3人組グループ・NEWSの加藤シゲアキ（36）の最新作『なれのはて』（講談社）が「第170回直木三十五賞」候補作に選ばれ、前作『オルタネート』から2作連続での候補になった。加藤は都内で行われた囲み取材に参加し、一報を受けた際の状況を明かした。

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　『なれのはて』が直木賞候補作になったという一報を受けたのは、グループでのライブのリハーサル中だったそう。加藤は「リハーサル中にマネージャーに呼ばれまして、電話を代わって。そしたら『直木賞候補になりました』と言われました」とその状況を説明した。

　その際「『事前に言わないで』と言われた」そうだが、メンバーは「僕が急に抜けたので『なんかあったって？』」と声をかけたという。加藤は思い出し笑いを浮かべつつ「勘がいいので、小山慶一郎と言う男は。『なんか選ばれた？』って言われたんです。なので、『すみません、実は直木賞候補になりました』と内々で伝えさせていただいて」とメンバーにその場で報告したことを振り返った。

　加藤からの吉報を聞いたメンバーは「（拍手を再現しながら）おめでとうだけです」と、あっさりとした祝福だったそうだが、「2人も、スタッフも何人かいて。ありがとうと（答えました）」とうれし気に語った。

　そして「二度目ということもありますし、浮かれないようにはしたいと思っています」と気を引き締めつつ、「周りの方が喜んでくれるので、ホッとしました。もう一度候補に選んでいただいて良かったです」とにっこり。「（8月からのアリーナ）ツアー中に『なれのはて』は読める状態だったんです。公演数を重ねるごとに『なれのはて』を僕に振ってる人も、うちわに『面白かったです』と書いている人もいて。届いているんだなと」とホッとした表情を見せ「（アイドル業も作家業も）どちらも応援してくださっていて、ありがとうございます」とカメラ越しにファンへの感謝を伝えた。

　さらに、報道陣から兼業の難しさを問われると「書き始めてからは12年なので、両立していることが普通」ときっぱり。「締め切りには追われるのですが、仕事をセーブすることはありませんし、でき得る限りはどっちも続けていきたいなと思いますね」と今後の両面での活躍を誓った。

　今作は、1万字のプロットから始まり、構成をじっくり練り上げた。原稿に向き合った期間は約3年で、書籍447ページ、38万字を超える超大作となっている。発売前から注文が殺到し、異例の発売前重版となった。発売1週間で3刷目、発売2週間で4刷目が決定し、10万部を突破した。

　物語のきっかけになるのは、終戦前夜に起きた日本最後の空襲と言われる秋田・土崎空襲。やるせない人間の業と向き合いつつ、力強く生き抜こうとする人々の姿を、1枚の絵に関わるミステリを通じて描く。

　加藤は2012年に『ピンクとグレー』で作家デビュー。NEWSのメンバーとして活動しながら作家として執筆を続け、2020年に『オルタネート』が第164回直木賞の候補となった。『オルタネート』は第42回吉川英治文学新人賞受賞、第8回高校生直木賞を受賞した。