らない、隠れた素敵な曲も多いと思います。国内盤が出てないアーティストも入っていますし、バンドだからとかソロ・シンガーだからという意識はそんなになかった。結果的には<曲がいいから入れよう>という形です」
そうしたフィーリング重視のコンピだけに、ジャケットや帯コピー、宣伝上のイメージ展開なども多分に感覚的だ。通常のコンピはもっとドラスティックなコンセプトで編まれるが、このアルバムはひと味違う。
「今回は感覚的にというか、雰囲気で手にとっていただけるものができないかなと思ったんです。<そばにあってもいいかな>と思われるような、親しみやすい感じにしようと。そうなるとマーケット的には埋もれてしまう可能性もあるんですけど、やはりあの2曲のおかげでしょうね。リラックスして、アルバムを通して楽しんでもらうような聴き方をしてもらえばうれしいですね」
このように、ファジィなコンセプトが支持される要因にもなったことを思うと、やはり制作サイドのクリエイティビティは重要なのだと感じさせられる。「雰囲気で買って聴いていただいて、そのお客さんに新しい音楽の扉が開けば、楽しい音楽ライフになると思います」と語る小澤氏の表情は、音楽ファンであるからこその充実感に満ちている気がした。
同作は8月21日付で5位、これでトップ10入りは10週連続11週目となる。28日付ではついに1位獲得を果した。(青木 優)
<もの作り>に近い感覚のコンピCD制作
「カジュアルに音楽を楽しみたい方、<いい音楽があれば聴きたい>という方々に届けばいいなと思い作りました。ジェイムスとダニエルの2曲を聴いて<いいな>と思うような方に、<ほかにもこういう曲はいかがでしょうか>と提案をしています。これからオリジナル・アルバムへの入り口になればいいなと、本当に思いますね。それからこのCDの制作は<もの作り>に近いものがありました。買っていただいて、このCDが家にあったり、カバンに入っていても<いいな>と思ってもらえるというか。そういうものができたのではないかと思います」
小澤直人氏(WMJ ストラテジック・マーケティング部 Rhinoグループ プロデューサー)

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2006/08/24
