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「プロレス」人気にみる“不自由なリアル観戦”求める心理 坂口孝則解説【連載】『オリコンエンタメビズ』

 日々話題を集めるエンタメニュースも、経済目線で知ればもっと面白くなる。そこで『ORICON NEWS』は、エンタメをこよなく愛する経営コンサルタント・坂口孝則氏に、エンタメにまつわるニュースを経済視点で解説してもらう連載企画『オリコンエンタメビズ』を開始した。今回は、世界的に盛り上がりを見せるプロレス人気を事例に、“リアル観戦”を求める人々の心理について見解を語ってもらった。

「新日本プロレス」社長就任後初白星をあげた棚橋弘至 (C)ORICON NewS inc.

「新日本プロレス」社長就任後初白星をあげた棚橋弘至 (C)ORICON NewS inc.

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 「日本のプロレスが世界で大人気」と聞いたら、みなさんはどう思うでしょうか。日本ではテレビでプロレスを見る機会が減り、プロレスについてさほど人気のコンテンツと感じないかもしれません。

 ただ、先日、米Netflixがプロレスを独占配信する、という報道がありました。Netflixは、プロレスで有名なWWE(ワールド・レスリング・エンターテイメント)を配信するとしました。これで、Netflixの会員数も上昇する。少なくとも、キラーコンテンツと考えられています。

 ちなみに、ほとんど知られていませんが、WWEは米国の上場企業であり、エンターテイメント領域で異常なほどの強さを誇っています。売上はトップクラスです。たしかにコロナ禍では苦戦していましたが、このところは復活しています。

 また、冒頭の話に戻りましょう。日本の新日本プロレスは、米国で相当な人気を博しています。新日本プロレスの興行で検索してみてください。新日本プロレスの闘いを見るために、相当数の米国人が殺到し、さらに米国ファンが新日のレスラーについて語っています。新日本プロレスは、現在、株式会社ブシロードが有していますが、「プロレス興行の観客動員数は穏やかな回復傾向が続き、スポンサー収入も増加していることから、順調に推移」としています(※)。

 なぜ、プロレスが好調でしょうか。

 プロレスは、できればリアルタイムの中継で見たい。また、可能なら、リアルで見たい。リアルゆえの興奮と圧倒さにあふれているからです。つまり、私たちの順位は、「リアル」>「中継」>「アーカイブ」の順番というわけですね。

 これがよくわかりません。みなさんも経験がありますね。スポーツを観に行っても、むしろテレビで観戦したほうが実況や解説がクリアです。さらにアーティストのライブにいたっては、だいぶ後ろの席から裸眼で確認するよりも、多数のカメラで捉えたアーカイブのほうがずっといい。でも、なぜだかライブで確認したい。これは、快楽だけでいえば多様な性の解消法があるけれど、目の前の人間との面倒なセックスを求める傾向と似ているかもしれません。

 先日、「JTBとMLBが締結、観戦チケットに飲食や体験など組み合わせ」というニュースが流れてきました。これは国際間の野球チケットを販売するものですが、とくに韓国で実施されるロサンゼルス・ドジャース戦で購入できることが話題になりました。大谷翔平さんと山本由伸さんのデビュー戦ですからね。これまで(チケット購入は)韓国の電話番号を入力するのが必須だったため、外国からの購入は難しかったのが実態です。それを他国から購入できるようにしただけで、この大騒ぎ。

 これだけインターネットにともなうオンライン配信が当然になっても、やや不自由なリアル観戦を人々は欲しているのです。すごく示唆的ですよね。

 大谷さんと山本さんは、現時点で最強のコンテンツといえます。さらに、なぜか理屈では説明できないけれど、直接的に見たい人間が大半で、さらに航空券やホテル、飲食、アイテム・グッズ等々を組み合わせられる。

 「エンタメは、あくまで日本における副次的な産業」、なんてとんでもない! エンタメとリアルこそ、日本の最強の商品にほかなりません。
(※)ブシロード「2024年6月期第1四半期決算説明資料より」

経営コンサルタント・坂口孝則氏

経営コンサルタント・坂口孝則氏

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■プロフィール

坂口孝則(さかぐち・たかのり)

1978年生まれ。福岡放送『めんたいワイド』(隔週)、TBSラジオ『日本リアライズpresents 篠田麻里子のGOOD LIFE LAB!』など出演。日本テレビ系『スッキリ』木曜コメンテーターも担当していた。趣味はメタルのライブに行くことで、音楽をこよなく愛する調達・購買コンサルタント、講演家。未来調達研究所株式会社所属。大阪大学経済学部卒業後、電気メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買に従業。現在は、製造業を中心としたコンサルティングを行う。著書は『牛丼一杯の儲けは9円』『営業と詐欺のあいだ』『未来の稼ぎ方』『製造業の現場バイヤーが教える 調達力・購買力の基礎を身につける本』『調達・購買の教科書』など。直近で『買い負ける日本』(幻冬舎刊)を発売した。

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