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MyGO!!!!!、“現在進行形”の音像で魅せた「二度と訪れない奇跡」 初の全国ツアー開幕戦レポート【ネタバレあり】

 次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』から生まれたリアルバンド・MyGO!!!!!(マイゴ)が13日、東京・Zepp Haneda(TOKYO)で『MyGO!!!!! ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」』の初日公演を開催し、新曲「砂寸奏(さすらい)」を含む全14曲を届けた。

MyGO!!!!! ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」』 Photo/福岡諒祠(GEKKO) (C)BDP

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 “現実(リアル)”と“仮想(キャラクター)”が同期するバンドとして、2022年7月の始動から約1年にわたってキャストの顔や名前を明かさずにステージに立ってきたMyGO!!!!!。昨年4月の単独公演『MyGO!!!!! 4th LIVE「前へ進む音の中で」』でメンバー名とキャストが公表された。

 同年6月から放送されたテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』では、同プロジェクトの従来のイメージを覆すようなストーリーがアニメシーンを超えて話題となり、11月には1stアルバム『迷跡波』を完成させるなど、怒とうの勢いで2023年を駆け抜けた。同様に、リアルライブの規模も着実に拡大。アルバムを引っ提げた昨年11月4日の『BanG Dream! 12th☆LIVE DAY2 : MyGO!!!!!「ちいさな一瞬」』(東京ガーデンシアター)は、自身最大規模の会場での単独公演となった。

MyGO!!!!! ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」』 Photo/福岡諒祠(GEKKO) (C)BDP

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■さまざまなストーリーが投影されるエモーショナルな開幕

 暗転したステージに高松 燈(Vo/CV:羊宮妃那)、千早 愛音(Gt/CV:立石凛)、要 楽奈(Gt/CV:青木陽菜)、長崎 そよ(Ba/CV:小日向美香)、椎名
立希(Dr/CV:林 鼓子)が姿を現すと、フロアからは割れんばかりの拍手が自然と沸き起こる。この日はMyGO!!!!!にとって初となる全国ツアーの開幕戦。メンバーの顔には若干の緊張も浮かぶが、その緊張を吹き飛ばすかのようにそれぞれの楽器を勢いよくかき鳴らし、「碧天伴走」でライブをスタートさせた。

 「碧天伴走」は、キャラクターたちが初ライブで披露した楽曲(テレビアニメ第7話)でもあるが、作中での演奏直後からさまざまな壁を乗り越えてきた5人、そしてそのストーリーを目撃してきたファンにとっては特別な意味も宿っていたことだろう。だからこそ、冒頭のMCで燈が口にした「やっぱりこの5人でライブするのは楽しいね」という一言もまた、ツアーの開幕を喜ぶ以上の熱を帯びて響いた。

 この5人がステージに立っているという奇跡をじっくりと噛みしめるようなファンの静寂を破ったのは、初のオリジナル楽曲「迷星叫」。燈のアカペラで始まるというアレンジ、そこに重なっていく愛音のアルペジオ、そして同期音源を用いないピュアなバンドアンサンブルが轟き、会場は一層エモーショナルな空気に包まれる。

 そして最初期の楽曲「名無声」とテレビアニメのオープニング曲「壱雫空」が披露された際の、メンバー間でアイコンタクトを交わすシーンや全員が体を向き合わせて音を合わせる場面では、キャラクターの姿がそのままステージ上の5人と重なり、「“現実(リアル)”と“仮想(キャラクター)”が同期するバンド」であることが体現されていった。

 バンドの足跡を追体験するようなセクションを終え、立希は会場を見渡しながら「本当にここまで来たんだな…って」と語り、愛音も「確かに、MyGO!!!!!の曲がいろいろな人に聞いてもらえるようになったよね。みなさん、いつもありがとうございます」と感謝。こうしたやりとりは、従来のリアルライブと同様にキャラクターとして行われるわけだが、そこにはリアルバンドとして始動してからの約1年半で数々の経験を積んできたことによる説得力も付加された。

MyGO!!!!! ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」』 Photo/福岡諒祠(GEKKO) (C)BDP

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■確かな説得力を持って重なり合う5つの音

 もちろん、説得力を増したのは言葉だけではない。

 立希はPearl製Masters Maple Gumシリーズのドラムセットを起用し、重厚さと繊細さの両面における進化を明示。特に「名無声」では、パターン系のフレーズをテクニカルに叩き出すAメロ、繊細なシンバルワークが光るBメロ、サビに向けてしっかりと興奮度を高める高速スネアロールなど、曲のシーンや聴き手の心情へ的確に働きかける演奏が繰り広げられた。

林のドラムセット・Pearl Masters Maple Gum Series Drum Set(BD:22”×18”、TT:10”×7”&12”×8”、FT:16”×14”) (C)ORICON NewS inc.

林のドラムセット・Pearl Masters Maple Gum Series Drum Set(BD:22”×18”、TT:10”×7”&12”×8”、FT:16”×14”) (C)ORICON NewS inc.

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 そよはESP製GBを握りつつ、ピック弾きとフィンガースタイルを楽曲によって使い分けた。結果、自身の音色のみならず、アンサンブルの根底にあるグルーヴすらも巧みにコントロール。「潜在表明」の独特なスリリングさを演出する経過音の扱い方や、この日初披露となった「歌いましょう鳴らしましょう」で疾走感を演出した精緻な運指とピッキングなど、随所に如実なスキルアップの痕跡を垣間見せた。

小日向's メインベース・ESP製GB (C)ORICON NewS inc.

小日向's メインベース・ESP製GB (C)ORICON NewS inc.

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 愛音はESP製ULTRATONEの持ち味と言える、温かみとエッジーさを兼ね備えたトーンでアンサンブルの礎となるバッキングフレーズをかき鳴らした。冒頭の「碧天伴走」から圧倒的なピッキング精度を見せつけつつ、「影色舞」や「迷星叫」では楽曲の“顔”になる印象的なフレーズもハジき出す。さらに、「壱雫空」では愛音らしくステージ前面でファンをアジテートし、「音一会」では楽奈とのユニゾンでも魅了した。

立石's メインギター・ESP ULTRATONE (C)ORICON NewS inc.

立石's メインギター・ESP ULTRATONE (C)ORICON NewS inc.

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 ツインギターの片翼を担う楽奈は、ESP製POTBELLYの汎用性の高さを活かし、実に多彩なフレージングを披露。存在感を放つ各曲のリフはもちろん、「歌いましょう鳴らしましょう」でのタッピング、「音一会」での高速カッティング、「潜在表明」と「君の神様になりたい。」をつなぐエモーショナルなフィードバック音など、さまざまな奏法とニュアンスでファンを楽しませた。

青木's メインギター・ESP POTBELLY (C)ORICON NewS inc.

青木's メインギター・ESP POTBELLY (C)ORICON NewS inc.

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 メンバーそれぞれが実力と成長を見せつけるバンドの中で、燈は圧巻のボーカルワークで魅せた。先述した「迷星叫」でのアカペラでは、声を震わせながら振り絞るように力強く叫び、「名無声」ではライザーに腰かけながら儚げなブレスでも世界観を表現。特に『5th LIVE「迷うことに迷わない」』以来、約半年ぶりに披露された「君の神様になりたい。」は、“絶唱”と呼ぶにふさわしいほどの感情の濃度となっており、自ずとファンに新たな一面を提示する結果となった。

MyGO!!!!! ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」』 Photo/福岡諒祠(GEKKO) (C)BDP

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 奇しくもその『5th LIVE』直前に行ったインタビューで、羊宮は「アニメの中で成長する燈ちゃんがいて、リアルライブを通じて成長する燈ちゃんもいる。そして、作中では描かれていない感情との出会いなどもあるはず。私はそこを研究して、客観視して、“可能性”としての燈ちゃんもステージに立たせてあげたい」と語っていたが、各曲で体感させられた“変化”の数々は、まさにその言葉を具現化したものだったと言える。

 作中とリアルライブ、そして両者の間に確かに存在する「描かれないストーリー」をも“同期”させた現在進行形のサウンドを響かせ、本編ラストでは「今にしかさわれない音。今にしか叫べない感情。もう止めないでいいよね」と語り、3月20日発売の4thシングルから「砂寸奏」を初披露。ガレージロックを思わせるハードな音像、メンバー全員が呼吸を合わせた印象的なキメなど、リリース決定の一報以降も明かされて来なかった同曲の全貌を自らの演奏によって鮮明に刻み込んだ。

MyGO!!!!! ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」』 Photo/福岡諒祠(GEKKO) (C)BDP

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■二度と訪れることはない1日限りのライブ 一生モノの光景を焼き付け進む音楽の旅

 アンコールでは、楽奈のハイトーンコーラスも必聴ポイントとなるスリリングなミドルナンバー「無路矢」を届けた後、出演キャストとして笑顔であいさつ。和気あいあいとした会話で笑いも誘いながら、テレビアニメの設定資料をまとめた書籍『TVアニメ「BanG Dream! It's MyGO!!!!!」official guidebook FOOTPRINTS』が4月29日に発売されること、そしてこの日初披露された「砂寸奏」のミュージックビデオの公開などを告知した。

 ひとしきりトークや告知を終えると、安堵からか思わず全員が無言で一息つく場面も。そのゆるやかな空気にファンも笑顔になる中、林は「Zeppツアー、開幕しました!」と喜びつつ「羽田ということで海外から来てくれた方も多いと聞きました」とファンとのコミュケーションを楽しみ、小日向は「みなさんの歓声のおかげで、最高の初日になりました。このツアーでまだまだ進化していくと思うので、ぜひ楽しみにしていただければ」と呼びかけた。

MyGO!!!!! ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」』 Photo/福岡諒祠(GEKKO) (C)BDP

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 青木は「楽しかったです!今年初の単独ライブがこんなに激アツになるなんて…。最初の渋谷duo MUSIC EXCHANGE(『MyGO!!!!! 1st LIVE「僕たちはここで叫ぶ」』)を思い出しました。やっぱりライブハウスっていいですね!」と元気よく振り返り、立石は「私にとってもMyGO!!!!!にとっても、ライブハウスは特別な場所。そんなライブハウスの頂点とも言えるZeppでライブができるのはみなさんのおかげです」と感謝した。

 羊宮も、青木と立石の言葉に続けて「最初は本当にすごく近い距離からのスタートで、今こうしてたくさんの方々が目の前に来てくださっていることがすごく幸せです」と噛み締め、「いろいろな状況、いろいろな思いで来てくださった方がいらっしゃると思いますが、このみなさんが集まっているという状況はもう二度と訪れない。本当に奇跡的なライブだと思っております」と胸の内を吐露。

 そして「今日しか感じられないものがたくさんあったと思うので、よければぜひ胸の中に一生とどめておいていただけたらなと思います」と呼びかけながら、最後にツアー完走への決意とともに「焚音打」を届け、さらなる成長を確信させる全国ツアーへと旅立った。

■セットリスト
01. 碧天伴走
02. 影色舞
03. 迷星叫
04. 名無声
05. 壱雫空
06. 二息歩行(Reloaded)
07. 潜在表明
08. 君の神様になりたい。
09. 歌いましょう鳴らしましょう
10. 音一会
11. 迷路日々
12. 砂寸奏
EN1. 無路矢
EN2. 焚音打

MyGO!!!!! ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」』 (C)BDP

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■『MyGO!!!!! ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」』日程
3月19日(火) 福岡・Zepp Fukuoka
3月22日(金) 大阪・Zepp Osaka Bayside
4月11日(木) 愛知・Zepp Nagoya

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  • 立石's メインギター・ESP ULTRATONE (C)ORICON NewS inc.
  • 立石's アンプ・Laney Lion Heart(ヘッドアンプ)+LT212(スピーカーキャビネット) (C)ORICON NewS inc.
  • 青木's メインギター・ESP POTBELLY (C)ORICON NewS inc.
  • 青木's アンプ・Supro Black Magick(ヘッドアンプ)+1790 Black Magick 1×12 Extension Cab(スピーカーキャビネット) (C)ORICON NewS inc.
  • 小日向's メインベース・ESP製GB (C)ORICON NewS inc.
  • 小日向's アンプ・HARTKE HA3500(ヘッドアンプ)+410(スピーカーキャビネット) (C)ORICON NewS inc.

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