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竹島宏、デビュー25周年記念曲「純愛」に込めた“地味かっこいい”世界観【インタビュー】

  “ロマンティック歌謡歌手”のキャッチフレーズで大人の歌謡曲を歌い続けている竹島宏が、デビュー25周年記念曲「純愛」を4月15日にリリースした。2023年に「第65回日本レコード大賞」企画賞を受賞した「ヨーロッパ三部作」以降築き上げてきたドラマチックな世界観とは一転し、25周年の勝負曲で打ち出したコンセプトは“地味かっこいい”。その真意とは?

デビュー25周年記念曲「純愛」をリリースした竹島宏

デビュー25周年記念曲「純愛」をリリースした竹島宏

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■ “地味”はまさに自分自身を表した言葉

 2002年のデビュー以来、甘く憂いを帯びた歌声と端正なルックスでファンを魅了し、昨年は初のミュージカル出演、初の大阪・新歌舞伎座での単独公演達成と進化を続けている竹島。21年からは3年連続でヨーロッパを舞台にした「プラハの橋」「一枚の切符」「サンタマリアの鐘」の「ヨーロッパ三部作」をリリース。その後も別れた恋人への一途な想いを綴った「ハルジオンの花言葉」や悲恋の鳥をモチーフに究極の愛を表現した「小夜啼鳥(サヨナキドリ)の片思い」と哀愁を帯びたドラマチックな歌を届け、“ロマンティック歌謡歌手”という唯一無二の存在感を示してきた。

 そんな竹島が25周年記念曲としてリリースした「純愛」は、「プラハの橋」から竹島のサウンドプロデュースを担っている幸耕平氏が作曲を、「ハルジオンの花言葉」「小夜啼鳥の片思い」を手がけた松井五郎氏が作詞を担当。竹島にとって「絶対的な信頼がある」という両氏だが、実は最初にデモ音源を聴いたときは、煌びやかさや派手さのない世界観に、「正直、頭の中にクエスチョンマークがついてしまった」と苦笑いする。

 しかし、その後、幸氏から曲に込めた思いを聞かされた竹島は、考えが180度転換。なかでも心に響いたのは「竹島にしか歌えない歌」というひと言だったという。

 「幸先生からは、『これまではステージ映えするような楽曲を意識して作ってきたけれど、今回は逆に静かだけれど聞いているとじんわり温かくなる、一見地味なんだけれど、よく聞くとすごくいい曲だと思ってもらえるような方向で作った』と言われました。さらに、大人の歌謡曲を歌う歌手として、竹島宏ならではの世界観を構築してきて25周年を迎えるにあたり、『ここでもうひと押ししたいと思ったとき、竹島しか歌えないのはこういう“地味かっこいい”世界なんじゃないかと考えた』と言われたんです」

 「“かっこいい”は置いておいて」とはにかみつつ、「“地味”はまさに自分自身を表した言葉だと思った」と竹島は目を輝かす。

 「僕は地味の真骨頂をずっと歩いてきたような人間ですから(笑)。たとえば、デビュー当時からよくいろいろな方々に『竹島くんは横一列で皆が並んだステージで、いつもちょっと後ろにいるよね。この世界では人よりも一歩でも半歩でも前に出て目立とうという姿勢や気持ちがないと大変だよ』と言われてきました。でも、そうなんだろうなと思う反面、皆が皆、それでいいのかなって、冷めた気持ちで考えている自分がずっといて。でも、そのスタンスを持ち続けてきたから自分はこの世界で24年間生きてくることができたとも思うんです」

 さらに自身を育んでくれた故郷・福井県にも、“地味”にまつわるこんなエピソードがあった。

 「北陸新幹線の開業に際して付けられた福井県のキャッチコピーが『地味に、すごい』でした(笑)。地味はまさに自分自身を作ってくれたアイデンティティなんです」

■24年間続けてきたレッスン、うまくなったねと言われることが本当にうれしい

 そんな思いの込められた25周年の記念曲「純愛」は、派手さや装飾をそぎ落とすことで竹島のボーカルの魅力が極限まで引き出された真っ直ぐな大人のラブソング。

 「いろいろなものが削ぎ落されたときに本質だけが残るという感じでしょうか。“地味かっこいい”世界観には自分のこれまでの人生をすべて集約してもらえた気がして、いろいろなものを解き放ち、身も心も丸裸な状態でレコーディングに臨めました」

 その時の自分を「心身ともに整ったまっさらな状態で25周年という新しいスタートの一歩を踏み出せた」とも表現する竹島。その裏には、こんな経験もあった。

 「純愛」を受け取ったとき、実は仕事上でいろいろなことが重なり、「精神的にとてもきつい時間を過ごしていた」のだそう。そんななか、教会でゴスペル聖歌隊とコラボするライブを経験。「商業ベースで活動されていない皆さんと音楽を一緒に奏でる素敵な時間を通して、人が歌を歌うってどういうことなんだろうという原始的な感覚にまで自分を戻してもらえ、歌は人間にしかない、とても大切で素敵な営みのひとつなんだということを思い出させてもらえた」というのだ。

 歌唱においては、「メロディーがシンプルな分、聴く人の心に余韻として残るような歌い方、表現をどうするか」が課題となったが、「プロの歌手として24年間勉強させていただいたことをこの作品を通してまっすぐ届けたい」と思い直したという。その根底には、デビュー以来、「何より第一優先にして時間を費やしてきた」と語るレッスン量の裏付けもあった。

 「僕はデビューさせていただいたときから技量に関してはコンプレックスの塊でした。でもそれが自分の学びの意欲をかき立てる原動力になり、デビュー以来、今もずっとレッスンを重ねています。勉強すればするほどいろいろな課題が見つかって、その課題を克服するとまた表現の幅が広がって。それを常に体感しているので、これからももっともっといっぱい勉強して、どんどん歌の裾野を広げていけたらと思っています。なので、25年目に入るタイミングで今一番思っているのは、もっと歌の勉強がしたいということです」

 そんな真摯な歌に向かう姿勢は確実に竹島を成長させている。今回、レコーディング終了後、幸氏からも松井氏からも「『いいね』と言われた」と破顔する竹島だが、実はコンサート後にファンからも「最近、うまくなったなと思っていたけれど、もっとうまくなったみたい」と言われることが多いのだとか。「先生に褒められて喜ぶ子どもみたいなもので、うれしいからもっと頑張っちゃおうって思うんです」と、まわりからの評価がさらなる成長のためのレッスンへの意欲にもつながっていると明かす。

■歩みを止めることなく前へ前へと進んでいきたい

 本作のカップリングにはAタイプに「太陽の残光」、Bタイプに「心からの声」を収録。ともに幸耕平氏作曲、松井五郎氏作詞による作品だ。

 胸のうちに秘めた熱情や抗えない大人の恋の衝動を描き出した「太陽の残光」は、危険な香り漂う“松井五郎ワールド”を竹島が色気のある歌声で歌い上げる。

 「松井先生の中では石原裕次郎さんの映画の世界がモチーフだったそうですが、冒頭の“ナイフを素手で 握りしめ”には、ナイフの刃の部分を素手で握りしめているようなイメージが浮かんでドキッとしました。そのことを先生に伝えたら、先生、ちょっとうれしそうでした(笑)」

 「心からの声」は夜空の星や三日月に思いを馳せながら、明日への希望と自分自身の心を信じる強さを歌ったメッセージソングだ。

 「幸先生が恋愛の歌とはまたちょっと違う視点で、坂本九さんの『見上げてごらん夜の星を』のように世の中の人が希望を持ってもらえるような作品を竹島が歌ったら、というイメージで作ってくださいました。レコーディングの後、幸先生から『泣けるぞ、本当にうまくなったな』ってわざわざお電話をいただいて。なかなか褒めるために先生からお電話していただくことはないので、本当にうれしかったです」

 「純愛」に関しては、「たとえば、J-POPのシンガーがカバーしてもそのフィーリングで成り立つし、高校生がカラオケで歌っても、『いい歌だね、誰の歌?』って話題になるような、世代やジャンル、僕が今まで築いてきた世界観の枠組みに収まらない形の作品に仕上がっているので、僕の手を離れたところでも皆さんに愛されるようになったらうれしい」と期待を寄せる。

 25周年の今年は、夢だった書き下ろしのアルバムもリリースする。

 「ずっと応援し続けてくれたファンの方への恩返しの気持ちも込めて、そのアルバムを携えてライブもしたいと思っています。とにかく、25周年という新たな一歩を踏み出した今、ファンの皆さんやスタッフたちと未来をどういうふうに作っていくか。心を合わせて楽しみながら、前へ前へと進んでいきたいと思います」

 “地味”には、“派手”の反対の意味だけでなく、“土地の味”の意味もある。竹島は今後、これまで以上に彼ならではの豊かな“味”を聞かせてくれるだろう。そのとき“ロマンティック歌謡歌手”の肩書がどう変わっているのか、楽しみに見つめていきたい。

取材・文:河上いつ子

<作品情報>
■竹島宏 デビュー25周年記念曲「純愛」

【Aタイプ】
品番:TECA-26013/価格:1550円(税込)
1 純愛 作詞:松井五郎/作曲:幸 耕平/編曲:坂本昌之
2 太陽の残光 作詞:松井五郎/作曲:幸 耕平/編曲:坂本昌之
3 純愛 (オリジナル・カラオケ)
4 太陽の残光 (オリジナル・カラオケ)

【Bタイプ】
品番:TECA-26014/価格:1550円(税込))
1 純愛 作詞:松井五郎/作曲:幸 耕平/編曲:坂本昌之
2 心からの声 作詞:松井五郎/作曲:幸 耕平/編曲:坂本昌之
3 純愛 (オリジナル・カラオケ)
4 心からの声 (オリジナル・カラオケ)
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関連写真

  • デビュー25周年記念曲「純愛」をリリースした竹島宏
  • 竹島宏 デビュー25周年記念曲「純愛」【Aタイプ】
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